『近くて懐かしい昭和展』 (山梨県立博物館)
今日は久しぶりに山梨県立博物館へ。半分仕事ですが、とりあえずこの特別展に間に合って良かった。
なんでもこの特別展2万人の入場者があったとのこと。こういう企画が人気になるのは、まあ博物館としては複雑な心境なのかとも思われますが、しかし、すでに昭和は歴史の一部ですし、また民俗学的にも一つのエポックとしてすっかり研究対象になっているわけでして、きっと網野善彦さん的にも喜ばしいことなのではないでしょうか。一般庶民の歴史そのものですから、昭和は。
ただ、どうでしょうか。もう少し「昭和」を考察する部分があっても良かったかも。博物館での企画ですから、それなりの位置づけや意味づけが前面に出ていてもよかったのでは。デパートの催し物ではないわけでして。
さて、今回は珍しく下の娘と二人で訪れました。二人っきりでおでかけする(デートする)のは、実は初めてだったりして(笑)。
写真のとおり、下の娘は髪型からして「昭和」しております。展示(特に当時の教室を復元した展示)の中にすっかり溶け込んでオブジェ化しておりました(笑)。
そう、ウチの教育は完全に昭和なので、展示内容についてもある程度知っている世界なのです。特に、力道山と美空ひばりのコーナーは、もう守備範囲そのまんまという感じですね。ま、こういう家庭教育が正しいかどうかは分かりませんが。
そう我が家的には、今回の展示で一番感動したのは、力道山のガウンと美空ひばりの映画撮影時の衣装ですかね。本物でしたから。
この二人と言えば、山口組三代目田岡一雄組長ですが、そのへんについても当然考察はありませんでした(当たり前か)。しかし、黒駒の勝蔵という山梨が誇る侠客もいますからね、そちらの世界ももっと学問的に取り組むべきだと真剣に思います。それこそ、網野さんのフィールドとも言えましょう。
ところで、ちょうど館内を歩いている時に、悲しいメールが届きました。
新日本プロレスの鬼軍曹、力道山最後の弟子の一人、山本小鉄さんが昨日急逝されたそうです。先日テレビでお元気な姿を拝見したばかり。雑草魂ではい上がった真壁選手のことを語りながら、思わず感極まって涙されていたのを思い出します。また、スネークピットの宮戸さんと、そんな山本さんが現代のプロレスについてどのように思っているのだろうとお話したばかりだったので、本当に驚いています。
また、昭和の生き証人、古き良き昭和の文化を現代に継ぐ方を亡くしてしまいました。非常に残念です。昭和の「道場文化」もまた消えてしまうのでしょうか。
こうして自分が育ち、自分を育てた「時代」が「文化」として語られ、そしていつのまにか「歴史」になっていってしまうのは、本当はちょっと寂しい気もします。
夜、7月に行われたフジファブリックの「フジフジ富士Q」のテレビ放映を観ました(明日記事にしましょうか)。こうしてトリビュートされていくモノたち。全てのモノは、記録や記憶や歴史というコトになっていく。そのどうしようもない切なさ。これこそが「もののあはれ」の本質なのかな…などと考えた今日一日でありました。
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コメント
「昭和」展、なんとなくパスしちゃいましたね。県博は来館者減少が問題視されているようで、いろいろ巡回展を呼んで力入れてますね。とりあえず客が入ったようでよかったです。
投稿: 黒駒 | 2010.09.23 03:52
黒駒さん、コメントありがとうございます。
私けっこう県博好きなんですけどねえ。
どこの自治体も博物館系はみんな苦労してますよ。
まずは来てもらわないといけませんから、ああいう巡回展もしかたないかもですね。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.09.23 18:49