都留文科大学国文学科創設50周年記念講演会&パーティー
昨日とは打って変わって超文系の講演会。演題は「国文学と筆跡の認定」&「壷井栄論−作家誕生の秘密」。う〜む、ワタクシ的にはかなり萌えな内容ですが、一般の方にはどうなんでしょうか(苦笑)。
なにしろ「文科」ですから。「理科」の対極であるのはあたりまえ。よく「文化」と間違われるんですよね。なんで、「理科」という言葉は残って「文科」は消えてしまったのだろう…そういう時代、世界の潮流だったんですかね。
さて、久保木哲夫先生の「国文学と筆跡の鑑定」は、オリジナル主義の私にはなかなか面白い内容でした。いやいや、それ以上に四半世紀前と全く変らぬお姿の久保木先生にビックリ。相変わらず背筋が伸びていらっしゃる。話し方、声、マイクの持ち方まで懐かしく、一瞬タイムスリップしたような気分に。
ふむ、筆跡鑑定にも「文学」は有効であると。たしかにそうですよねえ。たとえば音楽でも自筆譜の認定には、当然その内容、すなわち音楽性も関与してきます。表面上のデザインだけで認定するなんてとんでもない話ですね。ま、バッハの奥さんのように、旦那さんの作品を旦那さんそっくりの「筆跡」で写譜しちゃった人もいますが。
昨日からの流れもあって、「この発見(筆跡の認定)が、いったい人類の何に寄与するのか」なんて、それこそ野暮な発想もないではなかったわけですけれど、やはり、そういう「真」を追求、追究する心こそ大切なのだと思いますよ。
そういう意味では、鷺只雄先生の「壷井栄論」もそう。たとえば壷井本人からすると、いろいろせっかく隠していたり誤魔化していたりしたものを暴露されて迷惑なわけだし、壷井やらその周辺のプライバシーが人類の何に寄与するのかわからんわけでして、そういう意味では、文系(文科)の研究なんて自己満足だという、そういう意地悪な言い方もできるわけです。
また、こういう言い方も叱られるかもなんですが、理系は未来の学問、文系は過去の学問という分け方もできますよね。そうすると、やはり過去の遺産、過去の人類の営み、真理の追究の足跡を再評価、再検討するというのは、これは未来のそれよりも価値があるような気もしてきます。
「未知」の領域は、過去にも未来にも同様に広がっているはずです。なぜなら、私たちはそうした無限の時間の流れの一点にすぎないわけですから。過去とか(現在とか)未来とかいう「コトワケ」自体も、私たち人間の勝手な感覚にすぎません。未知の「モノ」は無限に広がっています。
さてさて、自分の過去を顧みる意味でも、今回の記念行事はいいものでしたねえ。パーティーでは、懐かしい同級生、クラブの先輩、後輩たちとの再会、先生方との交流など、とっても楽しい時間を過ごさせていただきました。
私の代は7人の出席があったのですが、うち6人が我がクラスの面々でした。さすが、級長がいいからだ!とイヤミを言われました(私が級長でした…笑)。その他にも、もう一生会わないであろうリストに乗っていた方々(失礼)にも、期せずして再会することができ、それはすなわち、自分の「若気の至り」の復習及び反省の時間ともなったわけで、それはそれである種「文系」「文科」的な邂逅ではありました。これこそが「文系」「文化系」の楽しみそのものなのではないかとさえ思いました。
うん、私「文科」で良かったかも。「理科」の先生になるべく受験した第一志望校に落ちて良かった。今の自分に全て満足していますので。そう考えると実にいい大学でした。あの時の出会いが、今の自分の仕事や趣味や家族につながっていますからね。
先生方ともお話しましたが、これからはそんな母校に何らかの形で恩返しをしていきたいと思っています。
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