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2010.07.17

フジファブリック presents フジフジ富士Q

Fujifabric 当に忘れられない夜となりました。夢の舞台は、本当に夢の舞台でした。まず最初に志村正彦くん、ありがとう。君は本物の天才だ。
 そして、ダイちゃん、総くん(すんません、字間違ってましたね)、加藤さん、お疲れさま。あなたたちはやっぱりフジファブリックでした。
 本当に感動した時、自分の言葉はほとんど機能しなくなります。だから、今日はあんまり多くを語れません。私の軽い言葉たちは、ただただ音楽の力の前にひれ伏すだけです。
 正直前半は涙が止まりませんでした。今日は最初から楽しんでやる!と意気込んで行ったものの、やはりダメでした。
 バンドの音はたしかにフジファブリックなのに、なんで歌声は志村くんじゃないんだ!なんで夢の舞台に彼はいないんだ?そんな気持ちだったのでしょうか。
 それぞれの曲にまつわる様々な志村くんの想い出や風景が、それこそ走馬燈のように駆け巡ってしまい、どうにもならなくなってしまいました。
 今回は、家族全員で参戦したのですが、不思議なもので、泣いていたのは私だけではありませんでした。特に小学校2年生の下の娘は、ワケもわからず最初から泣いています。帰宅後、あの時なんで泣いてたの?と聞いても、わからないと…。彼女も上の娘も、志村くんとの初対面が永遠の別れだったのですから、何か理屈を超えたあの場の空気を読み取ったのかもしれません。
 そんな私たちでしたが、後半はすっかりノリノリになることができました。それは、そういう「哀しみ」を乗り越えるほど、志村くんの楽曲自体にとんでもない力があることが分かってきたからです。
 どのアーティストも本当に素晴らしいパフォーマンスを聴かせてくれましたが、なんというか、どんどんそれぞれの方々が歌う志村くんの曲が、それぞれのオリジナル曲であるかのように感じられてきたのです。
 これはすごいことだと思います。前半も実はそうだったのでしょう。しかし、「哀しみ」という感情が、そうした客観的な音楽性を聴く耳を塞いでしまっていたのではないでしょうか。今思い出せば、全てが「自然」であったと思います。
 こんなことってあるんでしょうか。あれほど個性的な声と節回しを持った志村くんの代わりを、いったい誰が出来るのか?あのヘタウマな感じこそフジファブリックだと思っていた私にとっては、この事実は衝撃的でした。正直、音楽の教科書的に言うならば、みんな志村くんより歌は上手でしたからね(笑)。
 そう、つまり、志村くんはとんでもなく多様な、おそろしく様々な個性を持った曲を作っていたのです。この曲はこの人風という個性とは違います。誰が歌っても、その人の曲になってしまう究極の個性です。
 表現者の個性を超える個性。それは「普遍性」と言っていいと思います。カバー大会、いや、ある意味究極のカラオケ大会と言ってもいいかもしれない、あの特殊な状況の中で、私は初めて志村楽曲の本当の価値を知ることができました。
 クラシックの世界でも似たようなことがあるんです。実は私、明日は八ヶ岳でバッハを演奏するんですけれど、そのバッハなんか最たるものですね。バッハの作品の、時間や空間、そして楽器や解釈さえも軽く超えてしまう普遍性については、もう語る必要はないと思います。私はピリオド演奏をしますが、たとえば、モダン楽器で弾いてもいいし、シンセサイザーに演奏させてもいい。もちろん、ジャズにアレンジしようが、どうしようがバッハは全く揺らがず、そしてどのバッハもベストになってしまう。
 また、バッハの作品は、はっきり言ってあの時代にしてみると、「へんちくりん」です。異常です。ある意味気持ち悪い。なんじゃこりゃ?です。今日もいろんなアーティストの方がリスペクトをこめて言ってましたね、志村くんの曲は変だと。
 おおげさでなく私は、そうしたバッハに匹敵する楽曲の普遍性を、今回、志村楽曲に感じたのです。志村くんが不在であることによって、彼の本当の存在感を知ることになるとは、ある意味では皮肉なことではありますが…。
 カミさんも、そして二人の娘も本当にたっぷり感動し、泣き、歌い躍った4時間でした。まさに夢の舞台。彼女たちも改めてフジファブリックの魅力に取り憑かれたようです。
 心配された天気も、まさに奇跡的に梅雨明けを迎えて晴れ渡り、ちょっと恥ずかしげに顔を隠していた富士山も、ライヴが始まってからはくっきりと見え始め、そして見事な茜色の夕日。ポッカリ浮かぶおぼろ月。そして、最後の花火…全てが美しい「物語」のために、志村くんが用意してくれた粋な演出だったのかもしれません。
 夢の舞台は、やはり新しいスタートでした。私にとっても、フジファブリックにとっても。
 あの雑踏の中で、本当にたくさんの方々に声をかけていただきました。それも考えてみれば奇跡的なことですね。本当にありがとうございました。
 最後に感謝の気持ちをこめて、セットリストを載せておきます。こうして復習してみると、実にとんでもないイベントだったことが分かりますね。こんな夢の舞台を作りやがって!まったく志村正彦とはどこまで魅力的な男なのでしょう。

