フジファブリック 『TAIFU』
今日は無性にこの曲が聴きたくなりました。どこかへ走り出したいような…。
突っ走った先には、いったい何があるのでしょう。わからないからとにかく「行け!」なんでしょうね。
音楽ももちろん唯一無二ですが、この歌詞もまたすごい。日本語詩の新しい地平ですよ。ぜひこちらで読んでみてください。英語訳もあります(難しかっただろうなあ…)。説明のしようがないんですよねえ。言葉という「コト」世界(脳内で構築され認識される世界)によって「モノ」世界(理論や五感では認知できない世界)を現出させるという最も難しいこと、まるで出口王仁三郎の霊界物語のようなことをしでかしています。
今、こちらの国際的フジファブリック・ファンサイトを訪問する外国人の方が急増しているそうです。本当にうれしいことです。彼らにとっても実に不思議な言葉と音楽の世界でしょうね。
このサイトの管理者の方ともよく話すのですが、フジファブリックの音楽は「日本のロック」として絶対に諸外国、欧米に限らずアジアなどでも受け入れられるはずです。
冷静に考えて、これほど日本的な音楽と日本的な詩の世界が融合されたバンドはありません。まさに西洋音楽史を呑み込む完成度の高さです。音楽においても「コト」による「モノ」の現出をやってくれています。
こちらにも書きましたね。あの西洋的な「コト」世界を象徴する「ドミソ」は「不快和音」なんですよ。
皆さんだまされてはいけません。明治になって、西洋音楽(今で言うクラシック音楽)が日本に輸入された時、初めてあの「ドミソ」の響きを聴いた日本人は、皆耳を覆ったと言います。吐き気さえ催したと。それが実は正常な反応なのです。
しかし、現代はもう生まれた時から、いや生まれる前から、たとえばモーツァルトなんていうお子ちゃま音楽(失礼!)を聴かされたりしますからね、ま、簡単に言えば洗脳されて生まれてくるんですよ。それで本来の正しい感性が幽閉されてしまう。
私なんか、40年かけてようやくその呪縛から解き放たれました。あのヨーロッパの限定された地域で、ごく短い期間に、限定された環境で育った「五線譜音楽」が、実は「異常」なものであると気づいたのは、実は最近です(もちろんその「異常」にこそ芸術的価値や宗教的価値があるからこそ、私はそれらを演奏しているわけですが)。
フジファブリックの志村正彦くんは、いろいろな音楽環境と、あるいはそれを凌駕する自然環境、文化的環境の中で育つことによって、若い頃からその不自然さに対抗していたように思われます。対抗というより、やっぱり「併呑」かなあ。99%の「自然」によって1%の「不自然」を呑み込んでしまった。
たとえばこの曲、もちろん演奏される楽器は西洋音楽用に進化したものです。しかし、そこで奏でられるのは、ほぼ完全なる「二六抜き」音楽です。メロディー的に言えば「二」である「ファ♯」と「六」である「ド」は意図的に(いや本能的にか?)はずされています。
ところが、スパイス的に数箇所それらの二六の音も出てくるんですよね。歌や楽器音に。そこがうまい。かっこいい。それがまた「自然」なんですよ。意識的にやると不自然になってしまうものです。
この前紹介した由紀さおりさんの「う・ふ・ふ」(宇崎竜童さん作曲)は、ちょっと意図的な感じがしますね。作曲技法としての融合だからでしょう。
フジファブリックの、つまり志村くんの楽曲は、そこらへんがまさに「本能的(モノ的)」なんです。もちろん、他のメンバーの編曲力(作曲力)もそこに寄与していますよ。しかし基本にあるのは志村くんの才能です。
今日久しぶりに志村くんのお母様とお話をしました。お元気そうで安心しました。私は正直に正彦くんの素晴らしい才能と人間性についてお話させていただきました。
お母様は全てファンの皆さんのおかげだとしみじみおっしゃっていました。正彦くんも常にファンへの感謝の気持ちを持っていたそうです。
不器用なくらいに純粋にまじめに突っ走った彼。私たちも彼を追いかけて「自然」に飛び出して行くべきなのかもしれません。洗脳から解き放たれて。感情のおもむくままに。勇気をもって。
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コメント
こんにちわ。
志村さんのお母さんが元気そうですこし安心しました*
TAIFUは曲はもちろん,PVでダイちゃんが女の子に体当たりされるシ-ンが好きです☆笑.
