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2011.01.20

『世代をつなぐ鉄道ブーム』 (NHK クローズアップ現代)

Photo29891 つのまにか、てっちゃん、鉄ヲタの時代は終わり、みっちゃんから鉄子、鉄女、そしてそれらも細分化され、子鉄、ママ鉄などなど…なんとも感慨深いですなあ。
 昨日は自転車の話を書きましたが、今日は電車の話。ともに私の少年時代の趣味であります。昨今の自転車ブームも、また鉄道ブームも、その牽引力は「昔の少年」、すなわち我々のような世代にあるのではないでしょうか。
 まあ、あの時代の男子にとって両者は定番ですからね。小学校時代の私もご多分にもれず、鉄道ファンでしたよ。東京に住んでましたし。いっちょまえに一眼レフを振り回して写真を撮るわ、HOゲージを集めるわ、時刻表を眺めるわ、それこそ「鉄道ファン」を購読するわ…。立派な鉄ちゃんでしたね。
 あの頃、一緒に活動していた友人は、その趣味が高じて、今では改札システムのプログラミングなんかやってるようですよ。
 あの頃の男子にとっては、まず「メカ」としての魅力があったのだと思います。巨大メカですね。これはもう男子の本能ですから。それが見えない何かに制御されている。つまり「ダイヤ」によって整然と稼働しているという魅力ですね。
 あとは単純に、距離的な移動の快感でしょうかね。知らない街につながる不思議。
 いろいろな魅力があるのが鉄道の世界ですね。
 それが、今、ブームであると。それも女性が鉄道に萌えている。ふむふむ。
 今日の紹介のされ方とはちょっと違いますが、たとえば以前紹介した「青春鉄道」なんか、いかにも女性らしい鉄道の楽しみ方ではないでしょうか。
 まあ、それとは別に、社会学的にこのブームを分析してみましょうか。ワタクシの「モノ・コト論」もまじえて。
 今日の番組の解説にもありましたとおり、現代日本では、たとえば家族や宗教といった社会の紐帯がどんどん失われていますよね。私たちは徹底的に「個人」に分解されてきました。
 たとえば、自家用車をもって、自分の「個室」の中で、好きな音楽をかけて、行きたい所を目指して、自分の都合の良い時間に出発し、休みたい所で休み、通りたい道を通って行くわけです。これは、ある意味では理想的な生活スタイルですよね。
 電車においても、たとえば通勤電車という単なる移動手段の中では、皆それぞれがイヤホンをしていたり、ケータイの画面を注視していたり、結局「個」としてただそこにあるだけじゃないですか。
 かつては愛社精神に支えられて一つの家族的(人間的)集団だった会社も、今やほとんど人間の機械化が進み、結局それぞれの「部品」の集合体になってしまっています。
 学校もまた、「事なかれ主義」の横行などにより、「第二の家庭」という雰囲気はなくなってしまいしまた(ウチの学校はそういう意味ではずいぶんと保守的ですけど)。
 メールやケータイ、ネットの発達による逆説的な孤立についても言うまでもありません。
 そんな実に利己的で無味乾燥な世の中において、私たちは、どこか寂しさや哀しさを感じているんですよね。あたたかい何かが欠如している。
 すなわち、私たちは「自分の思い通りになる」という「コト」を極めようと、近現代を疾走してきたわけですよね。それが極まりつつある今、逆に自己の埒外の「モノ」を求めるようになったのではないでしょうか。
Photo29892 その一つの在り処が、「鉄道」であったと。
 鉄道はたしかに、非常に保守的なメディア(媒体)です。
 基本、その実質は明治時代から何ら変わっていないとも言えます。昭和時代に、少年が感じた魅力がほとんどそのまま生きていますよね。
 すなわち、他者の意思(コト)に制御されたシステムは、実は自己にとっては「モノ」だということです。路線や駅やダイヤの設定にせよ、あるいは車体のデザインなども、他者によって決められたコトであって、それはすなわち私たち利用者にとっては不随意なモノとなるわけです。ある意味選択肢が限られている。
 しかし、それを、たとえば時刻表や路線図を解読して、ある程度自分の意志のもと選択し組み合わせていくというような、自己の「コト」性も絶妙に介在するじゃないですか。それがまたいいんですよね。そのバランスが、アナログっぽいし、今となってはアナクロっぽい。
 もちろん、本質的に付随する空間移動的な「旅」や、人生の象徴としての時間移動的な「旅」も大きな魅力です。
 また、あの閉じた空間の中で、たまたま乗り合わせた他者(偶然性といい、他者性といい、まさに「モノ」ですな)と、ほとんどある種強制的に時間を共有するわけじゃないですか。そこには、現代の我々(特に女性?)が渇望する「出会い」があるわけですよね。それがまたいい。
 今まで面倒だとして放逐してきた「もののあはれ」が鉄道にはあるのです。
 というわけで、ここ数年の鉄道ブームや自転車ブームの意味もよく分かりますよね。
 私も最近は車でばかり移動していて、電車や自転車に乗ることが極度に減りました。私もブームにあやかりつつ、忘れてきた何かを取り戻す「旅」に出てみようかしら(笑)。

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コメント

こんにちは!
僕もテレビ、見ました。
昔のことを思い出していました。
小四から小六の時、週末によく電車で八王子の親戚の家に行きました。
中央線の電車の中で、知らない大人の人に話しかけられることが何度もありました。そういった人たちと話すことはとても楽しかったです。
大学生くらいの人はよく、少年誌を貸してくれました。
五年生の頃までは、まだ、木造車両が走っていました。
ドアは手動で、走行中でも開けられました。
走行中にドアを開け、手すりにつかまって少し身を乗り出すという危険なことをして遊んだこともありました。
あの木造車両にまた乗ってみたいと、今でも時々思います。
昨日の、YS11、数年前に、僕もほしいと思っていました。

投稿: kobayashi | 2011.01.21 21:04

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