奥田民生「桜の季節」
安倍コウセイ「虹」「モノノケハカランダ」
ハナレグミ「ダンス2000」「ルーティーン」
クボケンジ「バウムクーヘン」「赤黄色の金木犀」
斉藤和義「地平線を越えて」「笑ってサヨナラ」
ハヤシ「TAIFU」「B.O.I.P.」
藤井フミヤ「タイムマシン」「若者のすべて」
氣志團「ダンス2000」「茜色の夕日」
和田唱「Strawberry Shortcakes」「陽炎」
真心ブラザーズ「TEENAGER」
真心ブラザーズwithスカパラホーンズ「線香花火」
スカパラホーンズ「Surfer King」
PUFFY「DOKI DOKI」「Bye Bye」
片寄明人「花」「サボテンレコード」
吉井和哉「マリアとアマゾネス」「Anthem」
くるり「Sunny Morning」「銀河」
フジファブリック「会いに」
奥田民生「茜色の夕日」

 個人的には、やはり吉井和哉は別格なロッカーだなと思いましたが、あえて最後にこの曲を貼り付けておきます。名曲、名演でした。

 本当に最後の最後に一言。刃田綴色さんと伊東真一さん、GJ!素晴らしかった。

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コメント

庵主さま、いつも素晴らしい随筆ありがとうございます。
最近は専ら携帯電話から更新を楽しみにしていました。
山梨フジフジ富士Q!そう、まさに夢の舞台でしたね。
あの、富士山、茜色の空、おぼろ月。泣きました。
そして私も同じく、バッハやビートルズを思い出していました。
「普遍性」まさに!
以前、大岡昇平さんや江藤淳さんに先生を例えましたが、今も
そのままの気持ちです。
江藤さんが、漱石や子規の本の取材で松山に行った時に、ツアー
ガイドさんが放った一言に彼は泣くんです。
それは、子規さんの妹の人生を「子規の看病をするために、苦労し、人生を終え~」と述べたのを聞き、彼女の人生を無念、淋しいと泣くのではなく、誰の人生も決してそんな一行で終わるもの
ではないと感じた涙なんですね。
そして、それを“知ってるから自分は書く”のだと。
「志村正彦という才能あるミュージシャンが29歳の若さでした。」
じゃあ一体どんな野心を持って音楽を創ったか、詩への思いは?
彼の愛した街並、人、家族、メンバーなんでもいいんです。
そんなたった一行では、こぼれ落ちる人生が、この先生のブログには、書かれてると思う。
それをお伝えしたくて。
これからも、イチファンでいさせて下さい。

投稿: 千帆 | 2010.07.18 10:20

昨日はおつかれさまでした。
コニファーフォレスト、長い一日でした。

私も初っ端から泣きっぱなしで。
なんでなんだろう・・・
なんで待ちに待った夢の舞台に志村くんはいないんだろう。
志村くんの歌声がききたいのに・・・。
でもコウセイくんもクボくんも素晴らしかった。
照れくさそうに思い出を語るクボくんを見守るように、
彼の隣で寄り添う優しい目をした志村くんが見えました。
Great3以来、久しぶりに片寄さんの歌声を生で聴きましたが、
「花」「サボテンレコード」期待通りの選曲がとてもうれしかったです。
吉井さんの「anthem」で涙も最高潮に達しましたが(笑)
どのアーティストもとても素晴らしかったですね。
でもやはり志村くんのあの独特な節回しや単調で舌っ足らずなボーカルにはかなわない・・・
最後に流れた「若者のすべて」でまた気づかされました。


