木を見て森を見る
昨日、「いろいろな意味で明日が山場だな」とつぶやきましたが、地震、原発ともに実際のところ、今日から数日が山場になりそうです。
福島、茨城で大きめの地震が頻発しました。内陸の活断層が連続的に破断しているようですね。
こうした内陸の地震や先日の宮城県沖地震を、かの巨大地震の「余震」と表現するのに私は反対です。
これだけ大きなスケールでの地殻変動が起きたわけですから、これは「余り」ではなくて、一連の現象の一部に過ぎません。地球のタイムスケールで言えば、数年、数十年すら「同時」なのですから。
私も「大地震に誘発された別の地震」と表現していたこともありましたが、それもある意味間違いというか、いかにも人間的なスケールでの認識(言語化)ですね。
今回は土台がどかんと動いたわけで、その上に乗っかっている表層部がひび割れするのは当たり前と言えば当たり前です。今後も、糸魚川静岡構造線以東の各所で内陸性断層型の地震が頻発するでしょう。これらは結果として「直下型」となりますので、ピンポイントで大きな被害が出る可能性があります。注意してください。
なお、危機的な状況にある福島第一原発の直下にも活断層があります。それが動く可能性も当然あります。正直もう祈るしかないですね。
それから何度も書いていますとおり、房総沖のアスペリティがはがれる危険性は相変わらず高い、いや日々高くなりこそすれ低くはならない状況ですので気をつけたいところです。
まあ、そういう危険性を挙げて行けば、もう日本中安全なところはなくなってしまうので、それはもうしかたありません。
もう一度確認しておきましょう。日本はこういう国なのです。
「日本の国土面積は世界の0.074%だが、ここに世界の全火山の7%があり、ここで全地震の10%が起きている」
こういう国に生活しているということを、私たちは忘れてはいけません。もちろん、その恩恵も限りないものであることも。
それにしても、この不二草紙もすっかり地震専門ブログになった感がありますね。まあ、千年に一度あるどうかの自然災害が起きたわけですから当然と言えば当然です。
ある意味では、私の今まで一番長く続いている趣味が活かされているとも言えましょうか。
ここであえて確認しますが、私は国語の教員です(笑)。しかし、もともとは地学の教員を目指していました。大学の第一志望校はそちら方面でした。ある意味、今でも言葉よりも天文、気象、地震、噴火の方が得意分野かもしれません。
そういえば、今ちまたで「予言者」として人気(?)の某作曲家の息子さんも国語の先生ですね。彼の「言葉」については、私は共感できる部分と共感できない部分があります(というか、お忙しいのは分かるけれど、ちょっと誤字脱字が多すぎですね。国語の先生として気をつけた方がよろしいかと…笑)。
彼も独自の観測データと知識と、そして「霊感」のようなモノをもとに様々な発言をしています。ある意味では私と似ているのかもしれません。もし違う点があるとすれば、彼は自身の地震に関する発言に絶対の自信を持っていて、私は自身の地震に関する発言に全く自信を持っていない(ふぅ、誤字なく書けた!)という点でしょうか。私はあんなにはっきりと断言できません。
それは、言葉が恐ろしい力を持っていることを知っているからです。自分が発した言葉が自分を洗脳していく過程をよく知っているからです。多くの科学者や霊能者がその罠にはまっていったのをよく知っているからです。
まず自分の言葉を疑うこと、発した言葉に責任を持つこと、そこをベースにしないと非常に危ないと思います。
ですから、私の書くことはあくまでも「情報の一つ」だとお考えください。昨日話で言えば、樹海の中の一本の木です。「木を見て森を見ず」ではいけません。前出の某先生のところに集まる方々、そして富士山麓の某の周囲に集まる「信者」の方々には、ぜひ森を見ていただきたく思います。
木を見て森を見る。私もそれを心がけたいと思います。時間においても空間においても情報においても。
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コメント
山場・・・それは、この数日の地震に耐えれば、東北方面の大きな地震は少しは落ち着いて貰えるって意味でしょうか。
それとも希望さえも無いってことでしょうか・・・
投稿: ぽん | 2011.04.12 15:14
ぽんさん,こんばんは。
大きな地殻変動は、何度も山があって何年もかけて収束していくものです。
その最初の山はここ数日だと感じます。
ただ、その中で原発が望まぬ方向に行かなければいいのですが…。
そちらについては全くのシロウトですけれども、ギリギリのところにいるのは確かだと感じますね。
それこそ祈るしかありません。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2011.04.12 18:45