『なぞかけで「脳活」!−脳を活性化させるドリル付き』 Wコロン (東邦出版)
今、中学生は初めての期末テストを受けています。みんなよく頑張っていて感心します。オレ、中一の時、あんなに勉強してたかな?
ワタクシの国語は相変わらず変チクリンな授業をしていますから、テストもかなり謎なことになっています。「ビューティフル・ドリーマー」で20点分とか…笑。
1学期、一番一生懸命やったのは「うる星やつら」ですから。どこが国語なのかと言われそうですが、私にとっての「国語」はメディア全般です。かなりレベルや次元は違いますけれど、やっぱり恩師大村はま先生の影響でしょうか。
テスト終了後は、「うる星やつら」のあの名作「さよならの季節」をクラスのみんなで実写化します!それを学園祭に出品。ほんの少しですが作り手側に回ることで、メディア・リテラシーを意識する端緒としたいと思います。
ほかにもいろいろ変なことを授業でやってきました。そのうちの一つが「同音異義語」です。日本語の特徴の一つである「音韻の少なさ」から生まれる「同音異義語」、「ダジャレ」などを学びます。学ぶというほどではありませんが…。
その実例の一つとして、昨年あたりから大人気のWコロンの「謎かけ」を教材として使いました。ねづっちの謎かけって、ほとんどが「ダジャレ」、すなわち「同音異義語」なんですよね。この本の紹介で挙げられている、ねづっちの作品例を見てみましょう。
【お題】お好み焼き
「お好み焼き」と掛けて「ダイエット」と解く、その心は… ヘラない(減らない)と困ります
【お題】告白
「告白」と掛けて「裁判」と解く、その心は… 交際(高裁)に発展することもあるんです
【お題】セレブ
「セレブ」と掛けて「この絵の具、一色足りない」と解く、その心は… シロガネーゼ(白がねえぜ)
【お題】チカン
「チカン」と掛けて「条約を結ぶ」と解く、その心は… やがて手、ケツ(締結)へと向かうでしょう
【お題】のれん
「のれん」と掛けて、「セールスマン」と解く、その心は… 外に出てれば営業中
【お題】ハゲ頭
「ハゲ頭」と掛けて、「再び逃げ出した犯人」と解く、その心は… 頭皮(逃避)がバレてズラ買った(かった)
【お題】太もも
「太もも」と掛けて、「いつも何曜日に飲みに行くの?」と解く、その心は… 大腿筋(だいたい金)
【お題】レンタルビデオ
「レンタルビデオ」と掛けて「幕末の志士」と解く、その心は… 新作高すぎ(晋作高杉)です
どうですか。「のれん」以外は全部「ダジャレ」、つまり「同音異義語」を駆使した作品ですね。
この本の冒頭にも挙げられている古典的な謎かけの例、「坊主とかけて朝刊と解く、その心は…ケサキテ、キョウヨム」なんてのも、たしかに見事な「同音異義語」による作品ですね。実に鮮やか。
実はこういう「ダジャレ」文化は、日本独自のものなのです。音韻数が極端に少ない日本語ならでは。たとえば英語や韓国語ではなかなかこうはいきません。
坊主と言えば、こんな言い方もありましたね。
「真如とは 若き女の乱れ髪 ゆうにゆわれず とくにとかれず」
これはお釈迦様が「真如」とは何かと問うた時、文殊菩薩が答えたという一文だそうです。なんで、お釈迦様や文殊菩薩が日本語の「同音異義語」を駆使しているのかよくわかりませんが(笑)、これもまあ「ダジャレ」の一つですよね。
これと似たようなことを言ったのが、正真正銘の日本人、出口王仁三郎です。
「神とは何か。それは…ゆうにゆわれず、とくにとかれず。オヤジのハゲ頭みたいなもんじゃ」
ははは、さすがですな。
講談などでは、
「心の内は賤杣人のつくも髪、とくにとかれず、いうにいわれず」
と言われていたようです。
ねづっちは本当古典的なことをやっているんですよね。それがあまりに素早く「ととのいました」になるので、我々は笑うというよりビックリするわけです。アドリブ力ですね。
きっとある種のテクニックがあるのでしょう。お題が出たら、その周辺の語を片っ端から思い出し、それをいったん平仮名(あるいはカタカナ)に戻して、頭の中の変換キーを何度か押すんでしょう。それで、かけ離れた同音異義語を一つ選び、その周辺語をまた想像して、うまく整えるのではないでしょうか。
なんて、口で言うのは簡単ですけど、実際やってみようとすると、これが難しい。これもまた、「作り手」側に回ることによって、そのすごさが分かる一例かもしれませんね。
と、とにかく、今、ワタクシの国語では、「もう一つの視点」「逆の立場」の勉強を、さりげなくやっているでありました。
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