「君に好かれて 君からは嫌われたんだ」…原発の気持ちとは
多くの方がおっしゃっているように、福島第一原発の一部はすでにメルトダウン済みで、今は、膨大な時間を要するその事後処理の段階であると思います。
近隣住民の方々のご苦労とご心痛を考えると、本当に暗澹たる気持ちになってしまいます。
今回の事態は本当に「想定外」だったのか。私も今まで何度か発言してきましたが、自然は想定外だからこそ自然であり、また、私たちが人工だ思っているものも実は自然の組み合わせに過ぎないことを考えると、「想定外」が起こり得るということこそが「想定内」であるべきだったと言えそうです。
さて、今日は少し違った視点から、原発問題を考えてみたいと思います。考えると言うより感じると言った方が適切かもしれません。今の福島原発の気持ちをある歌で感じてみたいと思うのです。
このような態度や試みがはたして今必要なのかは微妙なところですけれども、しかし、マスコミはじめ全ての論調が一方に偏っている時こそ、私たちはまた違った方向への想像力を働かせねばならないような気がします。そこであえてこのような取り上げ方をすることにしました。
私は高度経済成長期の東京で育ちました。そういう意味では福島原発のおかげを目一杯こうむってきた人間です。ある意味彼のおかげで今の自分があると言ってもいいほどにお世話になってきました。それは間違いありません。
今までそれほど意識されることもなく、また感謝されることもなく淡々と仕事をこなしてきた彼は、今世界中から注目されています。その視線はほとんど「恐怖」「憎悪」「敵視」ではないでしょうか。
私は彼自身にはなんの罪もないと思うのです。憎むべきは…言うまでもないでしょう。
そんな彼に心があったとしたら、いったい何を思っているでしょう。
いかにもワタクシらしい変なきっかけですけれども、実は私はある曲を聴いた時、彼はきっとこういう気持ちだろうと悟りました。その曲はレミオロメンの名曲中の名曲「アイランド」です。
今まさに福島第一原発はこういう気持ちでたたずんでいるのではないでしょうか。「island」は「isolated」な存在です。ポツンと隔離され孤立しています。
もちろん藤巻くんは原発のことなど想定せずにこの曲を作りました。言うまでもありません。しかし、この個人としてのバンドとしての悩み、自己と社会とのつながり方の難しさを歌った曲には、こういう解釈を許す普遍性があるのです。
私はこの曲を初めて聴いた時から、聴くたびに毎度涙を流してきました。自分の若かりし頃の悩みと重なる部分もあったのでしょうか。そして、今、ちょっと妙な視点ですけれども、こうして原発と重ねてみると、また心にしみる言葉たちであり、音楽であると強く感じます。
光と闇など不思議と象徴的な言葉も並んでいますね。
音楽的にも非常に優れています。天才的な楽曲ですね。複雑な和声と転調、メロディーも豊かだと思います。どうやって作曲したのか、ほとんど神懸かりだと思いますね。
ぜひこの機会に味わってみてください。歌詞も下に載せておきます。
笑った顔は引きつって 流した涙は冷めていた
理想や愛の言葉は口よりも前へ響かない
心臓の音が鼓膜破るよ
彼方から三日月の明かりに照らされた道
僕は何処へ行けばいい 外は冷たい風 すすきが揺れているよ
光を求めて 闇も捨てきれてなくて
僕は灰色の空を眺めている
蝋燭の灯かり頼って心を旅しているんだよ
そこで見つけてしまった たとえそれが醜さであれ
体温を抱いて呼吸続くよ
体からただ あの夢が褪せてくのを見ていた
僕は君に会いたくて 風のまどろみの中飛び込んで震えているよ
戻れないかな 戻れないよな
届かないよな それが時なら
遠い記憶の太陽が僕の心に入り込むことはなくて
瞳を閉じて 時は止まらず 人は変われない
彼方から三日月の明かりに照らされた道
僕は何処へ行けばいい 外は冷たい風 星空が揺れているよ
答えを待ち居場所なくし汚れてしまった
僕の純粋のような 欠けた月の明かりで君の影探しているよ
戻れない 時の波泳いでいるよ
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コメント
「想定外」とか「想定内」とか、まるで言葉遊びのようです。どんなにハードルを高くしてみたところで、想定してしまえばその途端に限界が生まれ、そのたびに新しい「想定外」を定義するだけじゃありませんか。
どこまで準備したところで天災を防ぐことはできないですし、原発が事故を起こさないなんてこともあり得ません。(防げないから天災であり、起こるからこそ事故なのでしょう。)
養老先生の「馬鹿の壁」ではありませんが、人間が思考する以上、人間という枠に縛られてしまうのは仕方ないとして、原発を擬人化するというのは感傷的すぎませんか?
では、人間が存在する以前の地球では、「神」や「言語」、「音楽」や「芸術」や「宗教」はどのように機能していたのでしょうね? そのとき神は存在していたのですか? きっと自分に模した姿で作られた恐竜たちが、あまりにも利己的で自堕落な生活を正さなかったために、天罰として滅ぼしてしまったのでしょうね、きっと。
では、この先人間が絶滅した世界を想像してみましょう。そのとき、「神」や「言語」、「音楽」や「芸術」や「宗教」は存在するのでしょうか?(想定外ですか? 想定内ですか?)
投稿: LUKE | 2011.04.06 01:20
原発事故のニュースを観るたびに思うことは、
敗戦国の日本が経済的成長をしてきた時代は正しい「欲望」だったと思います。
欲望が・・・いつしか強い欲望に変化し・・・利己的な強欲に変わり、強欲!強欲!強欲!できたと感じます。
原発事故映像を観るたびに人間の強欲に歯止めがかからず、いつしかサタンの領域までいってしまい、人間がコントロールできな領域までになってしまったように感じます。
今回、大きな地震が引き金となり、「安全だ」と思い込んでいた原発事故が起き、人のココロがあらわにされたと思います。
政府の国民にたいする態度、東電の東電社員に対する態度、東電の顧客に対する態度、私たちひとりひとりの態度です。
私にとって原発事故の映像は「強欲の箱」に見えます。
原子力発電所について学んだ時期がありました。
賛成・反対と意見をする以前に、「本質」を捉え、考える必要があると感じます。
いろいろな方のいろいろな考え方があっていいとも思っています(*^_^*)
真面目にコメントをさせていただきました。
投稿: 山中湖 | 2011.04.06 01:38
今年、37歳になるんです。子供もいます。
仕事もしています。
どこへ行っても「大人」料金です。
何かに心傷め、自分の無力さに落ち込んで。
もっと知らなければ、考えなければいけないと思いながら日々は過ぎていきます。
そんな時に流れる音楽に救われる、最近の私です。
そんな「今」がある事さえありがたい。
そして、こうやって私が知らない何かを知ってる人がいて、何かを語ってくれる人々がいる事もありがたい。
今日、昨日と違う事、
この曲を知れた事。
投稿: yuzuki | 2011.04.06 13:13