« 『鎌鼬(普及版)』 細江英公 (青幻舎) | トップページ | 『幕末外交と開国』 加藤祐三 (ちくま新書) »

2010.10.27

中学生の合唱

X2_32a6804 の写真は学校での最終練習の様子です。
 今日、我が校の生徒たちは地域の中学校が一同に会しての合唱の発表会に参加しました。
 本校は今春開校したばかりの中学ですから、もちろん初参加。1年生全員25名だけでのステージでした。
 この「親善音楽会」と称する発表会は、この地域にずいぶんと昔からある行事のようですね。小学校の部では主に4年生が、そして中学校の部では三つの学年がそれぞれ参加します。
 私はなにしろ昨年までは高校勤務でしたし、本校も初めての参加ということで、どういう内容なのか、どういう歴史があるのか、あまりよく分かりませんけれども、だいたいが「合唱」ということになるようですね。
 地域の大規模公立中学は、クラス合唱コンペなどを経て選抜隊で参加できますが、本校はなにしろ25人しかいないので全員が出るしかありませんでした。逆にそれが本人たちにとっても良い経験となりましたし、会自体にとっても、初の私立校参加ということで、よい刺激になったのではないでしょうか。
 本校は1年生だけの少人数ですので、トップバッターとしてステージに上がりました。生徒たち、緊張するのかなと思いきや、なかなかどうして、堂々たる様子です。こちらも初体験となる教員の方が緊張気味。私はある生徒が本番中にくしゃみをしないか心配でしかたありませんでした。大切な時にいきなりやらかすので(笑)。ま、それも杞憂に終わりまして、無事、そして見事に演奏を終えました。
 ちょっと年甲斐もなく感動してしまいましたよ。音楽を、それもいわゆる「合唱」を伴う演奏を無数にしてきた私ですが、そういう、まあどちらかというとプロフェッショナルな合唱の良さとは違う、なんというか、少年少女たちの純粋な(大人が不純とはいうわけではありませんが…笑)声の、また別の「美しさ」があるものだなと、あらためて確認いたしました。
 私の通っていた東京と静岡の中学では、あまり合唱に熱心ではなかったのでしょうか、記憶がないんですよねえ、クラス合唱とかの。
 だからでしょうか、高校に勤めていて、生徒が「中学の合唱は盛り上がった」などと言っているのを、なんとなく冷めた目で見ていたんですよ。NHKでやる中学生の合唱のコンクールなんかの「痛さ」しか知らなかったので(苦笑)。
 でも、実際こうして初めて彼らの練習から本番までの様子を見ていると、やはりこれはいいものだなと思いました。月並みな表現ですけれど、「みんなで心を一つにして作り上げる感動」でしょうか。
 私は全く熱血教師ではないので、案外そういうのが苦手だったんですよ。あるいはそういうふうにクラスなりクラブなりを演出していくことができなかったのかもしれませんが。教師になる前は、そういう「青春」こそが学校生活だと思っていたんです。でも、実際教師になってみたら、なかなかうまく生徒をその気にさせられなかった。たぶん、根が面倒くさがりやでいい加減だからでしょうな。
 今回は、世界に誇るジャズバンド部の顧問でもある音楽の先生が、短時間の中で見事に本校らしい合唱を作り上げてくれました。さすがですね。ただむやみに声を出させるわけでもないし、むやみに頑張らせるわけでもなく、こうして「音楽」にまで仕上げてくれるのですから感服します。
 結果として、ウチは少人数ということもあって、声量は他の学校に比べ小さめでしたけれども、1年生にしてもとてもきれいなアンサンブルになっていたと思います。とてもていねいに歌えていたと思います。
 どうしても、中学の合唱というと、とにかく大きな声を、ということになりがちで、結果として地声の塊になったり、テンポが走ったり(特に難しいところで)する傾向があります。ま、それこそが「中学の合唱らしさ」なんでしょうけどね。
 とにかくウチはウチらしさを発揮できて良かった。デビュー戦にしては充分すぎる出来だったと思います。みんなお疲れさま!
 いちおう生徒たちの許可を得まして、ここに録音を置いておきます。かなり遠い位置からのものなので、いまいち雰囲気が伝わりにくいかもしれませんが。

