陽炎が揺れてる
今日は我が中学校でスポーツ交流会が行われました。今年は開校1年目ということで、大々的な体育祭などはできません。それはちょっと寂しいことではありますが、逆に考えれば1年目にしかできないこと、1クラスでしかできないこともあるはずでは…。ということで、担任の先生らのアイデアで急きょこのような会を開催することとなりました。
生徒と先生、そして保護者が家族的な雰囲気の中、スポーツに汗を流し、そのあと学校の駐車場でバーベキューをするという内容。少人数であることを逆手にとった家族的なイベントですね。
結果としてとても楽しく充実した時間を過すことができました。いろいろな面で協力して下さった保護者の皆さんには、特に感謝感謝です。
それにしても今日は暑かった。ここ富士北麓の9月にしては、たしかに異常ですね。最高気温32度くらいでしょうか。31度の室内に入った時に涼しく感じましたからね。特に陽射しの強さは尋常ではありませんでした。さらにアスファルトの上でのBBQですから、もう体感温度は80度くらい(?)。サウナ状態でした。
こんな陽射しを受けて、街の道々には季節外れの「陽炎」が無数に揺れていました。
そう、今日スポーツ交流会が行われたのは、フジファブリックの志村正彦くんが生まれ育った場所の、隣の隣にある公園だったのです。それはまた、ウチの中学の隣でもあります。つまり、我が中学校は、まさに彼のふるさとの隣の隣の隣にあるということですね。
志村くんの残した数々の名曲の中でも、「陽炎」は私にとって特別な存在です。たまたまここに住み、仕事をしているからこそ共有できる「リアル」と、またそれを超えた普遍性を持った「ファンタジー」のバランスがあまりに素晴らしいからです。ある意味「文学」の理想像ですね。
タイにお住まいの知り合いが、彼の「文学」と「音楽」を世界に広めようと、素晴らしいサイトを運営しておられます。そちらの「陽炎」のページで歌詞を読んでみて下さい。
Fujifabric International Fan Site(1st Album)
日比谷野音のライヴ映像も貼っておきます。
今日、競技の合間に、志村くんが「肩落として帰った」、そして「慌てて家を飛び出して」揺れてる「陽炎」を見たのであろう路地裏に出てみました。この道の先には、彼が少年野球にいそしんだ小学校があります。
写真では分からないと思いますが、アスファルトのすぐ上には、まさにユラユラと陽炎が揺れていました。なんか私も、暑い陽射しの下、馬鹿みたいに野球に興じていた少年時代の自分に再会したような気がしました。
志村くんのご両親も、この曲の光景はまさに「ここ」から見たものそのものだとおっしゃっていました。今では隣のノッポくんもいませんし、駄菓子屋もなくなっています。しかし、たしかにそこには「あの人」は「変わらず過して」いるのでした。「あの人」とは、志村くんであり、自分であり、そしてあなたなのかもしれませんね。
中学1年生たちにとっても、今日のこの陽射しと暑さと陽炎は、一生の思い出になるのでしょう。そこから、こうした「文学」や「音楽」が生まれるといいですね。そういう感性を持った子どもたちであってほしい。
一方で、そういう部分に、他者である教師がどこまで関われるのか、多少心細く思ったのも事実でした。そこは教育の踏み込めない領域なのかもしれません。いや、踏み込めないからこそ大切な領域なのかもしれませんね。
天才を育てる教育なんていうものは、実はないのではないでしょうか。揺れる陽炎を背景に、生徒たちの歓声を聞きながら、そんなことを思いました。
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コメント
先生こんにちは(゚▽゚)/
お暑いところお疲れさまでした!
ワタシは今まさに息子たちの少年野球の手伝いに来ています。富士山の中腹のこの地も暑いです!!!
ワタシも志村くんのゆかりの地を何度か巡らせていただいているので写真見てコメントせずにいられませんでした。
フジファブリックに出逢って最初に大好きになったのが陽炎です。
下吉田まで足を伸ばしたことはなかったのに あの風景がぼんやり浮かびました。
実際行ってあまりにその光景に似ていたので ほんとにびっくりしました。
あの公園の裏が先生の中学だったんですね!
