満員御礼!山手の丘に香る≪コーヒーカンタータ≫
御来場くださった皆さま、ありがとうございました。そして、それと同時にこのような素晴らしい演奏会の演奏者としてお誘いいただき、本当にうれしく思います。
いやあ、コーヒーの香りもさることながら、横浜は山手のあの文化の香りは素晴らしいですね。正直、田舎とは違います。ここでいう「文化」というのは、ある種の「余裕」であり、それは開放から生まれるものであって閉鎖からは生まれないことを再確認いたしました。つまり、横浜には他者を受け容れる土壌があるんですよね。
今回の演奏会はそうした横浜山手地区を中心に行われた「横濱・西洋館de古楽2011」のファイナル・コンサートで、歴史的な建造物であるべーリック・ホールで催されました。
お客様には本格的なコーヒーを飲んでいただきながら、バッハの「コーヒー・カンタータ」を聴いていただくという洒落た企画です。プロの演奏家の皆様に交じって演奏させてもらう、それも声楽の方々との演奏は、本当に勉強になります。本当にありがたいことですね。
また、アナウンサーとしてプロ中のプロである、朝岡聡さんの軽妙かつ的確なおしゃべり(&演奏)にも感心しきり。演奏者にもいい影響があります。コンサートやライヴでのMCの重要性の再確認はもちろん、私の仕事へのヒントもたくさんいただきました。いずれにせよ、プロの皆さんはすごいですね。
熱心なお客様の中にも何人かプロの方々が。特に、チェンバロ、フォルテピアノの御大渡邊順生さんとバロック・チェロのエマニュエル・ジラールさんが来られたのにはびっくり!とんでもないプレッシャーですぞ。こんな経験もそうそうできるものではありませんね。
今回の演奏会場となったべーリック・ホール(旧ベリック邸)ですけれども、私は二回目でしょうかね、ここで演奏するのは。昭和5年にアメリカ人建築家モーガンによって設計されたこの建物には、アメリカやイギリス、スペイン、イスラム、そして日本と、本当にいろいろな様式が見て取れました。スパニッシュ・スタイルは当時アメリカ西海岸で流行っていたものですが、ここ日本で様々な進化を遂げたとも言えますね。
ベリックはイギリス人貿易商。当時かなりの財力を誇っていたようですね。特に「和紙」の輸出ではかなりの業績を上げていたとのこと。で、最近分かったんですが、ウチのご先祖様は当時横浜に住み、「和紙」関係の仕事をしていたらしいんです。ということは、ベリック商会とも関係があったかもしれないんですね。不思議な縁を感じました。
なぜか人のウチの歴史を調べることが多い私ですが(最近も頼まれています)、そろそろ自分のウチについてもちゃんと調べないとなあ。
そんな調査の第一歩として(?)、練習の合間にちょっとした山手探訪をしてみました。
まずはお隣のエリスマン邸へ。ワタクシ的にはベリック邸よりも、こっちの方が好きですぞ。なにしろ、設計者はあのレーモンドです。ライトのお弟子さんですね。「ナチュラル」・「シンプル」の中に、和の精神と技術を昇華させたなかなかの作品でした。実は私、レーモンドとも縁があると言えばあるのです。ものすごく間接的ですが。これもまた最近分かったことです。不思議な縁を感じます。
お散歩の最中、たくさんの猫に出会いました。横浜の猫はなんとなく違いますね。ノラでも品があるというか、余裕があるというか、文化的というか(笑)。猫の美術館の入り口にいたこの猫は大あくびしてましたが、そんな姿にもどこか品格が…ないか。
いろいろなところに「猫の街」というのがありますが、それぞれ猫の顔つきや動き、たたずまいが違うのは面白いですねえ。まあ、人間といっしょということか。
猫で思い出して四半世紀ぶりに訪れたのが「大佛次郎記念館」。大佛次郎と言えば、無類の猫好きとしても知られる文豪ですね。そうそう私は、大佛次郎本人よりも、お兄さんである野尻抱影の方から入ったんですよね。少年時代の私は、猫よりも星が好きだったので、野尻抱影さんの本は片っ端から読んでいました。
大佛次郎が実弟だった知ったのは大学生の時ですね。猫と星ということで、私はこのご兄弟に妙な親近感を覚えております。野尻抱影は山梨は甲府の中学の英語の先生やってましたし。あっそうそう、この兄弟、ショコタン(中川翔子)の親戚にあたるんですよ。そんなところにも縁を感じます(笑)。ウチの母親、ショコタンのおばあちゃんと知り合いだし。
今日はちょうど「日日是猫」という企画展をやってまして、いつにもまして大佛次郎の猫馬鹿ぶりを感じることができましたよ。大佛次郎の人生の最終目標は猫になることだったとか。いいですねえ。きっと今頃、兄は星に、弟は猫になっていることでしょう。おみやげに、「猫のいる日々」とコースターを買いました。
と、こんな感じで、個人的にとっても充実した一日を送らせていただきました。演奏会が始まる少し前、外人墓地のあたりを歩いていましたら、夕陽の隣に富士山が見えていました。ああ、今日はあそこから来て、そしてまたあそこに帰るんだな。遠いけれど不思議と近く感じます。ものすごいランドマークだなあ。
外人墓地に葬られた皆さんも、こうしてずっと富士山を眺めているのでしょうね。皆クリスチャンであったに違いありませんが、しかし、彼らの信じる神とは別に、この富士山に日本の霊性を感じていたのではなないでしょうか。だからこそこうして富士山に対峙してお墓が作られたのでしょう。
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