「想定外」という言葉から…
↓ユーラシアプレートは盤石です。フィリピン海プレート踏ん張れ!
大地震から2週間と少し経ちました。被災者の皆さんはまだまだ辛い日々を送っておられると思います。あるいは悲しみや痛みはずっと消えないかもしれません。しかし、自衛隊や消防、警察、自治体の方々をはじめ多くの方々の命がけの作業やお仕事のおかげで、もうすでに新たな歴史が始まろうとしています。
こういう時にはなかなかいい言葉が浮かばないものです。「頑張れ」も「大変ですね」も「よろしくお願いします」も「ありがとう」も、どこか自分自身の中で白々しく感じられてしまいます。ですから、私はそうした言葉を発するだけでなく、自分でしか表現できないことを公開していこうと思います。
もちろん、いろいろな立場の方々がお読みになりますので、反論も誤解もいろいろと生じるでしょう。しかし、マスコミやネット上の言葉がどんどんある方向に収斂しつつ、その結果が拡散していくという状況を見るにあたり、私は私なりの経験と感性をもとに「言葉」を発していかねばと強く思います。
さて、そうしたマスコミやネットの言葉たちは、今や地震よりも「原発」に集中しているようです。もちろんそれは分かります。しかし、地震もまだ続いています。それを忘れてしまうのはいけません。
今回の地震は非常に大きなスケールでの地殻変動を伴っています。いずれ詳しく書きますが、現在も太平洋プレート、特に脆弱で活発かつ不安定な「フォッサマグナ」に大きな影響を与え続けています。
長野北部や中越の地震、富士山直下の地震も、そのフォッサマグナの上で起きました。東京湾や伊豆半島北部、そしてここ数日頻発している長野県南部や岐阜の東部の地震も直接、間接的に関係していると思われます。
もちろん、駿河トラフもフォッサマグナの一部とも言えますから、東海地震が誘発される可能性もあると思われます。しかし、私の感覚では、この数年と言うよりは、数十年単位で考えるべきだと思います。人間の感覚を自然にあてはめてはいけません。「天災は忘れた頃にやってくる」と言いますが、自然はもちろん自らの動きを忘れてはいません。
私は、できるだけ、自然に近い感覚を持つように心がけています。つまり、歴史や宗教や神話や地学や天文学に学びつつ、「想像力」をたくましくして、なるべく大きなスケールで自然と対話しようと考えています。
そういう意味で、東北地方太平洋沖地震は、私にとっては「想定内」ではありました。この時期に来るとは正直思わなかったけれども、起きる可能性はあると思っていました。
東海地震ももちろん想定内です。そして「超東海地震」も想定内です。次の東海地震はこの「超」になる可能性が高いとずっと思ってきました。それと同様に三陸沖地震についても「超三陸沖地震」が起きるかもしれないとは思っていたわけです。
そういう意味では今回の大津波も想定内でした。それなのに専門家は「想定外」と言います。人文的な記録だけでなく、科学的な痕跡も残っているのに、想定しなかったというのは、単なる怠慢か欺瞞に過ぎません。「私たちはバカでした」と言っているのと同じとも言えます。
科学や工業の世界での「想定」は、基本、既存の測定値を基準にしています。科学や工業の歴史なんかたかだか200年くらい。日本ではもっと短くて150年もありません。そういうスケールで「想定」するから、「想定外」が生まれるのは当たり前です。
浜岡原発の耐震強度は450ガルです。たしかに近代以降の地震の加速度はその程度だったかもしれませんが、今回の東北の地震で検知された最大加速度は2300ガル以上です。つまり、次の東海地震が「超」になった場合、全く太刀打ちできません。
それ以前に、浜岡原発を東海地震の「想定」震源域のど真ん中、震央の直上に作るとか、柏崎刈羽原発をフォッサマグナの東縁の千葉−柏崎構造線上に作るとか、まあ「想像力」以前に「常識」がありませんね。全く理解できません。
福島原発にしても、女川にしても、東海村にしても、それから敦賀のもんじゅにしても、なんで過去に地震&津波の被害を受けた場所に作るかなあ…。まあそれだけ危険なので人が少ないから、と説明した知り合い(電力事業者)がいましたが、なんだかシャレにならない話ですよね。
