千葉市美術館開館15周年記念 『世界の絵本がやってきた ブラティスラヴァ世界絵本原画展とチェコの人形劇』
昨夜は東京にお泊まり。今日は午前中時間があったので、千葉市美術館に行ってみました。今ここでは、チェコとスロヴァキアにちなんだ展覧会が開催されています。
チェコと言えば、まず音楽のことが頭に浮かびますでしょうか。最近もチェコで活躍したピアニストの方とお話しをする機会がありました。もうだいぶ前になりますが、どういうわけかチェコ・フィルのメンバー数人がウチに遊びに来たこともありました。
それからチェコ語にもなんとなく親しみを覚えます。担任をした教え子二人が、東京外国語大学のチェコ語専攻に行ったからです。
そんなところが入り口になって、チェコ・アニメの世界にも少し興味を持っていました。ザフラドニークとかポヤルとか、有名どころしか知りませんけれど。
そしてそのチェコ・アニメの源流となったチェコの絵本や人形劇。これらも独特の世界があります。
あっそうそう、あの BUMP OF CHICKEN の名作人形劇「ギルド」ってチェコ・アニメみたいですよね。今気づいた。
ギルドもそうですが、そうした子ども向けでありながら大人の心をも打つ独特の世界があるじゃないですか。最近、そこに興味があったりもするのです。
すなわち、子どもの視線こそが「本質」を見きわめることができるという、まあ当たり前と言えば当たり前の真実を、この歳になって再確認する作業に入っているということでしょうか。
この前の柳田邦男さんの講演にも刺激を受けました。それから、もちろん、バンプの藤原くんや、フジファブリックの志村くんの独自の視点によるロックにも影響を受けていますかね。
さて、そんなわけで今回注目してみたこの美術展。非常に興味深く、また心の奥底の方で深い共感を感じました。皆さんもぜひご覧になってみてください。
この美術展は、スロヴァキアで行われているブラティスラヴァ世界絵本原画展の入賞作品を中心とした展示(8F)と、チェコの伝統的な人形の展示(7F)の二部に分かれており、けっこう贅沢な内容となっています。私はあまり時間がなかったので、ちょっと消化不良気味でした。
先ほど書いたように、社会的な抑圧に対する抵抗としての「子ども」という側面もあります。「子ども」という社会化していない存在をメディアとして使う「大人」のずるさということもできます。
しかし、一方で、社会化されていない、すなわち近代的な意味で「芸術」になっていないこうしたメディアにこ、それこそ「芸術」以前の「芸術」が存在していることも事実です。
私は今まで、それを日本の文化の中にたくさん見てきました。このブログでも、日本画の伝統や、最近のマンガやアニメを、そういう視点で語ってきたつもりです。最近、それが実はヨーロッパをはじめとする「近代国家」にも存在するということを再認識させられました。その一つが「絵本」という文化です。
たとえば「リアリズム」一つとっても、絵本のそれは、近代芸術のそれとは一線を画しています。そのいびつにデフォルメされた造形は、決して近代のキュビズムやアヴァンギャルドとは違います。あくまでも、大人による、子どもの脳内での「リアリズム」の復元、再構成なのだと思います。
つまり、近代的な「理論」や「技術」や「システム」や「デザイン」という「コト」を通過していない、「モノ」としての「形」なのだと思うんですね。
日本では、それを普通にやってきた。だからこそ、たとえば、浮世絵が印象派を生んだわけでしょう。ショックだったのだと思います。
ある意味、そんな流れの中で大人の世界においても復権したのが、「絵本」であり、「人形劇」であり、そして「アニメーション」だったのです。
だからでしょうか、今回強く想像されたのは、日本画と絵本の親和性です。教え子にも何人か日本画家を志している者がいますので、そんな話もしてみようかなと思いました。なにしろ、今、日本画界はグラフィック・アートに毒されていますの(苦笑)。
特に智内兄助さんの《 ぼくのうまれた音 》の原画(完全に「絵」を超えていましたが)は興味深かったし、新鮮でもありました。ちょっと涙が出てしまった。彼は洋画家でありながら、日本画の影響を強く受けています(たぶん)。
もちろん、同級生であるジャズトランペッターの近藤等則さんの生い立ちの物語としても感動的だったけれど、それ以上に作品としての完成度の高さ、絵自体が物語になっている、そのまさに渦潮のようなエネルギーにすっかりやられてしまいました。
「子ども」の目、耳、頭、皮膚、肺…私もこんな大人になってしまい、すっかり社会的な動物というより機械のようになってしまいましたが、改めて自分にも存したその壮大な「物語」のメディアを思い出してみようかと思っています。
今、中学生と共に日々を送るようになり、かたや「子どもの大人化計画」を実行しつつ、かたや「大人の子ども化計画」も着々と進めようかなと(ニヤッ)。
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コメント
前略 薀恥庵御亭主 様
愚僧も・・・
「へんてこ楽器」と「落書き」
が趣味であります。
芸術は偉大なる「神」で
あります。
若い頃より「飛び出す絵本」が
大好きでした。
「夢」がありました。
悪化する「老眼」の為
御紹介頂く・・・
「ブログ」の拝読もこの頃は
停滞中です。笑
しかし眼は霞んでいても
「夢」だけは見れます。笑
合唱おじさん 拝
投稿: 合唱おじさん | 2010.10.12 20:38
合唱おじさん様、こんばんは。
夢だけは見れる…いい言葉ですね。
私も最近老眼気味ですが、見えなくなって見えるものもありますからね。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.10.13 20:27