 フェニックス

 お聴きのように、男子は音程が上がり切っていません。変声期ということもあり、なかなか大変なんです。来年にはもっとしっかり歌えるのでは。女子は全体にきれいに発声し、音程もしっかり取っていましたけど、最後気合いが入りすぎて音が高すぎたのが若干1名ほど(笑)。それも含めていい作品、いい思い出ができました。
 ところで、この親善音楽会と言えば、フジファブリックの志村くんも中学生当時参加したものと思われます。今日は彼の母校も見事な合唱を聴かせてくれました。あの中学も伝統的に合唱に力を入れているんですよね。
 あの伝説の富士五湖文化センター(市民会館)ライヴのオープニングにも使われた「大地讃頌」は、学年合唱の記念CDですよね。高校の何人かの教え子が志村くんと同級だったので、あのCDを貸してもらいました。
 志村くん、音楽が好きでしたから、きっと一生懸命歌ったことでしょうね。そうそう、今日全体を聴いていて感じたのですが、彼の音楽に「中学の合唱」の影響もありますね。
 といいますか、まあ日本人全体の音楽的な好みにも関わるわけですけど、ハ長調で言うなら、「ドシラソ」という下降バス、そしてサビへのブリッジC7→F、志村くんも多用する(特に「CHRONICLE」で)G→E7/G#→Amなんかが、どの曲にもじゃんじゃん出てくる。なるほど、こういうところで、日本人は「感動的」な音楽を学んでいくんだなと思いました。面白いですね。
 来年にはまた違った機会になるとは思いますが、志村くんの楽曲を合唱に編曲して生徒たちに歌ってもらおうと思っています。本来なら校歌とは言わずとも愛唱歌を作ってもらうつもりでしたから。彼の見た風景と、彼自身の中学の思い出をもとに…。
 いずれにせよ、音楽が青春の大切な要素であることを再確認した今日の音楽会でありました。うむ、中学で仕事をするようになって、本当に毎日「再発見」がありますねえ。

|

« 『鎌鼬(普及版)』 細江英公 (青幻舎) | トップページ | 『幕末外交と開国』 加藤祐三 (ちくま新書) »

教育」カテゴリの記事

旅行・地域」カテゴリの記事

音楽」カテゴリの記事

コメント

フェニックスですか、恥ずかしながら初めて耳にしました。合掌では音節が多くて難しそうな曲ですが、良く揃っていて感心いたしました。
合唱コンクールは我が母校(中学)でも毎年行われていたのですが、私にはとても切ない思い出でしかありません。丁度中一の夏あたりから声変わりが始まり、それを機に音痴になってしまったのでした。お陰で毎年秋に行われるコンクール本番はもとより、練習中もクチパクを続けて無為に時間をやり過ごすだけでなく、校歌斉唱や以後の人生で歌を歌わされそうになる度に、劣等感にさいなまれるようになりました。
庵主様の受け持ちの生徒さんに、その様なことが起きないことを祈ります。な~んて。

投稿: LUKE | 2010.10.28 17:23

ああ、一行目の合唱が“合掌”に誤変換されて、まるで私の気分にピッタリです。

投稿: LUKE | 2010.10.28 17:25

山口先生お久しぶりです。
僕の学校も明日(10月29日)、学校の音楽の発表会です。
そちらの学校と同じ時期にあるのですね。
僕も「大地讃頌」の貸してもらいたいものです。
「大地讃頌」が好きだったのでしょうね。

投稿: イシハル | 2010.10.28 17:36

お久しぶりです!

私もあのオープニングの大地讃頌が忘れられなくて
ピアノトリオにアレンジして、ライブでやってみました!

志村君の曲を合唱で…とても楽しみです。
来年の日記、楽しみにしてみます。

投稿: さとだもん | 2010.10.28 18:13

LUKEさん、こんにちは。
私もフェニックス知りませんでしたよ。
なるほど〜、LUKEさんには苦い思い出なんですね。
たしかに全員強制参加の合唱はちょっと特殊ですよ。
運動会で全員リレーやるみたいなものです。
ま、そんな苦いことを学ぶ(?)のも学校なのかもしれませんが…合掌。

イシハルさん、今日ですね!
頑張ってください。
志村くんもあそこでああやって「大地讃頌」を流したということは、きっとみんなにも聴いてもらいたいという気持ちがあったのだと思います。
イシハルさんも今日歌う曲をぜひいい思い出にしてください。

さとだもんさん、どうもです。
おお!それはすごい!ぜひ聴きたい!
ひそかに録音とかあったら送ってください。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.10.29 11:24