私の「モノ・コト論」で言えば、科学や工業技術は「コト」です。その補集合が「モノ」ですから、まさに彼らにとっての「想定外」は「モノ」であり、それに伴う嘆きは「もののあはれ」なのでしょう。
私は「霊界」という言葉を「モノ」=「コトの補集合」という意味で使っています。一見アヤシイ世界観ですが、よく考えてみれば、ごくごく自然な発想だとお分かりになるでしょう。
多くの科学者たちは、現在理解されている「コト」以外を認めない立場をとります。未来の「コト」も、彼らにとっては、今はまだ「モノ」にすぎません。「霊」の世界なんか、彼らが最も忌み嫌う世界ですからね。これじゃあ、ほとんど無限の「想定外」が生まれてしまいます。
私はそういう意味で、「モノ」と「コト」の両世界をまたぎ、バランスよく全体像を俯瞰していきたいと思っています。だから、このブログは人とは違う内容、論調になるのでしょう。
最後にものすごく大きなスケールでの「物語」を記しておきましょう。
今回の東北の地震は「艮の金神」の御発動でした。次は「坤の金神」の番。つまり、東海・東南海・南海方面です。そして経(タテ)と緯(ヨコ)の仕組みが完成に近づきます。最後はその結び目「富士山」でしょう。そこでようやく私たち人間は本来あるべき姿に落ち着きます。「みろくの世」の実現です。
これはたぶん確かです。しかし、それがどういう時間的なスケールで起きるのか、まあ、科学の世界の専門家やマスコミやエセ宗教なんかの「コト」的視点では、それは全く分からないでしょう。ですから、逆に彼らが騒いでいるうちは大丈夫ですよ。彼らにとっての「想定外」の時こそ、私たちのピンチとチャンスは訪れるのです。
最後に一つ注意を喚起しておきます。タテの地震はまだまだ終息していません。M7レベル、震度6強レベルの地震が発生する可能性があります。もちろん、それに伴う津波も数メートルレベルでありうるでしょう。それによって福島原発に大量の海水が注入されるなんていう皮肉なことも起き得ます。被災地にいらっしゃる方々注意してください。
追伸 2004年12月のスマトラ島沖地震はM9.3。余震も収まりつつあった3ヶ月後、震源を隣接する南に移してM8.6の地震が発生しています。今回の大地震の震源域の南部にはアスペリティが残っているので要注意。
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コメント
はじめましていつも読ませていただいてます。とても勉強になります。
地震被災の事実は受け止められても感想や気持ちを話す言葉が見当たらないと言う状態です。
報道から自分が何を感じているのか自分に出来る事は何なのか分からずモヤモヤしていて、これを言葉に出来る程に整理がついたら動き出せるのかなという感じでしょうか。
専業主婦のわたしが整理をつけたところで世間に何の影響力もないのですが、庵主さまの予測する次の超大地震の前に気持ちの構えをする意味でも今回の事をきちんと整理して受け止めたいと思います。
庵主さまの書かれることにご意見のある方がいらしても、どちらの考えも勉強になります。
これからもよろしくお願いします。
投稿: 白バラ | 2011.03.28 22:45
先生お久しぶりです。
余震 なかなか収まりませんね…
職場が道沿いなので トラックが通過すると建物が振動するのですが わずかな音にも敏感に反応してしまいます。
4月14日、フジフジの上映会がありますね。
私一人での参戦予定でしたが、非常に不安で、諦めようかと思っています。
この状況での開催というのも心配。
SMA取締役の原田さんは 非常にアーティスト想いの方。
4月14日という日、ファンの想いとので悩んでいらっしゃる事でしょう。
何かしら代替案を出していただけると(DVD化とか)有り難いのですが…。
とにかく 今は家族を置いて一人で東京には行けません。
投稿: さお | 2011.03.30 13:52