『公民教育が抱える大問題〜家族と国家が消えていく!』 小山常実 (自由社)
先日、「戦後最大の偽書」との称号を戴く東日流外三郡誌を紹介しましたが、はっきり言って、こちらの方こそ「戦後最大の偽書(偽史)」でしょう(笑…えねえ)。
いやあ、私もすっかりだまされてましたよ。というか、いったいどれだけの日本国民がだまされ続けているんでしょうね。
大人をだます「東日流」ならまだしも、純真無垢な子どもを長年にわたってだまし続けているわけですから、とんでもないことです。
今まで、いわゆるトンデモ偽書の「作者」に対して、ある種の「愛情」を感じざるを得ないと書いてきましたけれど、この「誰か」に対しては…。
「偽書」や「偽史」の定義にはいろいろありますが、ワタクシとしては、やはりある種の「悪意(我田引水)」の存在を一つの要素として挙げたいですね。
その点、現在現場で使われている「教科書」というのは、様々な「悪意」に基づいて執筆、編集、検閲、採択、活用されています。
この本にも書かれていますとおり、以前は「共産党が教科書を作り、社会党・日教組が採択し、自民党が金を出す」状況だったわけですが、現在の民主党政権下では、いったいどういうパワー・バランスになってるんでしょうね。なんだか恐ろしくもなります。
一般に、「教科書問題」と言いますと、どうしても「歴史教科書」が頭に浮かびますよね。私もこの本を読むまでそうでした。まさに捏造された「偽史」という視点での問題です。実際、皆さんご存知のとおり、国内外を問わず、いろいろな立場からの我田引水的喧々囂々が繰り返されてきました。
しかし!実際には「公民教科書」の方がずっと「悪意」に満ちた「偽書」であった!というのが、この本の基本的スタンスです。そして、それを証明するために、戦後の全ての公民教科書の記述をていねいに読み込み、そこに見え隠れする「悪意」の数々と、その「悪意」の主を論難しております。
私もそうした「公民教育」を完璧に受けてきた人間ですから、正直この内容にはショックを受けました。ショックを受けると同時に、目からウロコが落ち、実際今、教育現場、特に中学校に身を置く者として、こうした視点で教科書を見直すことの重要性を再確認させていただきました。実際採択の責任者でもありますし。
ちなみに、私は、いわゆる保守論客でもありませんし、極度な右派でもありません。しかし、山梨県という、全国でも非常に特殊な(異常な)学校教育環境の中では、どうしても教育的良心、いや人間としての良心から、反組合的な立場にならざるをえません。
そうした立場からいろいろ言いたいこともあります。しかし、なかなか「書く」となると難しい部分があります。残念ながら、小山さんの分析や意見について、一つ一つ感想や意見などを述べることは差し控えさせていただきます。
しかし、声を大にして申し上げたいのは、ぜひとも多くの「大人」の方々に読んでいただきたい、ということです。そして、自分たちがどういう「公民教育」を受けてきたのか、そして、今自分たちの子どもにどういう「公民教育」が施されているか、ぜひ知って、そして考えていただきたいと思います。
この本の内容に関して、小山さん自身が語った番組の動画がありますので、とりあえずこれを観ていただきたいと思います。「日本国憲法の三原則」という、私たち「純真な日本国民」の共通の常識が、実はでっちあげられたものであるという「検証」一つ取っても、これはもう驚きです。
ふむ、それにしても、こんなに近所の、たくさん教え子がお世話になっている短大に、こんな論客がいらっしゃったとは。いつか、お話をうかがいに行きたいものです。
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コメント
本当に、目から鱗が落ちるような感覚になる記事でした。
教えて下さり、本当にありがとうございます。
確かに、ちょっと考えれば、公民教科書に手が加われないはずがないのですが、ここまでとは・・・
さっそく私のブログに転用させていただきました。
勝手ですみません
投稿: ピピン | 2011.01.31 00:57
動画拝見いたしました。
この小山先生というのは一体何を恐れているのですかね?私には失礼ながら、ただただ滑稽にしか見えませんでした。法とは何か?国家とは何か?それらに対する私の認識は、小山先生のそれとは大きくかけ離れているようです。きっと私が悪しき公民教育を受けてきたからなんでしょう。
公民教育ごときに全てをおっかぶせる様な単純で視野狭窄なものの捉え方感じ方考え方に嫌悪を憶えます。それ以上に両側にいた司会やコメンテーターも気持ちが悪い。公民教育に騙されてきたと言われるや、疑いもせず手のひら返して新説にすがり、感心したおす。きっと御利益のある高価な壺でも購入した経験がおありなんでしょうよ。
逆説的に言えば教育にそんな力はないです。教育者が陥る錯覚ですよ。
憲法なんて都合良く解釈すりゃ良いんです。そう言えば元航空自衛官の田母神さんも、テレビで似た様な発言をしてました。この方を 100% 支持などしませんが、少なくとも小山先生より共感出来ますね。
投稿: LUKE | 2011.02.01 05:04