フジファブリック 『バウムクーヘン』
ロックの日。実際ロッカーとしても活躍されていた歌人笹公人さんにお誘いを受け、始めた短歌。笹さん率いる我らが短歌バンド(?)の、今日の定例歌会のお題は「ロック」でした。
改めて短歌を始めて、まだ2ヶ月ほどですが、言葉を紡ぐ難しさとの格闘が、そして、そうした苦悩と喜びから生まれる日常の再整理が、なんだかとっても楽しくなってきました。
と同時に、やっぱり思い出されるのは、まさに現代のロック詩人、歌人であった志村正彦くんのことです。こうして、言葉と、日常の風景と闘っていると、彼の苦悩と恍惚の一端に触れるような気がするのです。
特に今回はお題がまんま「ロック」でしたから、まずは「ロック」とは何かという、今まであまりに身近すぎて考えてこなかった大きなテーマと対峙しなければならなかった。それを「言葉」で表現しなければならないわけですから、ある意味楽しかったけれども、やっぱり正直辛かったかも。
習作というか出来損ないが大量に生まれては捨てられの連続。この営みこそが「ロック」だ!と叫びたくなるような日々が続きました(とは言っても三日くらいですが…)。これを仕事にしたら大変だろうなあ…。
結果として行き着いた、私の結論。「ロックとは寂しさである」。
ロッカーとは、その寂しさから逃げない人。彼らは人を楽しませたり、救ったりしようなどとは考えていません。
たとえば野に咲く花だって、私たち人間を楽しませよう、癒そうなどとは思っていませんよね。ただ、「僕を見て!」と叫んで一生懸命に咲いているだけです。ロッカーも花も、たくさんの愛がほしいだけなのです。
そんなことを思っていたら、やっぱりこの曲が思い出されました。この優しいメロディーと歌声は、もしかすると一瞬ロックを思わせないかもしれません。しかし、そこで叫ばれている言葉は、まさにロックだと思います。ある意味、ロック史上、すなわち人類の歴史史上、こんなにもストレートにロックの本質を歌った歌はなかったかもしれません。それはきっと命がけの創造作業だったのでしょう。
そんな彼からのメッセージを、私自身も素直に表現してみました。私の歌は、現実の厳しさや悲しみを直視しつつ、未来への希望も感じさせるものにしたつもりですが、それが皆さんに伝わったかどうか。私の才能では、なんとも心もとないかぎりです。というか、点が入らなかったりして(苦笑…この歌会はネット投票もあるので、まだ結果はわかりません)。
季節が巡り、彼が遺したたくさんの音楽の種が、しっかり芽を出し、大きく葉を広げ、そしてもうすぐ花開き実を結ぶと思います。彼は才能を天に返しましたが、その天からの贈り物は確実に私たちの手に届くことでしょう。そういう意味でも、やっぱり彼は永遠に生き続けるのだと思います。本当にありがとう。
PS 歌会の結果が出ましたので、僭越ながら私の歌を掲載させていただきます。
僕を見て!叫びて逝きしロッカーの墓前にスミレ音もなく咲く
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コメント
庵主様、もう一人の自分のつもりで書いています。
今日は相談にのっていただき、ありがとうございました。
これから、革命を起こしたいと思います(笑)
相談するまでずっとこの曲が頭の中で鳴りっぱなしでした。
そんな位、この曲のストレートさに僕は共感したんだと思います。
やっぱり志村さんは凄いなぁ~
ヤバイ、どんどんフジファブリック化していく〜(笑)
僕の中でradが嫉妬してますwwwwww
投稿: R.W. | 2010.12.10 21:21
中二病の…いや、R.W. くん、こんにちは。
革命を起こす覚悟なら、全面的に応援するよ!
志村くんを超える吉田の男になれ!
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.12.17 18:15