ミシェル・ペトルチアーニ at Mt.Fuji
すごい演奏ですねえ…Beatiful Love。
先週の金曜日、知り合いのジャズ・ピアニストの卵くんが遊びに来まして、いろいろ観たり、聴いたり、弾いたりして遊びました。
まずは、グラッペリのDVDやグラッペリとペトルチアーニの共演を観賞。
そうこうしている内に、ヴォーカリストであるカミさんが帰ってきたので、にわかトリオを結成、私は久しぶりにアコースティック・ベースを出してきて、スタンダードを何曲かアドリブで演奏しました…いや、私、ベースはホント久しぶりだったので、どこが何の音かも忘れてる!おかげでとんでもなくプログレッシヴなジャズとなりました(笑)。ごめんなさい。
そして、最後はなぜか「ゾーッとする(痛い)音楽の特徴は何か」という話になりましてね、実際何曲か実例を聴きながら、みんなで大笑いしていました。あちゃ〜、やっちゃった…ってやつですね。
で、結論としては、やっぱり「ドミソ」は「不快和音」だということですね。ペンタトニックの曲、特に和声音楽ではない、たとえば純邦楽なんかでは、基本「痛い」ことにはなりえないんですよね。
つまり、5音に2音加えてしまって7音にしてしまった上に、本来あり得なかった「長3和音」なんか作っちゃったのが悪いのだと、そういう結論になりました。ま、正解でしょう(笑)。
で、いつも書いているように、西洋音楽においては、その「恥ずかしい」「痛い」和音である「トニック」やら「ドミナント」やら「サブドミナント」やらを覆い隠すように、様々なテンションコードが発明されていったわけです。
そこに、さらに世界中の智恵や技を投入して、毒をもって毒を制す、西洋楽器と西洋音楽のスケールを遣いながら、西洋芸術音楽をぶっつぶしたのが「ジャズ」であります。面白いですね。
で、彼との話の中で、「ペトルチアーニはいい!」ということになりまして、私も久々にいろいろ引っ張り出してきて聴いてみました。うむ、たしかにいいですねえ。独特の世界です。
そう、これは微妙なことでもあるんですけれど、彼のハンディキャップはクラシックの世界で言えば、残酷とさえ言えるほど絶望的なものです。彼にとってはピアノはあらゆる意味で大きすぎます。しかし、あえて近代西洋芸術音楽を、いや近代そのものを象徴する「ピアノ」という暴力的な工業製品によって、こんな叙情的な世界を作ってしまうなんて、それこそ神業ですよね。
完全を要求する楽器の敗北宣言でしょうか。人間の目指す「完全」なんてものは、実は「不完全」であって、本当の「完全」とは、私たちにとっては一見「不完全」に見えるものなのかもしれませんね。
上の動画、私にとっては非常に懐かしいものです。この現場に22歳になったばかりの私もいました。ペトルチアーニも言っているとおり、富士山の力によって、このジャズ・フェスティバルはそれこそ神懸かり的な演奏を多く生み出しました。また、やってくれないかなあ…山中湖村さんお願いしますよ〜。それ以前にスポンサーが付かないのか…。
しかし、もうこの世ではペトルチアーニの演奏は聴くことができません。グラッペリもいません。いや、きっとあちらの世界でこの二人、毎日セッションしているかもしれませんね、富士山の上空で。ペトルチアーニ、けっこうガンガン来るので、グラッペリも若返っちゃうんですよねえ。楽しいだろうなあ…。
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コメント
おお!なんたる偶然!
つい今まで「フラミンゴ」を BGM にして仕事をしていたところでした。一目惚れのジャケ買いでしたが、「これ良いよ!」と、友達に貸したきり、10 年以上も返ってこなかったのでした。それがひょんな事からつい先日戻ってまいりまして、ここ数日ヘビーローテーションで聴いていたのです。
投稿: LUKE | 2011.03.09 04:50