今日の富士は穏やかでした(2011.3.26)
こちらの傾斜計のデータ、特に我が鳴沢村に設置されている計器のデータに、地震後、顕著な変化が見られたので、ちょっと気になって現地調査してきました。
鳴沢の傾斜計は東方向への傾きを検知しています。北西斜面が東に傾くというのはなんとも微妙な状況です。
単純に考えると、膨張していた山体が収縮した、つまり内部からのストレスが減っているとも言えるかもしれません。しかし、南西麓の斜面がどちらかというと西への傾斜が増しているので、北西軸上の寄生火山列付近が膨張しているともとれます。GPSのデータと組み合わせて考えると余計に混乱します。はっきり言って素人にはこれ以上わかりません。
収縮と膨張じゃあ、正反対ですよね。だからもう実地に見て感じるしかないわけです。それで出かけてきたというわけです。
どことどこに行って何を見てきたかかは企業秘密ということで明らかにはしません。北西麓をぐるっと回って「いつもの場所」に立ってきました。寄生火山列から青木ケ原樹海周辺ですね。
結論を言いましょう。富士山は非常に穏やかでした。私自身は安心しました。ある意味科学的な根拠は何もないわけですが、地元に長く住んで富士山と毎日対峙してきた「勘」を、私自身は信じるしかありません。私のそれを信じるかどうかは、皆さんの自由です。
もしかすると、地震の影響で計器にトラブルが発生しているのかもしれません。11日の地震、15日の地震でサーバーも飛んでいたくらいですから、「想定外」のダメージがあったかもしれません。まあ、それじゃあ肝心な時に使えませんけどね。
そんなエセ調査の途中きれいな風景を写真に収めてきましたのでご覧ください。いつも載せている富士吉田からの富士山は北東方向から見たものです。今日は私の住む鳴沢村(真北)から、旧上九一色村(オウムのサティアンがあった村ですね…北西から西)にかけての富士山ですから、だいぶ風情が違います。
西斜面は強風を常に受けるため、雪が吹き飛ばされているところがあります。また、春先ですので雪崩が起きたと思われる箇所も見られますね。地震で雪崩が起きた可能性もあります。
では、どうぞ。まず大室山西側、開拓道路の展望台から、青木ケ原樹海と本栖湖、最奥に南アルプスです。
上九一色富士ヶ嶺朝霧高原付近からの富士山。
↓右端の大きな割れ目というか谷間は「大沢崩れ」です。
鳴沢村に帰ってきました。「道の駅なるさわ」からの富士です。水を汲みに来ている人たちがいましたが、それほど混雑はしていませんでした。ちなみにバナジウムも放射性物質ですよ。これは健康にいいというわけですから、なんだかよく分かりませんね。
↓雪崩の跡らしきものも見えますね。
↓富士山の右側(西側)にたくさんコブが見えますよね。これが北西軸の寄生火山列です。スキー場の天神山も見事な噴火口を持っています。長尾山、大室山も見えます。こちらの記事で紹介した、1000年ちょっと前の貞観の噴火では、これらの寄生火山から大量の溶岩が噴出しました。そして、青木ケ原樹海の基礎となる溶岩台地が出来ました。すごいスケールですよね。
しばらくは大丈夫そうですが、いつかはこの風景も一変してしまうのでしょう。その日は必ず来ます。前回は南東斜面の宝永山でしたから、次はこちら側かもしれません。
頂上からの噴火の可能性は低いでしょう。15日以来地震が続いている南西斜面かもしれませんし、いやもうだいぶ溜まっていますから、5合目より上が吹っ飛んで、八ヶ岳や愛鷹山のようになってしまう山体噴火かもしれません。
つまり、確かなのは、いつかなんらかの形で噴火するということだけです。大事なこと、そして私たちにできることは、その兆候をしっかりつかむことなのです。
富士山は若くてピチピチの火山なのです。だからこんなにキレイな形なんですよね。
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