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2010.06.06

美空ひばり 旅立ちから20年『甦る!幻のスーパーライブ 第一夜』(BS朝日)』

20100607_81732 京でバッハを練習。ブランデンブルク協奏曲の2番を、初めてナチュラル・トランペットと一緒に演奏しました。なんという超絶技巧。そして、美しく艶のある音色。
 こんな日が来るとは、夢にも思いませんでしたね。これで私、ブランデンブルクは全曲ピリオド楽器オリジナル編成で演奏したことになります。プロでもなかなか経験できないことですよね。全く幸せ者であります。
 いや正確に言うと、ピリオド楽器じゃないな、自分だけ(笑)。今日は私はヴィオラを弾きましたが、この楽器、鈴木の安物です。ちなみに1番のヴィオリーノ・ピッコロを弾いたこともあるのですが、あれも鈴木の4分の3でしたっけ。まわりがちゃんとナチュラル・ホルンとかバロック・オーボエとかだったのに。
 ま、楽器ではなく、あくまでもスピリットですから。時代考証よりも大切なものがあります!…ということにしておこう。だいたい自分、日本人だし。それに坊主だし(笑)。全然ピリオドでもオリジナルでもない。
 スピリットと言えば、帰宅後観たこの番組には、思わず涙しましたねえ。スピリット、いや、それ以上に「愛」が満ちあふれていました。
 美空ひばりさんの貴重な映像。そう、NHKの特集ではお目にかかれないレア映像です。ちょうど、NHKとの関係がギクシャクしていた時のものですから。具体的には1973年74年ということになるのでしょうか。それまで10年連続大トリを務めてきた紅白歌合戦を辞退し、その代わりに裏番組のNET(現テレビ朝日)の「美空ひばりショー」に出演しました。その秘蔵映像です。
 紅白を辞退した理由は、ご存知のとおり、弟さんであるかとう哲也さんが「暴力団」の関係者であったことです。ある意味NHKも仁侠界のおかげで番組を作れていたはずなのに、あの時代の政策や世論に押されて、国家的な歌手を国営放送…いやいや公共放送が締め出すという不幸なことになってしまいました。
 しかし、考えようによっては、この一件でひばりさんはより成長し、深みを増したとも言えましょう。実際はこの後、ヒット曲にも恵まれず、また誹謗中傷も絶えず心労も重なっていったわけですが、「歌」の深さはより増していきました。
 そこには、そんな可哀想なひばりを支えた、二人の大きな「愛」があったからです。その愛は苦難を通じてより強くなりましたから。まずなんと言っても実母である喜美枝さんですね。息子のことも含めて大変心を痛めていたことでしょう。母親の愛は本能的なものですから、そういう子どもたちのピンチに際しては、よりその強さ深さを増したことでしょう。
 そして、「父親」たる山口組三代目組長田岡一雄の「愛」もまた、この事件ののち更に大きくなっていきました。実の父親以上の「愛」を注いできた田岡さんですが、ある意味自分のために、国を敵に回してしまい、いわれのないバッシングを受けることになった「お嬢」に対して、この時いったいどれだけの「慈愛」を注いだことでしょう。
 この時期の映像というか、歌には、そんな強い他者の思いと、それに応えようと頑張るひばりさん自身の思いが、はっきりと表れていて、今観たり聴いたりしますと、まさに「うまい」とか「へた」とか、「技術」がどうこうとか、ましてや「時代考証」とか「様式」とか、そんなことは本当にどうでもいいと思ってしまいますね。「歌」は「心」です。
 この前、「お父さんの石けん箱」にも書いたように、ある意味特殊な世界であり、一般人の私たちには与り知れぬ世界であったからこそではありますが、「愛」や「仁」が人を育て、「芸術」を育てていくんだということを再確認せずにはいられません。
 この歌こそが、「愛」にも「芸術」にも枯渇したこの現代に手渡された価値ある遺産なのです。全ての日本人に聴いていただきたい。
 来週の日曜日(13日)には、第二夜として1976年の大晦日の「美空ひばり芸能生活30周年記念ライブ」が放映されます。これも絶対に見逃せない番組です。ぜひぜひ、今まで興味のなかった方々もお聴きくださいませ。

YouTube 1973年「悲しい酒」…古賀政男さんの言葉に、すでに涙…。

BS朝日公式

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コメント

前略 薀恥庵御亭主  様

心理カウンセラーの・・・
「田岡由伎様」と画家の
「小川安夫様」そして
御尊父様の「田岡一雄様」。

とても有難い御縁ですね。

人の御縁は本当に不思議。

「総理大臣」でも・・・
「会社社長」でも・・・
「ホームレス」でも
肩書きはどうでもいい。

結局薬局放送局・・・
愚僧はそのひとの
人柄に魅(ひ)かれます。

合唱おじさん     拝

投稿: 合唱おじさん | 2010.06.07 16:42

合唱おじさん様、まったくその通りですね。
この今の日本にも、人柄で引っ張っていくような人が現れてほしいものです。
人柄だけが本当のご縁を作るのだと、最近実感しております。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.06.08 18:44

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