由紀さおり 『う・ふ・ふ』
今日も隠れた名曲を一つ紹介します。まさにこれ、これ。この映像です。昨日観たのは。
昨日は第一日曜日ということで、スカパーが無料開放の日。夜、ウチではたいがいファミリー劇場でドリフを観ます。
あいかわらずメチャクチャ面白いコントの連続で、もう笑うというより感動しまくっていたのですが、挿入された歌謡コーナーの一つが、この由紀さおりの「う・ふ・ふ」だったのでした。
1977年ですから、それこそ熱心にドリフを観ていた頃だと思います。しかし、私もそろそろ中二病(笑)が始まる頃でして、たぶん洋楽に入れ込んでいたんでしょうね、この曲、恥ずかしながら知りませんでした。
歌謡曲に異様に詳しいカミさんも初めて聴いたと。彼女、当時まだ3歳でしたからね。まあ知らないのはしかたないか。それにしても私が知らないとは、これは不覚でした。
で、カミさんと娘たちと聴いて、あまりの魅力的な歌にしびれちゃったのですよ。これはいい曲ですねえ。
作曲は誰だ?と思いましたら、ああ、そっか〜、宇崎竜童さんかあ。さすがですね。彼らしい天才的な楽曲ですよ。
彼の曲って、まさに日本と西洋のダイナミックな結婚なんですよね。スーパー・ハイブリッドという感じがする。山口百恵さんの曲なんかをウチの歌謡曲バンドでやってみましてね、とにかく発見がたくさんあって、もうホントに感激しまくったんですよ。
この曲も、冒頭は完全な「都節」ですよね。美しい日本の旋律。陰旋法の四七抜きです。しかし、そこに加わるコード進行はDm→Gm→Aという西洋風。そのうちメロディーも二六抜き風になったり、あるいは西洋風になったり、しかしそれが不自然ではなく行き来するところがすごい。
そう、この曲、基本的に上記の三つのコードしかないんですよ。それなのにこれだけ豊かなイメージを与えるのは、優れた旋律のおかげです。これこそが昭和歌謡の真髄ですよ。コードの発見ではなく、メロディーの発見だったんです、ある頃は。
そういう意味で、私たち夫婦の琴線に触れたのは、先ほど書いた基本コード進行の中に咲いた一輪の明るい花、そう、歌詞で言うと「振り返る事を」のところ、上の動画でいうと、58秒あたりですかね、いきなりB♭→C→Fという平行調のSD→D→Tという展開をします。束の間のさわやかな風。これはお見事ですね。
そして、この潜在的難曲をす〜いすいと軽く歌ってしまう由紀さおりさんの歌唱力。これはすごい。ウチのカミさん、この曲気に入って早速歌ってましたが、実に難しいと。どうしてもできない節回しがあると申しておりました。
ついでと言ってはなんですが、こちらの動画もご覧下さい。最近の由紀さんです。昭和の名曲メドレー。すごい楽曲が並んでいます。名曲揃い。ある意味実験的な曲ばっかりですね。この個性はなんなんでしょう。今のJ-POPやJ-ROCKにこんな個性あるでしょうか。
そう考えると、フジファブリックの楽曲、つまり志村正彦くんの残した曲たちというのは、現代においては特別だったかもしれませんね。改めてこうした昭和の曲を聴いてみますと、彼の感性には間違いなく「昭和歌謡」のスピリットが流れていると感じますね。おそらく彼のお父様やお母様が聴いておられた音楽が、自然と彼の心に残っていたのでしょう。
これからもそういうバンドやミュージシャンが出てきてくれることを祈ります。それから、歌手ですね。こういう曲をさりげなく歌える「歌姫」も出てきてほしい。おそらく今最もうまい「歌姫」は初音ミクですから。それじゃ、やっぱりさみしいじゃないですか(苦笑)。
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