レミオロメン 『10th Anniversary TOUR 2010“花鳥風月”結成10周年記念日ライブ in 山梨』
おめでとう!レミオロメン!
今日がバンドとして10歳のお誕生日ということですね。治くんの日記によると、12月6日に「亮太、啓介とバンド始めた」そうです。信憑性あるのかな(笑)。
さて、その記念すべき日に、今回の長大なツアーのファイナル(追加公演除く)である山梨凱旋ライヴが行われ、ワタクシもいろいろな方々の計らいのおかげで参戦することができました。皆さん、ありがとう。
今日はそのような特別な日、そしてマネージャーさんの誕生日でもあり、そしてWOWOWで生中継もあったということで、地元の親族や友人たちはもちろん、全国からこの瞬間を共有しようと参戦した多くのファンたちのおかげで、実にレミオロメンらしい温かいライヴとなりました。うん独特だなあ、やっぱり。ほんわかする。
私としては、5月の凱旋ライヴ以来となります。基本的な感想は5月の時と同じですが、やはりこのマラソンツアーを通じて成長したというか、余裕や工夫が随所に感じられましたね。深みが増したと言っていいでしょう。
藤巻くんのボーカルは、ファルセットで思うように声が出ないところが多少あったほかは、いつになく(失礼)安定していて、そして声質にも艶があって実に伸びやか。やはり気持ちがこもっていたのでしょう、いい歌唱でした。
前田くんのベースはいつも通り、ものすごいグルーヴ感を出しており圧巻。特にバラード系で強いんだよなあ。「恋の予感から」のうねりはカッコよかった。
神宮司くんはさらにキャラが開花。まったく面白いドラマーですよ。今どき、これほど抜けた(いろいろな意味で)ドラマーはいませんね。何度も書いているように、それがこのバンドの味を出しているのだから、結局すごいとしか言えません(笑)。
サポートの皆川さん、ワタクシ的には、藤巻くんのMCのバックでさりげなく弾いていた即興曲が良かった(笑)。経験の生むスゴ技ですよ、地味に。
そして、そうそう、今回も大注目はサポート・ギターの河口修二さん!あの夏の夜の夢がまざまざと思い出されましたよ。いろいろと特別講義を受けさせてもらいましたから、今回は超マニアックな視点で彼のプレーを拝見していました。Sakuraでのスコルダトゥーラ・ギターもバッチリ決まっていました。相変わらず弾きにくそうでしたが(笑)。
今回再確認しましたのは、やはり藤巻くんの独特の作曲術というか作曲センスでしょうか。意外な音程間隔で跳躍するんですよね。それがいつも言っている「非和声音(結果として不協和音)」や、ギタープレー上の困難を生むのです。もちろん、レミオロメンらしさもそこで生まれる。河口さんも感心するやら、困惑するやら。こういう感性の源泉がどこにあるのか、非常に興味のあるところですね。
今日も披露された新曲の「Your Song」(どっかで聞いたことあるタイトルだな…笑)も、ステレオタイプな下降バスを伴った楽曲でありながら、個性的に感じるのは、そういう独特の音程感覚のおかげだと思います。先を読めそうで読めないというか。
そうそう、あの日はフジファブリックの志村正彦くんの30回目の誕生日だったんですよね。今日もレミオロメンのライヴを聴きながら、何度も彼のことを思い出してしまいました。
彼が亡くなってのち、藤巻くんはフジファブリックの「タイムマシン」をiPodに入れて繰り返し聴いてたということです。彼らは特に親密なつきあいをしていたわけではありませんが、お互い「山梨」のミュージシャンとして意識しあっていたのは事実です。
志村くんは、レミオロメンを「ぶどうバンド」とか言って「吉田の方が都会だ!」みたいに言っていたようですけれど、これはもちろんシャレですよね。富士吉田を含む郡内地方の人たちはみんな、御坂を含む国中地方にコンプレックスを抱いていますから、ちょっとした自虐ネタなんですよ。
