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2011.02.02

レミオロメン 『Your Song』

 「の曲を書く前にね、フジファブリックをすごい聴いていたんですよ」
 レミオロメンの藤巻亮太くんは、そう言ってこの曲にこめられた想い、そしてフジファブリックの志村正彦くんへの想いを、彼らしくていねいに言葉を選びながら語り始めました…。
 このブログのコメント欄に、お二人の方が「ROCKIN'ON JAPANの3月号」のインタビューをぜひ、と書いて下さいまして、そのおかげでこの「想い」を知ることができました。ありがとうございました。
 さっそく読ませていただきました。涙が止まらなくなりました。音楽と言葉による魂の交流、アーティストとしてクリエーターとしての深いレベルでの共振。志村くんの魂の遺伝子が、こうしてまた別の天才の感性と苦悩によって、新たな生命力としてこの世に継承されるという奇跡。
 正直、この1年間の私の抱いていたモヤモヤが、すっかり晴れたような気がします。今思えば、シロウトの勝手なモヤモヤだったんですが…。
 2009年の12月、クリスマスイブに志村くんが天に召され、そして、その1週間後の大晦日、レミオロメンが紅白初出場を果たしました。
 あの時は、いやある意味さっきまでは、「同じ山梨なのに御坂峠をはさんでなんでこうも明暗が分かれるのだろう」と、どこかでずっと思い続けていました。
 晴れているのに、どこか重く暗く冷え込み、美しいけれどもどこか厳しい表情の富士を眺めている私たち郡内。峠を超えると、レミオの快挙を町をあげて喜び、あざやかなピンクの旗をはためかせている国中。あの年末だけでなく、実は毎年毎年そうやって明暗を重ねてきた歴史があるのです。山梨の、それも郡内地方に住む人ならばお分かりになるでしょう。
 そんな、通奏低音のように流れていた複雑な感情が吹き出してしまったからでしょうか、私は、レミオの紅白の晴れ舞台や、その後発表されたニューアルバム「花鳥風月」、5月12月の山梨凱旋ライヴでも、どこかそれまでとは違って、彼らとうまく「想い」のキャッチボールができていない気がしていたのは事実です。記事の内容にもそれが表れていますね。
 レミオはレミオなんだから純粋に応援しよう、と何度思ったことか。しかし、なかなかそれができませんでした。
 志村くんのことについて、レミオロメンのメンバーから具体的に言葉を聞けなかったせいもあったのだと思います。今考えれば、いろいろな事情から、なかなかコメントできなかったのもうなずけます。
 しかしだからこそ、3月に、藤巻くんのiPodでフジファブリックの「タイムマシン」がヘビーローテーションされていることを知った時には、ものすごくうれしい気持ちになり、またどこか救われたような気さえしたものでした。
 そして、今回、こういう形で、藤巻くんの言葉として、他のメンバーも含めた「思い」を語ってくれたことは、本当に私の心を慰め、そして勇気づけてくれました。ありがたいことです。
 藤巻くんが、志村くんの楽曲から感じた「モノ」、それは「自分と向き合う勇気」だったのでしょう。厳しく重い試練ではあるけれども、音楽家として芸術家として表現者として避けて通れない、その本質の本質の部分。
 たしかに、ある種厳しさをもった禁欲的とも自傷的とも言える、志村くんの詩の世界。特に「CHRONICLE」で見せた孤高の寂しさ、自分の弱さと向き合う強さは、藤巻くんの心に強く響いたものと思われます。
 昨日の仏教の話ではありませんが、この世の真理は「自他同然」「不二一如」ですから、他者に共感される、世界の最大公約数は、実は自己の中にあるのだということ、それを、志村くんの魂が藤巻くんの魂に教えてあげたのですね。
 変な言い方かもしれませんけれど、自己の中心に収斂していく最小公倍数が、宇宙の無限の拡がり、すなわち最大公約数になっていくのだと思います。
 そして、さらに藤巻くんが立派だったのは、その結論が単なる追悼やトリビュートの楽曲になるのではなく、しっかり彼の世界の中で表現されたということです。
 たとえば、フジっぽい曲を作るとか、それらしい歌詞にするとか、そういう単純な発想もできないことはなかったはずですが、しっかり自分の世界の中で、その「魂」を表現したことこそが、私にとっては感動的だったのです。
 さすが一流のミュージシャンですね。メロディーは昨年の1月にできていた(おそらく自然に浮かんできた、あるいは降ってきたのでしょう)のに、歌詞の完成は11月だったと言います。それだけ、まじめに、真正面から自分と向き合うという作業、すなわち志村くんからのメッセージをしっかり受け取るということをしたのでしょう。そこに彼の「魂」の高貴さ、強さを感じずにはいられません。
 私は12月の10周年ライヴの時、初めてこの曲に触れたのですが、歌詞まではしっかり聴きませんでした。記事にも音楽的なことしか書いていませんね。今、こうして改めて歌詞を味わってみますと、たしかにそこに志村くんのメッセージが読み取れると思います。
 こういう形で、こういうプロセスを経て、新たな名曲として志村くんの「魂」がよみがえったことに、本当に感激します。そして、もちろん藤巻くんらレミオロメンのメンバーの純粋な真剣な想いにも。
 同じ頃から彼らを応援し、彼らと同じ空気を吸い、同じ磁場を感じ、そしてありがたいことに彼らのご家族を含め関係者の方々ともご縁をいただいている私。私は彼らにはとても及ばない凡人ではありますが、私なりに彼らの「魂」の伝承に努めていきたいと思います。

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コメント

庵主様

さっそく読んで下さったんですね。
よかったです。

投稿: 田中 | 2011.02.03 14:20

そういえば、そうだったのですね。

レミオのライブいったことあります。

また、妙にライブに誘われます。

投稿: もんげ | 2011.02.03 15:05

お久しぶりです!
レミオロメンは曲で志村さんにレミオロメンらしく
フジファブリック(志村さん)は「音楽とことば」でレミオロメンを褒めてたし
お互い認めていたいたのですね。
うれしいです。

投稿: イシハル | 2011.02.03 21:27

レミオからフジファブリックの名前が聞けて嬉しい。
嬉しいです。縁があったゆえにレミオから離れざるを得なかった一人です。
でも、またレミオの音をまっすぐな気持ちで聴く事が出来そうです。

私もROCKIN'ON JAPAN読んでみます。

投稿: eco | 2011.02.04 00:13

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