投稿: なじゅ | 2010.10.24 11:06
先生こんにちは(゚▽゚)/
たった今 某試験を終え 携帯の電源を入れたら先生のblogの更新通知。
しかもフジネタ♪
開放感に拍車がかかります。
お母様もお元気とのことで安心しました。
おそらくワタシの母と歳が変わらないくらいかと(母は早い結婚・出産だったので)思うのですが
母を見ていると 志村くんのお母様、どうしてるかな…と考えてしまいます。
実際ワタシ自身も三人息子の母なので お気持ちを察すると やりきれない切なさを感じます…。
バンドをやっていたとはいえ TAB譜でベースを弾いたり耳コピしたくらいで 楽譜も読めないので 専門的な事はなにもわかりませんが
志村くんが店先でご両親を眺めながら聴いていた歌謡曲、流行っていたので聴いていたという広瀬香美さんの楽曲、民生やユニ、ブラジル音楽…
すべてが不思議に融合して曲が紡ぎだされたんだな、と思っています。
あと 忘れちゃいけない。
吉田の風景。
これほどのスパイスはないですよ!
今度の木曜日 都合がついたら 吉田に伺いたいと思っています♪
長文失礼しました。
投稿: さお | 2010.10.24 13:07
先日は『赤黄色の金木犀』のコーナーでお邪魔しました。
あたたかいお返事をいただき,ありがとうございました。
私は音楽の専門的な事は全くわかりませんので,とても勉強になります。
志村くんもご家族も,このように専門的な見地からきちんと評価されていることを大変喜ばれていらっしゃるのではないでしょうか。
私はひどい『あがり性』で,時々,ものすごい緊張感と闘わなくてはならない場面があるのですが,そういう時に,『TAIFU』と『地平線を越えて』を聴くことにしています。すると何故か,『無敵』になったような気分になり,とても勇気が湧くのです。
志村くんがファンや周りの人たちを大切に思っていたであろうことは,私が知る限りの少しの情報からでも伺い知ることができます。と言うか,ライブの最後の『ありがとうございました!』のひと言からだけでもわかりますよね!
私自身は遅ればせのファンであることが残念でなりませんが,これからも応援していきたいと思っています。
投稿: 松原恵子 | 2010.10.24 19:22
はじめまして。
ice blue normと申します。
ブログをいつも拝見させていただいています。
フジファブリックは今年の7月に初めて知りました。Bank Bandのカバーで「若者のすべて」を聞いたときに「この曲は!」と思うものがあり、それ以来どっぷりと浸かっております。
富士山蘊恥庵庵主さまの解説で音楽性とか志村さんの人柄などが分かり、大変ありがたく思います。
この音楽に出会えて、本当によかったと思っています。
投稿: ice blue norm | 2010.10.24 21:52
先生ありがとうございました。
あの後、満月を眺めていたら、
我慢していた涙が溢れでてきてしました。
投稿: ノリ | 2010.10.25 00:35
こんばんは。
金木犀の香りもなくなり、今年もあと二ヶ月くらいですね。
時の流れは本当に早いものです。
今月も24日が過ぎ、何回も24日が過ぎているのに、CDを聞いたりDVDを見たりしていると、とても信じられなくて。。。ファンの方皆さんそうでしょうか?
松原さんがおっしゃってたように、先生は専門的なところから評価されていて、志村くんすごく喜んでいると思います。
「どうだ!」ってきっと胸がそっくりかえってますね、今頃。
投稿: かえで | 2010.10.25 22:42
先生こんにちは!ミキです。
富士吉田に行ってもうすぐ1ヶ月。その節は色々お返事ありがとうございました。
この日、私もアルバム『フジファブリック』を夜勤中の休み時間に聴いてたころだったので笑
なんだか嬉しくなりました。
先生の志村くんと志村くんの創った音楽に対する想い、いつも伝わってきます。
10月も終わりますね…
そしていつのまにか、今月も24日がすぎました。
もうすぐ12月もきてしまうなぁ。
今でもたまに何なのか、よくわからなくなりますが…
だけど、志村くんの創った音楽はいつも私のとなりにあります。とても、とても温かいのです。
またコメント書きます!寒くなってきましたので、先生もお体気をつけてください。
投稿: ミキ | 2010.10.26 11:41
皆さん、コメントありがとうございます!
こうして皆さんに集まっていただいて私も幸せです。
全部志村くんのおかげですね。
ご家族も喜んでくださると思います。
今後ともよろしくお願いします。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.10.26 18:49
山口先生、こんにちは。
いつも遅れてのコメントごめんなさい。
「TAIFU」ライブの定番でしたね…
いつも元気をもらっていた曲のひとつです。
それぞれの曲にライブやPVの思い出が重なります。
藤井フミヤさんはこの曲がフジとの出会いだったそうで、幾度となくその衝撃を語っていらっしゃいましたね。
昨日は、クリスマス用品が売り出されているのを目にしました。
寒くなってきましたし、クリスマスももうそこまできているんだなあと肌で感じています。
イブは、ファンの皆さんどのように過ごされるのでしょうね。
私は、カラオケに行ってフジ特集しようかなあと考えています。哀悼の意をこめて…
投稿: まこ | 2010.11.01 17:09
まこさん、こんにちは。
なんか早いですね。
早いんですけど、とっても濃厚だったような気もします。
イヴかあ…。
まあ、もともとクリスチャンではないので、自分流に過ごしますよ。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.11.06 12:23