第25回 都留音楽祭 3日目
音楽祭も3日目。盛り上がってまいりました。
都留音楽祭のいいところだと言える「とってもアットホームであったかい雰囲気」が、じわ〜っと醸されてきました。初参加の方もすっかりそのムードに慣れてきたようですね。
そういう意味でも昨日よりだいぶ落ち着いてきたので、私も、実行委員というか受付の仕事の合間に、いろいろなレッスンを見て回ってきました。皆さん真剣な中にも少しずつ遊び心なんかも芽生えてきたりしているようでした。
昨日の素晴らしいコンサートの余韻も冷めやらない大ホールのステージでは、エマ・カークビーさんのレッスンが行なわれています。ほんの少しその様子を拝見しましたが、たまたま昨日私が感じたようなことをカークビーさんがおっしゃっていたのでビックリ。やっぱり美空ひばりだ!
こんな言葉が印象に残りました。
「日本の職人さんの仕事は、とても細かいところにこだわっている。しかし、その仕事ぶりを見ると、案外バサッとおおざっぱに(いさぎよく)やっている」
うむ、私のよく言う、「大きな流れの中の細部」というやつですね。リズム一つとってもそれをしっかりつかんでいる音楽家はあんまりいません。音程や音色、そして表現の綾についても同様です。
美空ひばりはそれを常に完璧に、そして毎度違えて実現することができる稀有な音楽家なのでした。もちろん、エマさんもそういうレベルの方です。
またまた感動してしまったワタクシは、得意のミーハー心と突撃魂をもって、ご一緒に記念撮影をさせてもらいました。もうホントに優しくフランクに接して下さいまして、ますますファンになってしまいました。ご自分のカメラでもなんだかパシャパシャ私の姿を撮影していました。なんでも、この頭の形がいいのだとか。あるいは光具合が…笑。うれしいですねえ。
しっかし、エマさんと波多野さんに囲まれて記念撮影してもらえるなんて…それこそ、四半世紀前の私は想像すらしませんでしたね。それも、ビル・ロビンソンが描いたプロレスリングの絵のTシャツ着てるし(笑)。いや、イギリスつながりということで。
やっぱり音楽はお人柄ですね。お人柄が音に乗る。超一流の方は、どんなジャンルにおいてもそうですが、とにかくみんな魅力的なお人柄なんですよね。逆に言えば、人徳がなければ超一流にはなれないということです。特にエンターテインメントの世界では。
さて、今日の夜のコンサートは久しぶりに「タブラトゥーラ」です。以前一度オープニングアクトをお願いしたことがありました。今夜もあの時同様に客席を巻き込んだ大熱演。
最後はお客さんも舞台に上がってダンス・ダンス・ダンス。無国籍音楽なだけに、インスパイアされた踊りの方もなんだか無国籍、無秩序(笑)。楽しいなあ。
タブラトゥーラの音楽は、いわば近代化されていない、あるいは西欧的でないタイプの音楽。音階一つとっても単純なドレミではありません。旋法も多彩。ドローンや循環バスの上に即興が乗っていく。規格化、あるいは企画化されすぎたクラシック音楽へのアンチテーゼとも言える、現代人にとってはなんとも懐かしく、また一方で刺激的な音楽です。ある意味私の理想に近いかも。
それにしても皆さん達者でらっしゃる。それこそクラシック音楽をベースにそのテクニックを磨いてきた人も、それはそれですごいのですが、なんか今回妙に心に残ったのは、山崎まさしさんのさりげないけれども実はすごすぎるビウエラ演奏でしょうか。主張しないで主張しているところがすごい。人が主張しているのではないけれども、音自身はぐんぐん主張してくる。かっこいいなあ。これまたある意味私の理想に近いかも。
それにしても毎日素敵すぎるコンサートの連続。なんと贅沢な夜を過していることか。
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