頭の中の地図がつながりました。
長男は志村くんと同じライトを守ってます。
投稿: さお | 2010.09.12 13:01
こんにちは。あの陽炎の歌詞の路地裏の写真を載せて頂いて有り難うございました。私も陽炎、大好きなので嬉しかったです。私は陽炎をみたことがありません。大人になってからの記憶では虹もみたことがないので、フジファブリックの曲で自然の美や不思議にも興味が沸くようになりました。先生のおっしゃるように『陽炎』には時空や過去や未来を越えているような不思議を感じます。あの曲をきくと何とも言えない気持ちになります。 それから、余談ですが、今朝テレビをつけたら偶然、笹公人さんの短歌が紹介されていました。短歌の知識は全くないのですが、すごく興味がわく、斬新な短歌でびっくりしました。
投稿: ぽん太 | 2010.09.12 15:57
先生、今晩は。
路地裏の写真、陽炎を聴きながら見ると、さすがに胸を締め付けられますね。
でもこの場所が見れて嬉しいです。
ありがとうございます。
9月半ばなのに暑い日が続きますね。今年は秋が来るんでしょうか。
秋になれば赤黄色の金木犀を聴きながら街を歩きたいです。
投稿: aramoruto | 2010.09.12 23:18
山口先生こんにちは。
スポーツ大会お疲れ様でした。
路地裏の写真、少年志村さんが走っていったのかなと
思うと、なんとなく切なくなります。
私の住んでいる町も、少し奥にはいれば
似たような風景が広がっています。
以前、子供の頃に住んでいた場所を歩いてみたことがあります。
懐かしさや、変わらない街並みへの嬉しさもありながら、
またなぜか悲しいような気持ちもわいてきたのを覚えています。
子供の頃のいろんな記憶が楽しいことばかりでは
ない…それは誰にもあることですよね。
歩きながら、想い出に浸ってました。
私には私の陽炎がありました。
投稿: HIROMI | 2010.09.13 20:30
さおさん、そうですか。
ご長男はライトですか。
私も一緒ですよ。
哀愁のライト同盟ができますね!
もしかすると、ご長男さまもいきなり音楽に目覚めるとか!?
ぽん太さん、大人になると忘れてしまう感性を、志村くんは持っていましたね。
それが世代や時代を超える普遍性につながっていると思います。
笹さんの短歌、辛酸なめ子さんが推薦されてましたね。
あのお二人大の仲良しなんですよ。
aramorutoさん、今年はたしかに異常な気温ですね。
しかし、吉田は朝夕すっかり秋らしくなりました。
季節感の強い吉田が志村くんを育てたとも言えそうです。
金木犀の季節はすぐそこです。
HIROMIさん、たしかに子どもの頃遊んだ場所に行くと複雑な気持ちになりますね。
楽しい思い出と、ちょっと切ない思い出(だいたい片思いとか失恋とかが原因かな)が交錯します。
志村くんにもいろいろあったのですよ、きっと。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.09.13 21:56
先生始めまして!ミキといいます。
スポーツ大会大変お疲れ様でした!
最近志村君のつながりから偶然にもこのブログと巡り会うことができました。始めてコメント書かせて頂きます。
実は今月末から3日間友達と富士吉田に行きます。もちろん志村君の生まれ育った所を感じてみたくて。そしてお疲れ様でしたって、感謝の気持ちを近くで祈りたくて。
山梨は前に1回行ったきりなので全く土地勘がないです笑。先生のお話を見て大変ためになっています! 行く際に是非とも参考にしたいと思います。
先生が本当に志村君が…フジファブリックが好きな気持ちがブログを見て、暖かさが伝わってきます。なんだかとても嬉しいのです。
ありがとうございます!
またコメント書かせてもらいます!
投稿: ミキ | 2010.09.13 22:36
山口先生こんにちは。
スポーツ大会お疲れ様です。
僕は、東京都武蔵野市の中学1年生です。
僕はフジファブリックでこのブログを知りました。
僕は、ウォークマンを聴くとき「誰を聴こうかな」って思ってるといつの間にかフジファブリックを聴いてたり、パソコンでフジファブリック以外の「ふ」の付く言葉を打とうとすると、つい「フジファブリック」と打ってしまったりするほど好きです。
そして富士吉田に行きました。母と姉と僕で行きました。一度行くと、また行きたくなり、また行くのですのです。
そして、「いつもの丘」や「みうらうどん」など志村さんに関係ある所に行き、火祭りも行きました。そこで質問があるのですが、9月19日の2:00からのお祭りについて聞きたいことがあるのですが、そのお祭りはどういうことをするお祭りなのでしょうか?
