更級日記より『富士川』
変な写真ですみません。富士川のSAで「桜えびラーメン」を食べた「あと」の風景です。
今日は静岡で叔父の葬儀が執り行われました。若い頃はいわば侠客、博徒のような生活をしたこともあり、豪放磊落、波乱万丈の人生を送った叔父でしたが、最後はひたすら土と親しみ、畑仕事に精を出し、孫やひ孫を愛でる仏さまのような好々爺になりました。
いろいろな意味で、人々の記憶に残る、太く長い人生であったと思います。
精進落としの場でも、皆が叔父のいろいろな「物語」を思い出して、大笑いしました。
戦争中の台湾での話が面白かった。体長10メートルの大蛇と戦った話、大量のとかげににらまれた話、棒高跳びの要領で川を飛び越えたら、それは(なぜか)揚子江だったという話…笑。
私はこうした話を何度も聞きながら、「ああ、神話や伝説はこうして生まれるのだな」と思いました。そういう意味で、叔父は立派な「語り部」であったわけです。
帰途、カミさんと雄大な富士山と富士川を眺めつつラーメンをすすながら、そんなことをしんみり話し合いました。大自然は「物語」を生む舞台なんだろうなあ。台湾だからこそ生まれた大蛇なんだろうなあ。
そこで思い出したのが、この更級日記の「富士川・富士山伝説」です。
私も深く関わっている神話「富士王朝」の伝承として、実は非常に重要な文献なのですが、どういうわけかあまり取り上げられることがありませんので、今日、私がここに紹介させていただきます。
まず本文を縦書きでどうぞ。右に(ワタクシ流)現代語訳を付すという新技を試してみました。
富士川が富士山から流れてきているというのは間違いです。この時点ですでに、この記述は「物語」となっています。そして、翌年の公務員の人事異動は、富士山に神々が集まって決めているという「伝説」、これは他には見られない特異な伝承です。
ご存知のように、記紀はもちろん、中央の諸書には、意図的とも言えるような「富士山忌避」が見られます。おそらく、中央にとって富士山はそれこそ煙ったい存在だったのでしょうね。まつろわぬモノどもの象徴。
そんな中、平安中期に書かれたこの更級日記のこの記述は、富士山に神々が集うということ、あるいは政治的重要事項も富士山で決められているという、いわば中央に対する富士山の優越性が語られている意味において、非常に興味深いものです。
しかし、一方で、そこそこ有名ながら、あまりに素通りされてきた「物語」「伝説」だということもできます。やはり何らかの意図、意志が働いてきたのでしょうかね。
私はこの「物語」「伝説」に、ここ富士北麓、富士吉田に伝わる超古代文献、ある意味トンデモ文書の代表ともされている「宮下文書(富士古文献)」の源流の一つを見ますが、いかに。
叔父の「物語」「伝説」「神話」もそうですし、この更級日記もそうですが、ちゃんとその意味をとらえた人、感銘を受けた人が、責任をもって語り継がねばなりませんね。
感動するということは、ある種の責任を担うということでもあるのです。
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コメント
おお!富士川楽座においででしたか!
よく遊びに行きます♪
あそこが建設される前 地質調査で遺跡が発掘されていました。
富士川を一望する 小高い山のてっぺんで富士山を眺めて…今とは違うんだ!
古代の人よりいい富士山を見てるかもしれませんね。
清水に祖父のお墓があります。
ナショナルトレーニングセンター(よく日本代表選手が練習しているサッカー場)の近くです。
ここも小高い山のてっぺんで最近まで遺跡の発掘調査が行われていました。
ここも同じく富士山がちょこっと見えて 駿河湾を一望できる場所。
古代の人の好みの場所なんですかね。
もうひとりの父方の祖父からは身延に抜ける森でぬりかべに遭遇したとなんども聞かされましたよ!
昔の人は伝説を持ってますね。
投稿: さお | 2010.10.08 22:47
さおさん、う〜ん、ぬりかべですかあ…すごいですね!w
大人になっても夢を持っているって素敵ですよ。
家内の実家のある秋田の方でも、男衆が集まって呑み始めると、熊と相撲をとったとか、滝壷に落ちて生還したとか、そういう話をみんな真面目な顔でしあっています。
なんかいいですよねえ。
風景が人に夢を与えているんですよ、きっと。
都市伝説っていうのも、まあその一つかな?
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.10.09 14:10