フジファブリック 『地平線を越えて』& Kansas 『Portrait (He Knew)』ほか
昨日、「プログレ」の話が出ましたね。私の音楽のルーツの一つは間違いなくプログレです。そう言えば私、一時期「プログレッシヴ・バロック」という古楽バンドやってましたっけ。ま、それほどそういう世界が好きだということです。
プログレというのは面白いもので、本来アンチクラシック音楽(近代西洋芸術音楽)、民俗音楽回帰というところから始まったはずのロックが、「芸術性」すなわち「複雑さ」「構築美」(最初の変換が「好乳首」になってしまった…爆笑)を求めるという、ものすごい自己矛盾の上に成り立っているんですよね。
ま、一絡げには言えませんけれど、いろいろな国にそれぞれの民俗音楽と芸術音楽があって、それらをそれぞれの国のロック・ミュージシャンたちが、なんとか融合しようと頑張った時代があったわけです。
その結果、だいたいがまた新しい矛盾に遭遇することになりました。それは「難解さ」が生む「非大衆性」です。本来大衆音楽であったはずのロックがどんどん難しくなっていって、一度聴いても分からないような方向に行ってしまった。
日本のプログレもそうだったんです。それはそれでマニアックなジャンルとして魅力的でしたがね。しかし、なかなか商売にはならなかった。自己矛盾は自己矛盾のままだった。
私も、自分自身がそういう音楽を求めていた時もありますから、この分野に関してはかなりうるさい方だと思いますが、上記のいろいろな事情を考慮した上でですね、フジファブリックの「地平線を越えて」はすごい曲だと思います。
つまり、そうした自己矛盾を見事に昇華しているということです。8分の12の複合拍子を基本に、変拍子やポリリズムなどを含むことや、また、特殊な転調や先の読めない展開、メロディーではなくパッセージ(リフ)の積み重ねなど、いわゆるプログレの王道をしっかり押さえつつ、メロディー的には日本古来の四七抜きと西洋音階を巧みに混合し、加えて、日本語の譜割りが実にお見事。開音節構造から生まれる単調なシラブルを羅列することによって、音楽的なポリリズムを意図的に無意味化しているところがあります(なんて、いかにもプログレな分析、解説でしょ?)。
私は、この曲を初めて聴いた時、この志村正彦という男はいったい何者だと思いましたよ。こんな若者がいるのか!これは天才だ。その時は、まさか彼が富士吉田の青年だとは思いもよりませんでした。
そして、この曲を聴いて、音作り的にはイエスなども想起されましたが、なにより私の印象と重なったのは、アメリカン・プログレの雄、カンサスのこの曲です。「ポートレイト」。
ELOと並んで、私にヴァイオリンを始めさせたバンドの一つが、このカンサスです。中一の時、こんなのを盛んに聴いていたんですからね、ずいぶんとませたガキでした。てか、みんなこういうの聴いてましたよ、あの時代は。
ええと、これはたぶん2002年のライヴ映像です。かっこよすぎですね。
ついでにもう一曲。私はこの後奏のヴァイオリン・ソロを弾きたくてヴァイオリンを始めたようなものです。これはオーケストラと共演したライヴですね。けっこう最近のもののようです。こんな曲、どうやって作曲するんだろう。大人になっても不思議に思います。すごいな。
さて、最後にもう一度「地平線を越えて」です。昨年のフジフジ富士Qでは、斉藤和義くんが歌いましたね。「志村君の曲めんどくさい。ギターは難しくて、メロディーはへんてこりんで。なんでメンバー止めなかったの?」って言ってましたね。それこそプログレじゃないっすか!!…なんて、もちろん、せっちゃんの言葉は愛情のこもったシャレですよね(笑)。ナイスなコメントでした、ホントに。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- AIで創る「新しいバロック音楽」(2025.05.14)
- 古文訳J-POP(有隣堂しか知らない世界)(2025.05.12)
- 『砂の小舟』 丹波哲郎 監督作品(2025.05.08)
- 『Baby, I Love You』by Suno AI v4.5(2025.05.07)
- 『Tokyo Jazz』by Suno AI v4.5(2025.05.04)

コメント
こんばんは!
プログレに北欧……最近は音楽三昧ですね!
楽しく読ませていただいてます。
“地平線…” が入っているFAB BOXがフジでは1番好きなアルバムです。
もう全曲好きなのですが。雨のマーチも中毒になります。
FAB BOX、この曲選で最後に“茜色”をもってくるのが凄いと思いました。
アルバムタイトルも完璧です!
投稿: digger | 2011.02.22 19:01
またまたお邪魔します。
『地平線を越えて』も,志村くんの才能全開の名曲ですよね。
私がフジファブリックを知ったのは,斉藤和義さんがきっかけです。
斉藤さんと山内総一郎くんはプライベートでも仲が良くて,斉藤さんの方から「フジフジ富士Q」で『地平線〜』を歌うことを申し出られたようです。斉藤さんは山梨の大学に通われていたこともあるし,いろんな縁でミュージシャン同士も繋がっているのだなあ・・・と感じました。CS放送では,MCと『笑ってサヨナラ』がカットされていたので残念です。でも,さすが,斉藤さんらしいナイスなコメントです!!
投稿: 松原恵子 | 2011.02.23 14:33
こんにちは。
プログレ。なんとナイスなタイミングでしょうか。
つい先日、キング・クリムゾンのクリムゾン・キングの宮殿を某有名レンタルショップから借りてきたばかりです。あのジャケットが忘れられなくて…。
かっこいいけど難しい、そんな印象でした。聞き込めばまた違うのでしょうか。
プログレなんて言葉、「地平線を越えて」を聴いた時は知らなかったのですが、洋楽っぽくてかっこいい!!!と思ったのを覚えています。
フジQといえば、民生くんが「茜色の夕日」を歌った時、総くん、志村くんのストラト弾いてたんですね…。
当日は遠くて、涙で、わかりませんでしたが…。
当日わかってたら、ますます号泣でした、たぶん。
投稿: かえで | 2011.02.23 17:20
初めまして。信玄餅の正しい食べ方を検索してこちらにたどり着きました。私も郡内の学校の教員をしております(笑)。コメントしたのわたしもカンサスが大好きで、久しぶりにこちらで見入ってしまったというのか聞いてしまいました。こんな機会を与えていただきありがとうございました。
投稿: luckyno3 | 2011.02.27 18:56