『鎌鼬(普及版)』 細江英公 (青幻舎)
細江さん、文化功労者に選ばれましたね。おめでとうございます。
今日、文化勲章受章者と文化功労者が発表されました。昭和の文化を育み、それを平成の世まで継承している方々が並んでいます。なかなか個性的な面々。
中でも感慨深かったのが写真家の細江英公さん。ここ数年で何回かお会いしてお話させていただきました。
そう、細江さんの代表作、舞踏家土方巽を被写体にした世界的傑作「鎌鼬」の撮影場所が、ウチのカミさんの母方の実家の前だったんですよね。ものすごい山奥の名もない土地だったのに、なぜそこが選ばれたのか…。
そんな驚きの事実が発覚したのが、土方巽生誕80年の一昨年の正月のことでした。私の中でも特別な存在だったこの写真集が、まさかこういう形でつながっていたとは…というか、それまで知らずにその撮影場所を何気なく訪ねていたわけですから。
その後、私はヘソクリはたいてその「鎌鼬」を買いました。二十数年来の夢がこういうタイミングでこういう流れで叶うとは。その日の興奮はこちらの記事に記してあります。
そしてそこから何かが動き出しました。私たち夫婦と土方巽を結ぶ不思議な流れが生まれたんですよね。
その年の土方の誕生日に行われたこちらのフォーラムで、初めて細江さんとお会いし、お話をする機会を得ました。とてもフランクでスケールの大きな、まさに昭和のパワーを感じさせる方でした。
その後、土方巽研究の稲田奈緒美さんと知り合ったり、土方の本家を訪ねたり、「鎌鼬」のもう一方の主役たる地元の農民高橋さん夫妻を訪ねたり、本当にいろいろなことがありました。そのへんに関しましては、右側にある人気検索ワード「土方巽」をクリックして記事をご覧ください。
細江さんとは、昨年の12月に再会しました。この「鎌鼬普及版」の発行記念の場でした。その日はプロレスラー藤波辰巳さんと細江さんをはしごするという、とんでもない日でしたね(笑)。
実はその時、高橋さんの奥様がが亡くなったことを細江さんにお伝えしたのですが、今年になってご主人も奥様のあとを追うように亡くなってしまいました。この歴史的な写真集に若々しくたくましい姿として刻まれているとは言え、なんとも寂しいことでした。お元気なお二人にお会いできたのも、考えてみれば奇跡的なことだったと感じます。やはり、何かを語り継いでいく責任が私たちにはあるようです。
さて、こんなふうに不思議な縁で身近な感じていた細江さんが、このたび王貞治さんらとともに文化功労者に選ばれたこと、本当にうれしく思います。相変わらず精力的に活動されているご様子。ぜひとも、またお会いしたいですし、「鎌鼬の里」計画をいよいよ現実のものにしていくために、私も微力ながら動いていきたいと思っています。
「写真はものの見方。被写体をどう見るか。whatではなくhow」…細江さんの言葉です。これは写真に限らず全ての「芸術」や「文化活動」に適用できる言葉でしょう。あるいは「仕事」に対しても、「人生」に対しても。
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