先生こんにちは(゚▽゚)/

昨日雨の中吉田に行ってきました。
天国(富士山のてっぺん?)の志村くんにご挨拶してから通りを抜けて 吉田うどんをいただきに行きました。
染みました〜(:_;)

さて 合唱。ワタシも田舎の中学でしたので2クラス。校内とは言っても、ほぼ各学年2クラス どっちが勝つか、でした。
「痛い」光景が繰り広げられていました。
今思えば、ですが。
今も当時のカセットが残っています。
合唱と合奏で音楽の楽しさを知った。バンドの根っこが出来たと思っています。
負けて泣いたなぁ(ノ_・。)

投稿: さお | 2010.10.29 13:45

合唱祭の季節ですね。
私も毎年,娘の合唱祭で感動をわけてもらっています。
こういう感動的な場面に立ち会える教師って,すばらしい職業ですよね。

志村くんの楽曲が合唱にどんなふうにアレンジされるのか楽しみです。
志村くんもきっと期待していますよ!
先生,がんばって下さいね!!
 
それにしても,志村くんの富士吉田LOVEぶりといい,それに応えようとする富士吉田市民の方々・・・羨ましいなあ。

投稿: 松原恵子 | 2010.10.29 15:40

山口先生、こんにちは。
音楽会は志村さんのことを思い出しながら、精一杯歌いました。
今日のことを一生の思い出にしていきたいです。

ところで東京は寒くなってきたので、やっぱり富士吉田や山口先生の家の近くも寒いですか?

投稿: イシハル | 2010.10.29 20:50

さおさん、吉田へようこそ。
やっぱり中学の時の体験って一生ものですよね。
最近それを強く感じます。
だからこそ、中学生には「本物を」と思って仕事しています。

松原さん、どうもです。
そうですね、教師は本当に幸せな仕事ですよね。
特に今年から中学生と接するようになり、それを感じます。
志村くん、吉田ラヴでしたが、吉田の人たちは案外彼を知らないんですよ。
生徒たちもみんな知りません。
もう少ししたら授業で扱おうと思っています。
やっぱり中二くらいがいいかな。

イシハルくん、そうですか!
きっと志村くんも聴いてくれたと思いますよ。
大切な思い出にしてくださいね。
吉田は寒いですよ〜。
私のところなんか氷点下寸前って感じです。
でも、そういう寒さこそが「ここらしさ」なんです。
ぜひ寒い吉田にもいらしてください。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.10.31 08:55

はい、今年中に一回は行くと思うので、日が合えば会いましょう。
その時は、母もいるので。

投稿: イシハル | 2010.10.31 09:07

先生、こんにちは 中二病少年です。
いやぁ、実は、内心すごく緊張していたんですよ・・・
でも、やっぱり〇森先生は、スゴイですね!うまくクラスを導いてくれたとおもいます。
フジファブリックの曲を歌う時を楽しみしています。
やっぱり「若者のすべて」とか「桜の季節」ですかね?

投稿: 中二病の昌平 | 2010.10.31 15:17

初コメントです。こんばんは。「大地讃頌」ウチの娘も
今合唱祭に向けて歌っています。先日授業参観で聴いて
曲名だけは知っていたものの、実はきちんと聴いた事がありませんでした。良い歌ですね。
フジファブリック大好きですが、ライブは未経験です。
伝説の「大地讃頌」聴いてみたかったです・・・・。

来月もう一度富士吉田に行ってみようと思っているのですが、もう雪になってしまうのでしょうか?
ご多忙の毎日かと思いますが、お身体に気をつけて
ください。またお邪魔しに来ます。

投稿: さつき | 2010.11.01 23:30

志村くん参加の、親善音楽会のCD
手に入らないのかね?

卒業時に配られるはずなんだけど…。

聴いてみたいなあ

投稿: watanabe | 2010.11.04 02:37

皆さん、コメントありがとうございます。
富士吉田は今紅葉真っ盛りです。
もうすぐ長く厳しい冬がやってきます。
クリスマスも。
でも、吉田と言えばあの凍てつく冬なんですよねえ。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.11.06 12:17

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/55913/49867028

この記事へのトラックバック一覧です: 中学生の合唱:

« 『鎌鼬(普及版)』 細江英公 (青幻舎) | トップページ | 『幕末外交と開国』 加藤祐三 (ちくま新書) »