静岡と山梨…富士山を挟んで
県境からの富士山…大沢崩れは両県間の亀裂の象徴?
今日は仕事のあと静岡は蒲原へ。静岡の志ある人々が集まる、とある会合に参加してきました。
約70人の、いろいろな仕事をお持ちの方々が集まる中、選ばれてちょっとだけ皆さんの前でお話をする機会を得ました。
せっかく富士山の向こう側山梨から来ているので、「富士山を日本の和の精神の象徴に。そのためにはまずは犬猿の仲(?)の静岡と山梨が仲良くしなければ」というような話をさせていただきました。
まあ、犬猿の仲は大げさにしても、意外に交流がないというのは事実です。せいぜい、どちらの富士山がきれいか、富士山頂はどちらのものかというような論争くらいでしたね、ちょっと前までは。
いや、もっとはっきり言うなら、豊かで暖かく平和な静岡に対する、山梨のコンプレックスという一方的な反感のようなものがありますねえ(笑)。これは若い人たちにも残っていますよ。この前も生徒たちとそんな話をしました。
もちろん、静岡は東西に異様に長い県であり、伊豆、駿河、遠江で全く違う文化がありますので、それはそれである意味一体感がなく、東部、中部、西部それぞれが妙なライバル意識を持っているというのも事実です。
一方、山梨は甲府盆地の国中と富士山麓の郡内とで、同様に妙ないがみあい(これもはっきり言えば、郡内の国中へのコンプレックスですかな)があったりして、こちらはこちらでとても面倒な歴史があるのです。
特に富士北麓地方は、山梨の国中地方と静岡の東部地方とに挟まれ、つまり南北両方にある種の敵意(コンプレックス)を持たざるを得ないという、なんとも微妙な立場で孤立してきたんですね。
どこかに書いた覚えがありますけれど、万葉集にある甲斐の国の枕詞「なまよみの」は、これは今の山梨県全体に対するものではなく、間違いなく富士北麓地方に対する修辞です(一般の説は間違っています)。つまり、富士北麓地方は昔から一種独特の雰囲気をもった「なまよみ(半分黄泉の国)」だったわけですね。
実に微妙な土地柄なんですよ。富士五湖、富士吉田を中心とした地域は。外から来て住んでみると、ある意味で「悪い気」が流れているようにさえ感じるものです。根が深いんです。
もちろん、そういうところだからこそ、様々な芸術や文化が育ったとも言えますがね。もちろん、志村正彦くんなんか、その代表です。
そうそう、志村正彦全詩集を紹介した日、「富士山の日」だったんですよね。2月23日。私、富士山に住んでいながら(住所が富士山です)、この日のこと忘れてました。というか、誰もそれを話題にしませんでしたね。
で、今日静岡の人に聞いて初めて知ったんですけど、あの日、静岡では県立学校はお休みだったんですってね。驚きました。ただ、地域によって富士山の日に対する温度差がかなりあって、県内でもいろいろと問題があったようですね。
最近では「富士山を世界文化遺産に」を(いちおう)合言葉に、両県が協力しようとしています。両県の知事が会合したりして、なんとなく表面的には盛り上がっている、いや、盛り上げようとしているとも言えますが、どうもうまく話が進んでいないように見えます。まさに温度差でしょうかね。両県のと言うより、両県のそれぞれの地域の温度差。
山梨県知事も静岡県知事も「富士山は生活の一部」というような発言をしていますが、麓に住む人間からすると、ご両人ともにちょっと「よそ者」っていう感じがするんですよねえ。遠く眺めている、特に山並みの向こうに富士を見ている人たちと、私たちとは正直富士山に対する感性がかなり違うような気がします。
ただ、実際のところ、世界に誇る自然の造型であることはたしかですし、日本人の霊性、心性の象徴であることはたしかですから、基本世界にもっと開いていくべきだとは思います。そのためには、それこそお膝元の我々がもっと動かないといけませんね。お膝元どうし、仲良くできないようじゃどうしようもありませんからね。
今日も私、富士山ナンバーで山梨から静岡まで行きました。両県をまたぐ一つのシンボルとして、この富士山ナンバーはとても価値のあるものだと思います。ま、こちらに書いたように、もっぱら山梨側の方がメリットを享受しているとも言えますが(笑)。
私の家があるのは山梨県の鳴沢村の字富士山というところです。鳴沢は比較的古くから富士宮方面との交流があった地域です。今でも、農産物などは互いに県境を越えて行き来が盛んです。江戸時代には文化面での交流もかなりあったようですね。そういう理由があってか、客観的に見まして、性格や行動がやや静岡的なような気がします。明らかに甲州気質とは違います。
両方に縁があり、両方の良さ、悪さをよく分かっている私としては、この両県の、ある意味対照的とも言える特性をうまく融合して、それこそ「和」の精神で活かし合って行ったら、どんなにいいだろうと思うのです。陽と陰、柔と剛、おおらかさと野心とでも言いましょうかね、互いにないものを持っているんですよ。
物流立国を目指す静岡、環境立国を目指す山梨。ある意味対照的ではありますが、それもまた互いに補い合う関係だとも言えましょう。
私は今まで、自分の生まれ故郷である静岡を、なんとなく避けていたような気がします。それこそ妙なコンプレックスがあったんでしょうかね。静岡で過ごした青春時代があまり明るいものでなかったからでしょうか(苦笑)。しかし、今日をきっかけに、両者の融和、和合を目指して活動していこうと決心しました。
さて、まずは何から始めようかな。静岡の皆さん、ぜひご協力のほどよろしくお願いします。もちろん、山梨の皆さんも。
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コメント
先生こんばんは(^-^*)/
これは!!!私に対するコメントでしょうか?!(なわけないかf^_^;)
大沢崩れは途中で名を変えて「潤井川」になります。
その「潤井川」が自宅脇にあります。
そうかぁ〜。
真横に溝が(:_;)
そしてこの前ふと地図を見たら、地元の浅間大社と富士吉田の北口本宮浅間神社は富士山を挟んで対極であることに気付きました!
凄いですよね!大昔の人はどうやって位置を決めたのか…。
意識的かどうかは謎ですが、フジファブリックはライブを静岡であまりやってませんでしたね。
来ても浜松。
うちからだと東京行くくらい距離があります。
お年寄りなんかは敵対心丸出しの人もいますが(隣人をよく言わないのと同じですね)私は山梨大好きですよ!!!
今まで参戦したライブは山梨ばかりだし!!!
そうそう、昨日新しいクルマが来たので富士山ナンバー仲間入りしました!これからも仲良くしてくださいね♪
投稿: さお | 2011.02.26 19:08
こんにちは!
山梨と静岡の関係が少し分かったような気がします。
しかしその土地に住んでみないとわかりませんね〜。
観光しただけでは。
山梨も海なし県ということで共通点があり、嬉しく思っていました。
(群馬出身なので)
それにしても富士山ナンバーはうらやましいです。
停めてあった車のナンバーを勝手に写真に撮ろうかと思いましたが、
理性が働き、やめておきました。
うらやましい!!
投稿: とも | 2011.02.26 20:43