フジファブリック 『ペダル』
今日は久し振りに志村正彦くんのお墓参りに行ってきました。新設中学校の初年度が無事終わったことを報告してきました。彼にはいろいろな面で背中を押してもらいました。そんな感謝の気持ちをこめて祈りを捧げてきました。
ちょっと臆病で神経質な彼、最近の地震にはびびったんじゃないかなあ。そして、彼自身も何度も訪れたであろう東北の地がああいうことになったことに、きっと心を痛めているに違いありません。
そんな物騒がしげな日々の中で、私たちは「日常」のありがたさや愛おしさに気づかされています。この曲、この詩には、まさにそういうことが表現されています。
こんな残酷なきっかけがないと気づかない「モノ」を、彼は常に感じながら、それを私たちに発信してくれていたのだと、あらためて感じますね。それこそが詩人であり、ミュージシャンであり、芸術家であるのだと、今さらながら気づかされます。
上の動画は、あの「市民会館ライヴ」のオープニングです。地元の人間は「富士五湖文化センター」のことを「市民会館」と呼ぶのです。
あの日は私にとっても、人生の大きな転換点となりました。志村くんとの縁が生まれたのもあの日でしたし、それをきっかけとしていろいろな不思議な出会いがあって、今の仕事、今の生き方に大きな影響を与えたのも事実です。本当に感謝しています。
その「市民会館」は今改装工事中です。まもなく新装オープンです。本来ならフジファブリックがオープニング記念ライヴを行なうはずだったと聞いています。残念ですが、それは実現しませんでした。
しかし、考えようによっては、志村くんが、いつもの丘から眺めていた「あの」市民会館で凱旋ライヴができたのは幸運だったと言えるかもしれません。いいタイミングだったのかもしれません。
この「ペダル」は私の最も好きな曲の一つです。音楽としても「うわっ」という感じ、シンプルだけれども真似のできない名作ですし、この歌詞(詩)の世界は言葉では表せない素晴らしさを持っています。
つまり、言語以前、記号以前のもっと根源的なところに訴えかけてくるんですよね。それは私が富士吉田の風景を知っているからかもしれません。いや、もっと奥の普遍的な風景のような気もします。私は少年時代を東京で過ごしましたが、そんな風景をもふと思い出したりします。
そうそう、ここ富士山麓は飛行機雲の名産地(?)なんですよねえ。最近の地震のおかげで、この前飛行機雲の記事を書きましたよね。そこに書いたとおりです。
志村くんも、きっとあの飛行機雲を見て育ったんでしょう。その飛行機雲と自分の関係を「垂直」ととらえるところが面白い。直角じゃなくて「垂直」です。直角だったら、彼は南北に向かうことになります。しかし、「垂直」だとすると、彼は天地に向かうことになります。やはり、彼はそこに目指していたんでしょうか…。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- バッハ『フーガの技法』を見る(2023.12.04)
- 福岡のパワーの源は…(2023.12.01)
- 濱田あや 『デュフリのガヴォットとシャコンヌ』(2023.11.30)
- NHK「音楽の広場」タモリとスポーツテーマ曲(2023.11.25)
- Unconditional Love 聴き比べ(2023.11.24)
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 香椎宮にて(2023.12.03)
- 『MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』 竹林亮 監督作品(2023.12.02)
- 福岡のパワーの源は…(2023.12.01)
- 濱田あや 『デュフリのガヴォットとシャコンヌ』(2023.11.30)
- 『翔んで埼玉〜琵琶湖より愛をこめて』 魔夜峰央原作・武内英樹監督作品(2023.11.29)
「文学・言語」カテゴリの記事
- ナイツ傑作漫才集(2023.11.20)
- 在原業平の墓(滋賀県高島市マキノ町在原)(2023.11.18)
- 十三(じゅうそう)(2023.11.17)
- ナイツ 『野球寿限無』(2023.11.15)
- 【読解力】社会人1万人以上見て分かった”文章読めない”人の特徴 (サトマイ)(2023.11.13)
コメント
はじめまして。いつも志村君関係を中心に読ませていただいてます。
ペダル、大好きな曲です。ベスト3に入れてます!
曲も歌詞もいいんだな~。もっと志村君のうた聞きたかったなぁ。
投稿: つばき | 2011.03.26 08:44
この動画が大好きで、毎朝観てました。
切なくなる気持ちもありますが、元気になれるので。
垂直、という言葉をそれほど気にしないで聴いてましたが、
改めて考えると深いですね。
この日のライブに行きたかったです。
投稿: とも | 2011.03.26 15:43
庵主さま、こんにちは。
やっぱりいい歌だな。
折に触れて聴きたくなって、よく聴く歌です。
そして今回のこの記事に何だか感動しました。
三年前の凱旋ライブ行きましたよ。
これこそ全編DVD化してほしいです。
僕も今回の大震災が起こったとき、無傷の大阪で、
志村さんならどう感じるかな、とふと思っていました。
庵主さまのお考えに、僕はいつも共感しています。
自分は何年か前、養老孟司さんにはまっていたんですが、
やっぱり生老病死は自然なことであり、平等であると思っています。
いつ何が起こるのか誰にも分からない。
自然はとても温かいし、とても残酷。
そんな自然を追いやったり隠そうとするのは、人間の脳だけだと思っています。
僕なんかにはまだまだそう簡単に割り切れたものではないですが。
出口王仁三郎氏の文章は初めて読んだのですが、大変共感しました。
庵主さまのおかげで、中原中也氏や泉谷開示さんなどいろいろいろなものに出会えました。
もちろんこれは鵜のみではなく、自分の勝手な都合でです。
庵主さまには感謝しています。
自分に読ませるのは人柄です。
志村さんのような人が好きです。
山梨の地震も心配です。
どうかお体にお気をつけてください。
投稿: 恋する惑星 | 2011.03.26 17:00
久しぶりにコメント書きます!ミキです!
先程ツイッターでも笑
先生お元気そうで、何よりです。そして地震はそちらもとても大変でしたね。
私は茨城県に住んでるので被災しました。生まれて始めて、当たり前のことの大切さを実感できました。
そんな時でも励ましてくれたのはやっぱり志村くん、いえフジファブリックでした。感謝しきれません。
P.S.
去年旅行に行った時、市民会館より着実にできあがってる。綺麗ですね。ライブ、見たかったな…
投稿: ミキ | 2011.03.27 20:19
ペダルは、最後のメロディ-に入る前の演奏が特に好きです!!
曲の速さが、志村さんの歩く早さと同じらしいですね!
予想以上に早い。笑.
私も、ペダルは大好きな曲の中の一つです。
投稿: なじゅ | 2011.03.28 02:27