投稿: rollo | 2010.07.18 13:21

蘊恥庵庵主様

本当に夢のような幸せな1日でした。

きれいな茜色の夕日、富士山、飛行機雲、流れ星、三日月も見れたこと。
この日、聴いて、見て、感じたことは、フジファブリックのうたとともにずっと忘れません。

大切な思い出と好きな街が、またひとつふえました(*^_^*)

フジQ開催。志村さん、フジファブリックさん、歌手のみなさん、スタッフのみなさんに感謝の気持ちでいっぱいです。

この日から、「若者のすべて」を聴いて思い浮かぶのは、7月17日の素敵な1日と綺麗な花火になりました☆

先生の日記を読んで、また胸が熱くなりました。


投稿: ひこうき雲 | 2010.07.18 23:56

こんにちは庵主様

フジファブリックのファンの端くれとして、フジフジ富士Qに茨城から参加させていただきました。
初富士吉田でした。

言葉に尽くせないようなイベントでした。
"悔しくて、悲しかった"でも楽しかったし、嬉しかった"です。

立派なセットや豪華な出演者、16000人のお客さん、通常五千円のチケット代の、武道館の経験も無いバンドには本来ありえないよな、大規模なイベントを遂行したのは関係者スタッフの意地であり尽力で、それはつまり志村さんの実力ゆえですね。

今回曲を聞いていく毎に、音楽性の幅に気付き、未来の音楽界に必要だった新しい才能だったことに気付き、
それを失ったことに改めて気付き、悔しくて悔しくて悔しくて仕方なかったです。


それでも名(迷)曲と素晴らしいステージを見せてくれたミュージシャンの方々のお陰で、音楽に酔ったし、踊ったし、時に笑えたり、夕景や自然に感動したり、楽めました。

志村さんの新曲が聞けない事は非常に残念なことだけれど、音楽の可能性のヒントを沢山残してくれたのですね。そのヒントが未来に志村メロディとして受け継がれていくのですねきっと。


そしてもうひとつ。関東平野に生まれ住む私からすると、富士吉田は新鮮な場所でした。富士山はやっぱり感動しました。
 彼が育った街を体感してしまうと"夢の舞台に立つ前に逝ってしまった富士吉田の少年"になってしまい、どうしても悲しくなってしまいますが…


 言葉にできないと言いつつ長々と失礼しました。
志村さんを育ててくれた富士吉田に感謝します。という気持ちを言いたいのです。

投稿: アユ | 2010.07.19 08:06

先生、今晩は。
初めてコメントさせていただきます。

17日は私にとっても、特別で忘れられない一日になりました。
フジファブリックの音も歌も存在するのに、ステージに志村さんが居ないのは本当に不思議でした。

民生さんが歌い出してからの前半は涙を止めるコトなんて出来なくて、でも先生がおっしゃる様に、後半はいつの間にか笑顔で楽しんでました。
志村さんの作った曲が、メンバーやアーティストの方々の演奏でキラキラと輝いていて、それを少し分けてもらった様な気がします。

最後に流れた「若者のすべて」と映像で再び涙がこぼれ落ちたけど、今日のイベントで皆さんの志村さんへの深い深い想いを更に感じて、いつまでも泣いてばかりじゃいけないな、前を向いて歩き出さなきゃな、と心から思いました。

先生の日記にもいつも励まされています。
ありがとうございます。これからも読ませていただきます。

そしてフジファブリク、アーティストの皆さん、スタッフの皆さん、一緒に同じ時間を共有出来たファンの皆さんに、感謝します。

最後に一言。「志村ー!ありがとうー!」


投稿: aramoruto | 2010.07.19 20:03

志村さんのことがきっかけでそれからずっと見させていただいています。

フジQは札幌から参戦しました。
グッズ売り場に2時間並んでいるうちに、民生さんの「桜の季節」からクボさんの「バウムクーヘン」までを横で聞き流すはめになり、
Tシャツ・サーモマグ・タオルそしてなんとドンブリまで売り切れて、違う意味で最初から泣きそうでした。

和田さんが「陽炎」で「キーボード金澤ダイスケ」と言った時
ライブでの志村さんの姿を思い出してしまいたまりませんでした。

和田さんはじめ他のみなさんもほんと素晴らしかったですよね。
歌と夕焼けとモニター越しに見えた富士山は一生の思い出になりました。
感謝の気持ちを誰かに言いたいのでここをお借りします。フジファブリック、ありがとう。