どちらかというと、お互い、全く違った音楽、ロックをやっている者どうしとして、リスペクト、あるいはジェラシーを抱いていたものと思われます。私たち山梨県人からしますと、本当に分かりやすいコントラストなんです、両者は。陰と陽とでも言いましょうかね。
ですから、私はレミオファンにもフジを聴いてもらいたいし、フジファンにもレミオを聴いてもらいたいのです。それで「完成」という感じがする。どちらが好みか、なんていう次元ではなくて。それがまた、それぞれのバンドのより深い部分を知るきっかけになると思うんです。
以前、志村くんの膨大なCDコレクションを見せてもらったことがあるのですが、その中にレミオロメンの「ether」があるのに気づきました。なんとなくうれしく思った記憶があります。彼はいったいどういう気持ちであの明るいサウンドを聴いていたのでしょうか。
さて、また話を今日に戻しましょう。今日は知り合いのレミ友が作った「10周年おめでとう」横断幕(バスタオル製)を振りながらの応援でした。その横断幕、今頃オサの手元に渡っているはずです。帰り際、メンバーの御両親には「お気をつけてお帰りください」と声をかけてもらいました。私が御坂峠を超えて来たことに気づかれたのでしょう。最後の最後まで「愛」や「温かさ」に溢れた「お誕生会」でしたね。
一つだけ、あえて苦言というか疑問を提示するなら、ライヴでの打ち込みの問題でしょうかね。つまり、この前私たちの歌謡曲バンドがやったような「半カラオケ」状態になっている曲が多々あったということです。今どきのライヴは、まあこんなものですし、いや、昔から「テープ」上に重ねて演奏するというのはよくあったことです。しかしなあ、たとえば、毎度テンポが同じ演奏を「ライヴ」と呼べるのか…これは音楽界の大きな課題ですね。まあ、今やクラシックでもデジタル・リバーブかけちゃう時代ですから、なんとも言えませんが。
このように、私としてはいろいろなことを考えながらのライヴとなりました。レミオロメンのメンバーにとっても一つの節目でありましたでしょうし、私としても昨年の12月からのある種普通でない状況から一歩踏み出す良いきっかけとなる機会でした。レミオロメンよ、ありがとう。そして、音楽よありがとう。
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コメント
山口先生、こんにちは。
初めて、レミオロメンライブ(名古屋)に行ってきました。
曲も好きですし、先生から「山梨の陰と陽」とお聞きしていたので、ぜひ一度聴きにいってみたかったのです。
いつか、志村さんが「あっちはぶどうでしょ(笑)」って仰ってまして、意識してるなあ(笑)と思っていました。
複雑な想いを胸にでかけましたが、案の定開演早々涙が溢れて、最後まで涙してしまいました。
志村さんも、もっとライブがしたかっただろう…と思うとやりきれませんでした。
私の感想ですが、レミオロメンは温かい雰囲気、歌唱力もあり、誰かさんのように(笑)、歌詞もMCも間違うことなく噛むことなく…とっても完璧で優等生な印象でした。「東京」~「花…」の演出も良かったと思いました。
ただ、私も先生のご指摘と同じようなことを感じました。失礼ながら、CDとお○○かなと…。歌はもっと低音の魅力が増して本当にお上手だと思いましたが…。
本当のライブの良さは、ちょっと違うところにあるんじゃないかなと思っています。
完璧じゃなくても、生の演奏や歌や言葉を聴きたい。
そこから、その時その一瞬のアーティストのリアルな感性や魂が、観客の心や魂を熱くするんじゃないかなって思うのです。
今月は、奥田民生さんと吉井和哉さんのライブに行く予定です。
志村さんにゆかりのある方々のライブを聴いて、志村さんの世界観を少しでも共有できたら…と思っています。
投稿: まこ | 2010.12.09 10:27
私はどうして、
「フジファブリック」は好きで
「レミオロメン」は好きにならないのか?
