『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』 カーマイン・ガロ (著), 外村仁 (解説), 井口耕二 (翻訳) (日経BP社)
人々を惹きつける18の法則
新型iPodが発表されました。今日はこの本を読もうと思っていたので、ナイスすぎるタイミングにびっくり。
今回もまた、ジョブズのプレゼンは魅力的だったようです。誰もが認める彼の「驚異のプレゼン」の秘密がつまったこの本、たしかにとってもためになりました。
400ページ近くある大著なのですが、一気に読んでしまった。ジョブズのプレゼンも驚異ならば、それを分析して示したこの本も充分驚異的。
ジョブズ流のプレゼン術からしますと、この本はちょっと内容が膨大すぎるのかもしれません。しかし、あの極度にシンプルなジョブズのプレゼンには、実はこれだけの中身や智恵やアイデアや技術が詰まっていると考えれば、このようなボリュームになるのは当然と言えば当然ですし、逆にそれだからこそ、彼のプレゼンは人の心を動かすことができるのでしょう。
プレゼンテーションは、まさに「提示」することであり、「贈り物」であり、そして「表現」であります。そういう意味では、これは、いわゆるビジネスシーンでのプレゼンにとどまることなく、世の中の全ての表現行為や伝達行為にも通ずる極意であるとも言えます。
たとえば、私でいうなら、授業や、演奏や、講演や、日常のコミュニケーション、そしてこのブログ執筆の極意であるわけです。
そう、私はこうして語りすぎる(騙りすぎる)ところがあるんですよねえ。長いし、いろいろ言いすぎて、結局要点がつかめない。自分でも何が要点かわからなくなってしまうことが多々あります。
ジョブズは禅の勉強をしていると言います。その一つの成果、体現の形が、彼のシンプルを極めたプレゼンということになるようです。私もいちおう野狐禅をやってますが、全く活かされていませんね(苦笑)。
たとえば、三つに絞られたメッセージ(3点ルール)。人は三つ以上のメッセージは受けとれないと言います。なるほど、そうかもしれない。私なんか、昨年のこの中学の開設プレゼンで、数十もの箇条書きを提示してしまいました。おお、恥ずかしい。彼は箇条書きは一切やらないらしい。
メタファーとアナロジー、デモ、敵役と正義の味方…なるほど、全ての表現に必要なものばかり。
そして、なんと言っても、メッセージの奥にある「あなたの生活、あるいは世界をこう変えます」という強い意志。ただ商品を紹介するわけではない。
授業で言えば、ただ教材を教えるのではない。その先にある「あなたや世界がこう変わる」「あなたや世界をこう変える」がないと、なんの感動もないし、生徒をひきつけることができない。たしかにそこまで考えて教えてなかったなあ…。
プロレスなんかも、まさにこれですよね。ただ技や勝敗を見せるのではない。観ている人の人生を変えるほどの、何か強い信念や魂がないとダメです。音楽も全く同じ。
「宇宙に衝撃を与えることが僕らの仕事だ」…こんなこと思って仕事している人、どのくらいいるのでしょうか。しかし、結局はそこが彼やApple社の魅力につながっているんでしょうね。些末な技術論ではないのです。
あるいはこの本でも示されている「デザイン」という言葉の意味。私たちもある意味デザイナーにならなければいけないのだなと思いました。生活を、社会を、世界を、そして宇宙をデザインするのか。
アイコンタクト、開いた姿勢、手ぶり、抑揚、変化、間。そして、1に練習、2に練習、3、4がなくて5に練習。台本を捨てる。自然に楽しめるレベルまで、とにかく練習。
当たり前ですが、なかなかできないことばかりですね。私なんか、アドリブ力とかハッタリ力と言って、練習しないで臨むのを売りにしているくらいですから、まあひどいものです(苦笑)。
ジョブズのすごさは、もちろん、台本どおり行かなかった時にも発揮されます。アクシデントをもプラスに転換してしまう本当のアドリブ力。これもまた、音楽やプロレスの名人にも通じていますよね。
ううむ、再来週には研修での発表が、その次の週には募集説明会でのプレゼンが控えています。演奏会もたくさんありますし、なにしろ毎日授業があります。
この本を読んだからには、今までとちょっと違う表現をしなければなりませんね。はたして私は、真にクールなプレゼンができるのでしょうか!?
まずは、YouTubeでジョブズのプレゼンを改めて観てみようっと。
もちろん彼のマネをしようとしてもダメですよね。たとえば、いきなり黒のタートルネックにジーパンで登場するとか(笑)。
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