音楽番組三昧
年末はやっぱり音楽番組ですね。今夜はずっとBS2を鑑賞。音楽史のおさらいをしました。こうして俯瞰すると面白いですね。はたして、日本の大衆音楽は進化しているか、退化しているか…。
そうそう、昨日の前夜祭がすごすぎた日本レコード大賞ですが、結局大賞はEXILEの「I Wish For You」でしたね。3年連続は浜崎あゆみ以来とのこと。
浜崎あゆみは、意外に伝統的な日本音楽と日本文学の世界を継承しているので、私としてはそれほどイヤではなかったのですが、はたしてEXILEはどうなんでしょう。あれは日本の音楽なのでしょうか。いや、別に嫌いでもありませんよ。好きでもありませんが。
そう、私にとってのEXILEはこちらに書いたようにアメリカのバンドなんですよね。日本レコード大賞よりずっとすごい。全米1位ですから(笑)。
ま、それはいいとして、なぜ2008年から今年までEXILEなのか。どういう道筋を通ってこういうことになったのか、その流れを感じながら今日連続鑑賞した番組はこれらです。
美空ひばり 遺した言葉たち〜歌そして人生〜
J-POP 永遠の80's
SUMMER SONIC 2010
黄金の洋楽ライブ オリビア・ニュートン=ジョン
美空ひばりさんについては、今までもたくさん書いてきましたから今日は割愛します。ただ、昨日の日本の歌謡史50年とひばりさんの業績がぴったり重なっているかというと、微妙にそういうわけではありません。
なんといいますかね、いい例えかどうか分かりませんが、ヨーロッパのバロック音楽時代のバッハみたいな存在なんですよね。世間一般の音楽世界とはちょっと一線を画している感じがする。そして、後世の評価がどんどん高くなってくる。
もちろん、ひばりさんは大スターだったわけですが、大スターだからこそちょっと浮いた存在でもあったと思うんです。もちろん反ひばり、敵対勢力もありましたし。
ひばりさんはなんでも歌いますからね。だから代表曲というのが、案外わかりづらい。楽曲には恵まれなかったとも言えなくもない。不思議な存在です。
さてさて、そんな昭和の歌姫の栄光に陰りが見え始めた1980年代。ひばりさんと並行して発展してきた「歌謡曲」もまた息絶えようとしていました。お茶の間ではアイドルが大量生産され、それに対するアンチテーゼの意味も含め、楽曲と演奏の実力で勝負しようとする「素人」が出てきました。
「素人」という言葉をあえて使ったのは、それまでの「職人作曲家」、たとえば昨日紹介した筒美京平さんたちや(いや、筒美さんはうまいこと80年代も活躍してましたね)、「職人作詞家」、ひばりさんのような「職人歌手」、そして「職人バンド」と区別するためです。
70年代までの「歌謡曲」は職人による完全なる分業制がしかれていました。だからこそ世界に誇るレベルの音楽が大量に生まれたんですね。
80年代は、それが大きく崩れた時代です。もちろん、70年代にもフォークやロックの畑があって、全て自前でやってしまう「素人」がたくさんいました。ある意味ではそれこそが本来の音楽の姿であるとも言えますし。
洋楽の影響というのもあるでしょうね。ロックの台頭という流れもあるでしょう。そして生まれたのが、J-POPという言葉です。歌謡曲との決別ですね。
ま、今日の番組で再確認しましたが、80'sも作詞、作曲は歌手本人でないことが多かったんですよね。ただ、その作詞家、作曲家が職人かというとそういうわけでもなかった。いわゆるニューミュージック畑からの参加が多かったんですね。
そうした流れについては、こちらの本に詳しく書かれていました。この本を読んだあとだったので、より流れをつかみやすかったかもしれません。
私は80年代の日本の音楽、ほとんど聴いていないんですよ。もちろん、耳には残っていますが、当時は洋楽やらバロックやらジャズやらに一生懸命でしたので。ちょっとバカにしているところすらありました。
その後の小室哲哉的音楽やビーイング系音楽を経て、今の日本の音楽界になっていくわけですね。そして、私はどんどん日本の大衆音楽から離れていきました。
さらに変化(退化?)に拍車をかけたのは、ラップの登場です。のちにヒップホップやR&Bと称されて日本の大衆音楽の中心になっていく「(えせ)ブラック」の流入ですね。今夜のSUMMER SONIC 2010の番組では、ちょうどそのあたりが特集されていて、私は閉口、いや閉耳してしまいました。
歌からメロディーや「日本語」がなくなってしまった。これは古い人間にとっては非常に辛いことです。
そして、EXILE時代へ…。どんなもんなんでしょうね。どう評価すればいいのでしょうか。
さてさて、最後に観たオリビア・ニュートン=ジョンですが、これが実に良かった。歌姫オリビア、職業作曲家による素晴らしい楽曲、トム・スコット率いる超強力バンド。良質のエンターテインメント。
では、最後にこれをお聴き(ご覧)下さい。ELOのジェフ・リン作曲の名曲「XANADU」です。洋楽もまた古き良き時代だったのかも…。
あっそうそう、全体を通じて一番インパクトあって、心ふるえたのはSHOW-YAでした。再結成してたんだ、知らなかった。かっこよかったっす。
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コメント
前略 薀恥庵御亭主 様
「音楽」はいいですね。
「人」は消えても・・・
「音楽」は無くなりません。
いつもながら感じることですが
「音楽」は「平和の象徴」です。
合唱おじさん 拝
投稿: 合唱おじさん | 2010.12.31 16:17