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2010.07.09

『音楽と人』 2010年 08月号

20100710_90939 本のロックは文学である。西洋音楽の輸入ではなく、日本古来の和歌の系譜そのものです。
 世界にも珍しい独特な文化です。こうした、文芸誌さながらの文字占拠率の雑誌が、かなりの数、若者たちによって購入されます。ミュージシャンも語りたいし、リスナーも読みたい。本来音楽で完結すべきと考えるのが普通でしょうが、そこに様々な「物語」が介することによって、さらなる新しい「読み」というか「聴き」でしょうか、そういう可能性が広がる。全く日本独特な文化現象です。
 久しぶりに、「音楽と人」を買いました。とりあえず、レミオロメンとフジファブリックのところを読みました。ううむ、あとは正直8割は知らない人たち。
 この雑誌を全部読む人とかいるのでしょうかね。本当に面白い文化です。今、こういう「語るロック」雑誌が何種類発行されているのでしょうか。
 レミオロメンについては、実は明日、ここに写っているある人に会うことになっているので、それも含めて少し予習を…。
 フジファブリックについては、言わずもがなでしょうか。
 感想は…あまりに身近な光景なので、なんとも不思議な感じ。
 3人の立っている街並み、私が毎日のように見て、歩いている場所です。
 昨日の話ではありませんが、現実と非現実が交錯する「なまよみ」のような感じがしますね。
 撮影のあった当日、教え子でありフジファブリックの大ファンでもある、月江寺の駅員(残念ながら大月駅に転勤になっちゃいました)から電話があったんですが、その日はたまたま授業が7時間目まである日でして、どうしても抜けられませんでした。本来ならこの街を案内して、いい撮影場所を教えてあげようかと思っていたのですが…。いやいや、私の案内なくしても、なかなかいい所を選んでくれましたね。素晴らしいです。
 金澤くんと加藤さんが立っている場所は、私がずいぶん前、ビデオ映画「今日から俺は!!」に無理矢理出演してしまった場所です(笑)。まあ、なんとも言えない風情のある街並みですからね。
 あの時もそうでしたが、見慣れた風景が映像作品になりますと、なんとも不思議な感じがしますね。先ほど書いた「なまよみ」感です。作品というのは、作品となった時点で全てがフィクションです。私の言う「コト」になるわけですね。人間の脳内の処理を通過した結果です。
 そこに共時的な「リアル」である「モノ」が混入していると、「生黄泉」になるわけです。
 考えてみると富士山は太古の昔から常に「物語」として日本中、あるいは外国の人々の脳内にイメージ化されていたわけですよね。それは、実際に見たことのない人にとっては「フィクション」です。それを現前にした時、突然リアルが混入してきて、それで「なまよみ」感が生まれるんじゃないでしょうかね。もしかするとそういう意味での枕詞なのかもしれません。
 たいがいフィクションというのは大げさで、実物を見るとがっかりしたり拍子抜けしたりすることが多い。たとえば、芸能人なんか、常にテレビの画面を通してフィクションとしてのイメージが刷り込まれていますよね。それで、実際生で見ると、あれ?っていうことが多い。面白いもので、だいたい小さく見えるんですよね。逆にフィクションでは勝手に大きなイメージになる。
 富士山もたいがい大げさに語られているんですが、でも、この実体の存在感は、やはりイメージを遥かに凌駕してしまいます。富士山ならではの大逆転です。それが「なまよみ」感の源泉かもしれませんね。
 志村くんの書く詩や、音楽にも、そうした「なまよみ」感があります。それは、私がこの街で生活しているから、ということもあるでしょうけれども、それ以上に、なんというか、私たちの無意識下の原体験というか、そういう「何か」があるんですよね。だから、別にこの街にゆかりのない人たちでも、心の深いところで不思議な共感が生じる。だからこそ彼の作品には普遍性があるのだと思います。
 そうしたより深い抽象的な共感は、時代や地域を超えて理解されます。そうした作品を残す人のことを天才と言うのでしょうから、やはり、志村正彦は天才であったと…。
 彼は富士山みたいな人間だったのかもしれません。富士山は不思議な独立峰です。いろいろな意味で、世界でも類を見ない若い火山です。
 今、富士山はまるで眠っているように静かです。本来なら最も活動的であってもおかしくないのに。きっと志村くんも、しばしの眠りについているのかもしれません。天才が残した普遍的なエネルギーは絶対に不滅です。それらはもう、地の奥底で、そして天上で、私たちの与り知らぬところで、動き始めています。
 その一端が、おそらく7月17日でありましょうし、その後発売されるニューアルバムでありましょうし、そしてその後の数々の、ある意味意外な展開であると思います。
 普遍的なものは、時間と空間を軽く飛び越えます。未来にわたって、そして世界中で、彼の音楽が聴かれるようになることでしょう。これは私の予言、というより確言です。

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コメント

はじめまして。
ちょくちょくブログ見させていただいてます。
今日は志村くんの30回目のBIRTHDAYですね!
志村くんの誕生日,7/10の富士山はどんな感じですか?

また遊びに来ますね♪

投稿: なじゅ | 2010.07.10 10:42

なじゅさん、こんにちは。
志村くんの誕生日の富士山、こんな感じです。
昨日までの雨がウソみたいに晴れ渡りました!
http://dl.dropbox.com/u/1196701/GEDC0521.JPG

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.07.10 14:25

今日は一日中、甲府からもきれいな富士山が見えていました。
穏やかで清清しい、いい一日でした。
昨日は一日中雨模様だったのに、雲に霞む山々の中、富士山だけは見えていましたね。
見ようとすると見えなくて、ふとしたときに見ると息をのむほど美しくて、そんなところも志村君と似ている気がします。

投稿: バンコクのジャックラッセル | 2010.07.10 18:53

はじめまして。
愛読させていただいてます。
フジファブリックを検索していて、たどり着きました。
志村君が亡くなる少し前にフジファブリックを
知った私にとって、いろんな情報がありすぎて
うれしすぎです。
そして何度泣かされた事か…。
今回も最後の3行で号泣してしまいました。
私も確信しています!

投稿: かえで | 2010.07.10 21:47

バンコクのジャックラッセルさん、コメントありがとうございます。
今日は志村くん、大切な仲間たちに囲まれて楽しかったと思いますよ。
来週もこんな富士山を拝みたいものですね。

かえでさん、こんにちは!
そんな、私も単なる一ファンにすぎませんよ。
せいぜい彼を育んだ空気をお伝えできればと思っているだけです。
しかし、その地元はなんとも冷めていまして…。
そんなわけで、バンコクのジャックラッセルさんにも協力願いまして、(いきなり)世界戦略を企んでいるところです!

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.07.11 14:57

素晴らしい富士山の画像ありがとうございます!

志村くんもきっとこの上で皆のことを見守ってくれてることでしょう★

新しいアルバムも楽しみですね♪

投稿: なじゅ | 2010.07.12 22:41

なじゅさん、こんにちは。
17日、そしてアルバム…まだまだフジファブリックは頑張ってくれるでしょう!
また、志村くんもきっと私たちをいろいろと驚かせてくれるものと思います。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.07.13 16:21

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