『この窓は君のもの』 古厩智之監督作品
え〜!この作品DVD化されてないんだぁ!?
突然思い出したんです、この映画。
昨日のフジファブリックの「Strawberry Shortcakes」の記事を書きながら、なんとなく不器用な「男と女」のイメージがわきましてね、それでこの実に青い「TEENAGER」の映画を思い出したと。
たぶん、志村くんも好きですよ、こういうの。もしかすると観たことあるかも。昨日の太宰同様、山梨を舞台にした作品ですし。
切なく甘酸っぱくやるせない、いわゆる「青春映画」としてはですねえ、極私的ではありますが次の三つを挙げたいと思います。
まずは、ショパンの「別れの曲」がしみる大林宣彦監督・富田靖子主演の「さびしんぼう」。いやあ、私、富田靖子さんの大ファンだったんですよ。たぶん今観たら泣いちゃうだろうな。おっと、予告編があったぞ。
富田靖子さんの歌が入ったアルバムも買ったっけ。1985年ですから、私21歳だったんですけどね。大学生なのに、まだ高校時代を引きずっていたようです(笑)。
それから、最近電撃結婚で注目された「あゆ」がまだ歌手でなかったころの主演映画、橋口亮輔監督の「渚のシンドバッド」。これも好きだなあ。ホントこの17歳の浜崎あゆみの魅力はハンパではありません。
そして、この「この窓は君のもの」です。そっかあ、これ今観れないんだ。私、昔WOWOWでやったのを録画してあったのですが、それもどこかにいってしまいました。だからもう10年以上観ていません。レンタル落ちの中古ビデオ買っといた方がいいのかなあ…。
山梨は勝沼、高校の夏休み、ぶどう畑の中で繰り広げられる、どうにももどかしい恋愛劇。結局ほとんど何も成就しないまま終わる…それがまた切ないんですよね。
この作品、古厩監督の長編デビュー作になるんでしょうか。とは言っても、16ミリですし、なんかそれ以上に、いや以下に8ミリ自主制作映画風でして、その技術や演出の初々しさと、役者さんたちの気取らない自然な演技が、この映画を見事に「青春映画」たらしめています。
90年代に作られたとは思えない、ある意味70年代風の恋愛を味わうことができる不思議な作品ですね。お互い気になっているのに、そしてタイムリミットが迫っているのに、なかなか言い出せない。特に男。女はけっこう無邪気に残酷。
そう、当時監督さんの恋人であったという主演女優の清水優雅子さん、決して美人ではないのですが、健康的な不思議ちゃんという感じで魅力的。ふむ、たしかに高校生のワタクシなんかも、軽く振り回されそうな気がします。
で、二人、結局言葉(セリフ)ではなくて、たとえば枕を意味もなく(いや、意味深に)投げ合ったりして、感情の交換をします。でも、やっぱりそれじゃあ「契約」にはならない。
でも、そういう言葉にならない、あるいは言葉というフィクションでくくる勇気の出ない、そういう恋愛感情こそが、私なんか古い世代からすると「本物」だという気がするんですよね。
恋愛なんて、もともと「本能」、プリミティブなものじゃないですか。それを言語化するから、すぐにウソ臭くなるんですよ。
今日も、教え子のある女子大生と恋バナで盛り上がり(いや、盛り下がり)ました。どうも最近の男は簡単に「こくる(告白する)」が、そのあとが全然ダメだと。女々しいと。依存してくると。なるほど、メールやケータイのおかげで、「言葉」としてフィクションの「愛」は語れるようになったかもしれませんね。しかし、実体的な「恋」となると、これはもう全然ダメ。原始的な振る舞いを知らないのです。
恋って「モノノケ」なんですよ。愛は「コトバ」です。今どきの恋愛はみんな「コトバ」優先なんですよね。「コト」を極めて「モノ」に至るならいいのですけれど、その「コト」さえも極められないし、自分が発した「コトノハ」に責任すら持てない。いかんですよ。今の男どもは(笑)。
なんて、私なんか若い頃、もっとひどかったからな。プリミティブにもなれないし、カルチュラルにもなれない、情けない男でありました。でもなあ、「コト」化しなかった分だけ、嘘つきにはならなかったし、女性に迷惑はかけなかったと思いますよ。孤独でしたが(笑)。
…と、自分のことはいいとして、この映画、主人公二人を取り囲む友人たちの恋愛ベクトルも、まあいろんな方向に向かっていて、全然かみ合わず、すれ違ってばかり。ある意味とってもリアルですね。そんな簡単にカップルできるわけないもんな(現代では、あぶくのごとく生まれては消え生まれては消えしてますけどね)。
まあ、とにかく急にこの映画を観たくなりました。どうしようかなあ。
ストーリーなど気になる方は、こらちをどうぞ。
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コメント
こんばんは。
今までこういう映画は観る機会がなかったかもしれません。 でもこの題名とてもそそられます(笑)
たぶん 好きだと思います。このテのものに弱いです。
先生 富田靖子さんお好きだったんですね。
「アイコ十六歳」って富田靖子さんでしたよね?
本しか読んだことないんですけど、富田靖子さんの名前見るとこの本を思い出します。
投稿: さつき | 2011.01.08 01:52