理屈、理由、思いつきません。
・・・・やっかみか?(苦笑)
スマートにスタイリッシュ(笑)に生きたいと願っても
郡内に生まれ育った自分、
12月5日の記事に書かれてた「がんばれ富士吉田」の
くだり、刺さりましたよ(笑)。
それでWOWOW観ちゃいました。
やっぱり「悔しいなぁ」と思ってしまった。
キラキラしてる3人の姿に訳のわからない嫉妬。
そんな私にストレートに楽曲が入ってこない。
ただアンコールの前の観客の合唱に涙が出ました。
なんなんでしょう?
感動したとかではなくて、寂しい気持ちになって。
・・・・へそ曲がってますね。
投稿: yuzuki | 2010.12.09 13:29
まこさん、いいですねえ。
民生さん、吉井さんにも行かれるんですか。
きっと志村くんも聴きに行きますよ。
私も彼が聴いていた音楽を復習するところから始めようと思っています。
yuzukiさん、どうもです。
まったくぅ、正直なんだから…笑。
へそ曲ってこそ、郡内人ですよ。
志村くんも立派な郡内人だと思いますし。
嫉妬心は創造力の源泉です。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.12.10 18:25
お久しぶりです。
山梨の陰と陽。
国中と郡内の違いって、日照時間と降水量によるものも大きいと思います。日照時間日本一の甲府盆地にある、晴れてて暖かい栗合と、寒くて雨の多い富士吉田は、気候風土も対照的ですから。
フジの富士吉田と、レミオの栗合って峠一つ隔てた街同士で車で行けば30分弱って、県外ではあまり知られていないのかも・・・。確かに音楽だけ聴くと、想像つきませんもんね。
あの御坂の峠は文化、気候、いろいろな意味で大きい山なのです。
でも下吉田の天才の音、湖を越え峠を越え、国中まで響いてきましたよ!
投稿: バンコクのジャックラッセル | 2010.12.11 01:33
バンコクのジャックラッセルさん、こんばんは。
そうそう、意外に近いんですよねえ。
そしてその真ん中に吉井和哉さんがいて、両バンドを結んでいたんです。
しかし、近くて遠い国中地方…。
なかなか根深い大きな山です、御坂は。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.12.17 18:38
こんにちは。
初めまして。
時期を逸したコメントですみません。
レミオロメンのファンでネット内をウロウロしていたところ、たまたまこの記事を発見しました。
専門的かつ、非常に納得できるご意見が書かれており、ウンウンと頷きながら読ませていただきました。
私はもちろんレミオロメンが大好きで、今回のライブにもたくさん参戦しましたが、フジファブの音楽にも非常に興味深いものを感じています。
フジのCDは1枚しか持っていないので、あまりよくはわからないのですが、あの独特の空気感は一体なんなんでしょうかね。
レミオがジワジワと来るのに比べ、一度聞いたら忘れられない、Eccentricなんだけど、いきなり心持って行かれます。
志村くん、すごく才能を感じるし、これからが楽しみだったのに本当に残念です。
ある意味レミオの音楽も独特だし(本当に次の音の予想がつきません)、山梨県出身のアーティストって、個性的で魅力に溢れた人が多いですね!
投稿: hito | 2011.01.22 10:05
庵主様、ご無沙汰しています。
この記事に何度かコメントを入れようかと思いましたが、
フジファブリックファンの方の感想を読むと、
なんとなく入れにくく思っていました。
私はレミオロメンのファンですが、
娘の影響でフジファブリックもすべて聴いており、
DVDも見ています。
どちらも好きです。
なのでかなり複雑な想いを抱いてしまいました。
それはさておき、ROCKIN'ON JAPANの3月号は読まれましたか。
藤巻さんのYour Songについてのインタビューがありましたが、
そこに「この曲を書く前にね、フジファブリックをすごい聴いていたんですよ」
と出てきます。
機会があればぜひ読んでみてくださいね。
お助けの富士山の記事、とても好きです。
投稿: 田中 | 2011.02.02 00:58