是非教えてください。
もしこの文章に間違いがあったら教えてください。
投稿: イシハル | 2010.09.15 20:25
ミキさん、イシハルさん、コメントありがとうございます!
こうしてブログを通じて皆さんの心がつながることに、きっと志村くんも喜んでくれていると思います。
また、皆さんがこの富士吉田を訪れてくれることに感激です。
富士山以外なにもない町(それを売りにしていたくらいですから)ですが、ぜひ何度もおいでください。
時間があればご案内します。
19日未明の更衣祭、実は私もどんな内容か知らないんですよ〜。
なにしろ60年に1回なので。
私も参拝する予定ですので、あやしい坊主頭を見かけたらお声かけ下さい。
ところで、私、中学1年生にはフジファブリックは難しいかなと思い、生徒にはまだ全く話をしていないんですが、ちゃんと理解してくれる13歳もいるんですね!素晴らしい!
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.09.15 20:40
先生おはようございます~ヽ(´▽`)/
とうとう今週末やぶさめ祭りですね!
うちの地元の浅間大社でも行われるのですが5月に行われてるので、9月にというとなんだか不思議な感じがします。
60年に一度の神事も行われるとの事、
夜中は無理でも昼間子供たちが野球に行ってる間、ちょこっと行ってしまおうかな・・・と思っていましたが
お茶当番入れてしまってました~!!!( ̄Д ̄;;
私ってば・・・!!!
先生ならアップしてくださると期待しています!!!
(研修の真っ最中のようですが)
試験が終わるまで吉田は我慢する予定だったけど・・・
ええ~い行ってしまえ!ということで今からちょこっと伺います!←意思が弱い!!!(ソフトバンクのお父さん風)
先生はお忙しそうなので発表頑張ってください!
投稿: さお | 2010.09.16 08:29
先生、こんばんは!
コメントありがとうございました。先生と同じく私も志村君を通してんなが繋がれているのがとても嬉しいと思いました。
皆さんのコメント見ていて知りましたが、19日お祭りがあるんですね!
せっかくだから行くときにかぶればよかったなーなんて笑
ちなみに私が富士吉田にいくのは9月30日〜10月2日までなので、その間にもしお時間あれば嬉しいです!
(1日目は富士急行ってますが笑)
最後に研修大変そうですがなんとか乗り切ってくださいね。
応援しております!
いきなり寒くなりましたので体に気をつけて下さい。
投稿: ミキ | 2010.09.16 20:49
山口先生、お返事ありがとうございました。
19日は、母が兄の文化祭手伝いに行くので、更衣祭は、行けそうもないです。
山口先生は行く予定にしていると書いてあったので、その時の様子を教えてください。お願いします。
実は、僕は山口先生をお見かけしたことがあるんです、それは5月頃、月江寺駅前で奥さんと一緒にライブをしていたのを見ていました。
投稿: イシハル | 2010.09.17 20:36
さおさん、こちらにおいでになりましたか?
おとといは雨でしたよねえ。
ミキさん、おいでの際にはご連絡くださいね。
2日はいないかもしれませんが。
イシハルさん、あれまあ、あのモノマネとか聞いていたんですか?
おはずかしい。
皆さん、今から東京へ行きまして、帰ってきたら御更衣祭を拝見しに行こうと思っています。
なんらかの形で報告できればと思います。
起きていられるかが問題ですが…笑。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.09.18 11:29
こんにちは、中二病少年です。
志村さんは、丁度学校の裏で少年時代を過ごしたのですね。こんな特殊(?)な環境下と、志村さんのセンスが合わさったからこそあんなに美しい詞が書けたのでしょうね。富士吉田の事を改めて好きになりました。(≧∇≦)
P.S.授業でもフジファブリックの事をやって下さい。(中二病のきっかけになるかもしれませんし。)
投稿: 中二病の昌平 | 2010.10.09 13:39
昌平くん、いやメガネくん、どうも。
そうなんだよねえ。
君たちはすごいところに住んでるんだよ。
もう少ししたら、フジファブリックも含めていろんなバンドの歌詞で授業するよ。
でもなあ、なんかみんなまだまだ幼いんだよなあ。
今やってももったいないよ。
まあ、中二からかな、やっぱり。
ps明日は気をつけて来てくれ。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.10.09 14:13