富士変幻その2
「富士にたのもう(富嶽百景)」…太宰治もこの地でそう言っています。困った時の富士頼み。ここ1ヶ月くらいの間に、いつもの窓から撮影した富士山をご覧いただきましょう。
まさに普段着の富士山。なかなか写真集やカレンダーや絵はがきでは見られない富士山だと思います。私たちは毎日こういう富士山と顔を合わせています…というか、あまりに日常的にそこにあるので、意識せず、つまり見たという記憶なく暮らしています。そういう意味では、こうして皆さんに見ていただくために写真を撮るというのは、私にとってもいいことです。そう、ちょうど短歌を詠むようなものですね。意識の中に何気ない風景を取り込む。
まずは11月29日の夕刻の富士。今年は西風が強く、西斜面の雪は積もってもすぐに飛ばされます。
翌日11月30日昼間。こういう微妙な雲との共演がいいんですよね。
12月4日。これぞ「裏富士」というのをお見せいたします。月夜富士と同様に、あまり知られていない、富士北麓独特の風景です。
まずはお昼ごろ。富士吉田は富士山の北東にありますので、南中した太陽光を向かって左から受けます。そして雪に反射して光って見えます。
太陽との位置関係はこんな感じですね。冬の太陽の南中高度はこんなに低いのです。
そして、1時間半後、太陽が富士山をまたぎますと、ほら、こんなふうに富士山の北斜面には日が当たらなくなるんです。まさに「裏富士」という感じです。静岡では考えられない光景。
続いて、これはこの前紹介しましたね。歴史的特異日12月8日、雪が降りました。
翌9日夕刻。月齢3.4の、まさに「三日月」がぽっかり浮かんでいます。
こういう雲をまとっている富士山もいいですよね。富士はくまなきをのみ見るものかは。
12月14日。富士山から東は曇り、西は晴れという、面白い景色をどうぞ。
ダイナミックな天候変化。富士山にも不思議な造形が現れ変化します。
天気は西から東へ変化するということを実感。でも、富士山にひっかかっちゃうんですよね、空気の流れが。
12月16日。曇り空の富士。高曇りの日の富士山は明暗のコントラストが小さく、とても穏やかに見えます。こんな富士も案外知られていない?
いかがでしたか?素晴らしいでしょう。こういういろいろな表情の富士山に見守られて、私たちは生活しています。
フジファブリックの志村正彦くんも、今、故郷に帰ってきて、毎日こんな富士山を眺めていることでしょう。彼の感性のかなり多くの部分は、こんな富士山に育てられたのです。
撮影に使っているカメラはこちらの安物です。案外きれいに撮れます。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- ラモー 『優雅なインドの国々より未開人の踊り』(2024.08.12)
- ロベルタ・マメーリ『ラウンドМ〜モンテヴェルディ・ミーツ・ジャズ』(2024.07.23)
- まなびの杜(富士河口湖町)(2024.07.21)
- リンダ・キャリエール 『リンダ・キャリエール』(2024.07.20)
- グラウプナーのシャコンヌニ長調(2024.07.19)
「文化・芸術」カテゴリの記事
- いかりや長介と立川談志の対話(2024.08.19)
- 九州人による爆笑九州談義(筑紫哲也、タモリ、武田鉄矢)(2024.08.18)
- 全日本プロレス祭 アリーナ立川立飛大会(2024.08.17)
- 『もしも徳川家康が総理大臣になったら』 武内英樹 監督作品(2024.08.16)
- ラモー 『優雅なインドの国々より未開人の踊り』(2024.08.12)
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 九州人による爆笑九州談義(筑紫哲也、タモリ、武田鉄矢)(2024.08.18)
- 『もしも徳川家康が総理大臣になったら』 武内英樹 監督作品(2024.08.16)
- ラモー 『優雅なインドの国々より未開人の踊り』(2024.08.12)
- 『大鹿村騒動記』 阪本順治 監督作品(2024.08.11)
- 富士山と八ヶ岳のケンカ(2024.08.10)
「自然・科学」カテゴリの記事
- 『大鹿村騒動記』 阪本順治 監督作品(2024.08.11)
- 富士山と八ヶ岳のケンカ(2024.08.10)
- 模擬原爆パンプキン(2024.08.09)
- 日向灘M7.1発生〜南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)(2024.08.08)
- 北海道はでっかいどー(2024.08.04)
「文学・言語」カテゴリの記事
- いかりや長介と立川談志の対話(2024.08.19)
- 九州人による爆笑九州談義(筑紫哲也、タモリ、武田鉄矢)(2024.08.18)
- 富士山と八ヶ岳のケンカ(2024.08.10)
- 上野三碑(こうずけさんぴ)(2024.08.06)
- 東北のネーミングセンス(2024.07.28)
コメント
先生こんにちは(^-^*)/
昨日から冷え込んではいるのですが、西麓からは雪がだいぶ溶けてしまったように見えます。
富士吉田に伺うと、うちよりもダイナミックな富士山を拝見できます。
雪が降ると、更に大きく見えますよね?
三男も商店街を車で金鳥居方向に向かっているとき、あまりの迫力に
「怖え〜!!!」と…。
先日伺った日はほんっっとに寒く 雪に完全に覆われていて、携帯で写真撮っても 真っ白でなんだかわからない状態…雲にも覆われてましたので。
ああいうダイナミックな富士山はこちらからだと朝か夕方でないとお目にかかれませんね〜。
志村くんも噴火の恐怖と隣り合わせだと言っていましたが、確かに、美しさと恐怖。麓に住む者の宿命ですね〜。
普段はそんなこと気にもかけませんがf^_^;
また富士吉田からの富士山見せてくださいね♪
投稿: さお | 2010.12.20 14:11
こんばんは。
やっぱり富士山最高ですね。
窓からの眺めがこうだったら、今頃
近視になんかならなかっただろうに・・・
いつまでも、ぼーっと見ていたいです。
先生の写真にはいつも色んな表情の富士山
が写っていて、うらやましいです。
贅沢です!
パノラマのときの左に写っているのは、
「夕方5時のチャイム」がなる所ですか?
無知なもので(ノ_-。)、間違ってたらすごく恥ずかしい
ですが・・。
志村くんの事、想わない日はないです。
山だったり、空だったり、雲だったり・・・
そんな自然を見て誰かを思い出すなんてこと
初めてで、自分でもびっくりしています。
志村くん恐るべし。
また素敵な富士山たくさん見せてください!
投稿: かえで | 2010.12.20 23:26
こんばんは。もう年内に富士吉田に行くのは
無理かなあと思っていたのですが、機会に恵まれて
15日行ってました。
今回はひとりではなく友達と行ったのですが
この日はとても天気がよかったのでキレイに
富士山が見えて(私から見た感じでは)友達は見とれて
いたと思います(笑)
この様な景色のどこかに志村さんがひょっこりいそうな
そんな気もしてしまいます。
いつもキレイなお写真ありがとうございます。
先生は道具を活かすのがお上手なのでしょうか・・・
ホントに見とれてしまう写真です。
投稿: さつき | 2010.12.21 00:31
みなさん、コメントありがとうございます!
富士山はすごいですよ。
志村くんもきっとこのパワーをもらって育ったんでしょうね。
地元ではあまりに当たり前な風景なので、みんな意識していません。
そんな中、やっぱり彼は特別感性が鋭かったのだと思います。
かえでさん、そうです、5時のチャイムのものです…たぶん(よく分からない…笑)。
近いうちに「5時のチャイム」全曲アップしますよ。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.12.28 14:14