またフジファブリックのこと、時々伝えてください。

投稿: 梨沙 | 2010.07.20 10:28

初めてコメントさせて頂きます。
いつも楽しくブログを拝見させて頂いております。

フジフジ富士Q、私も参加しました。
本当に最高なライブだったと思います!
フジファブリックのメンバー、参加アーティストの皆さんが、本当に志村さんが大好きなんだなと言う事が伝わってきました。
茜色の夕日が空に広がった時、「ああ、志村さんだ」と思いました。
やっぱり志村さんは此処にいるんだな、と。

参加して、本当によかったと思います。
あの場所をにいれた事が、とてもとても嬉しかったです。

富士吉田の方にも、初めて行きました。
志村さんの歩いたであろう道を歩いて、忠霊塔にも上って。
フジファブリックの音楽が、ここで育ってきた一人の人から生まれてきたという事をとても感じました。

とても素敵な夏の思い出ができました。


長文失礼致しました。
これからも先生のブログ楽しみにしています!

投稿: 青 | 2010.07.20 11:40

庵主さま

今晩は。いつも楽しく拝見しています。

私もフジフジ富士Q参戦しました。
泣き、笑い、複雑な心境でしたが、楽しめました。
忠霊塔にも行きました。
富士山ナンバーがあることを知りました。
ほうとうと、おざらを食べました。
吉田うどんは食べ損ないました。
信玄餅食べました。
焼肉食べました。(?)
富士山五合目も行きました。(すごい渋滞でした!)

しかし、やっぱりなんと言っても富士山ですね。
どこに行っても富士山が気になり、きれいに見えると
カメラを向けたくなりました。
滞在中は、晴れ続きで最高でした。
あんな景色が日常だなんて、すごく贅沢ですね。

フジファブリックに出会えて、山梨という全く興味の
なかった(すみません!)県を知って好きになりました。
志村くん、ありがとう!!!

そして庵主さま
毎日の更新ありがとうございます。
はじめは志村くんの記事が目当てでしたが、
毎日毎日いろいろな分野のことに触れていて、
読むのが楽しいです。
偏りすぎないこのバランスが大好きです。
お忙しそうですが、お体に気をつけて続けてくださいね。
楽しみに毎日ひらいています。

投稿: かえで | 2010.07.21 00:31

あれから数日が経とうとしていますが、あまりにもいろいろな意味で刺激がありすぎ、抜け殻のようになっております。
あの日の出来事、先生にお会いできたこともも含め、志村君の粋な演出だとあたしも思いました。
私も、楽しんでやる!と思ってましたが、ダメですね(笑)
ステージで気丈に振舞うメンバーの姿に勇気付けられました。

今回時間がなく、またうどんを食べられなかったので、ゆっくり行こうと思います。

一つ気になっているのですが、富士吉田市に訪れた方はたくさんいらっしゃたのでしょうか?
混乱させなかったのかなと思いまして・・・

最後に、聡くんじゃなく、総くんですcrying

投稿: パッチ | 2010.07.21 13:11

先生、お疲れ様でしたー!

ようやく先生の日記を見れて
同じ気持ちだったのだな、とわかり嬉しくなりました。

初めは涙、涙でしたけど
行って良かったと思います。

先生にも会えましたしね^^

私も日記書いたんで良かったら見てやってください^^

投稿: おちび | 2010.07.23 23:04

はじめまして。
いつも、楽しく拝見させていただいてます。
私も、フジファブリックが大好きで、
先日、フジフジ富士Qに行きました。
あまりに感動的な素晴らしいライブだったので、
今でもCDを聞く度にあの日のことが鮮明に思い出され、
涙が出てきてしまいます。
今回は仕事の都合で、次の日の早朝に帰らなければならず、
富士吉田の志村さんゆかりの地をゆっくりと散策できずに、
残念な思いをしました。
また次の機会に、ゆっくり訪れたいと思います。
実は私も、庵主さんと同じ教員という仕事をしているので、
授業に志村さんの歌詞を取り入れているというのを見て、
どのようにしているのかとても気になりました。

投稿: cecil | 2010.07.24 21:24

皆様、コメントありがとうございます!
お礼が遅れましてすみません。
皆さんとあの感動を共有できたことを本当にうれしく思いますし、なんと言っても志村くんはじめフジファブリックの皆さんに感謝です。
人生にフジファブリックがあって本当に良かった。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.07.29 11:33

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