『理系の人々 2』 よしたに (中経出版)
ああもうあれから1年半以上経ってるんですね。日本人4人がノーベル賞受賞。
久々に3月までの職場、すなわち高校の特別進学棟に行きました。私の本なんかがそのまま放置してあるので引き上げに行ったのです。これを中学の図書室に…と思ったけれど、だいたいがこのブログで紹介したような本なので、さすがにマニアックすぎます。中学生向けのどちらかというと可愛らしい蔵書が並ぶ中、「山口文庫」は異彩を放ちすぎてますな(さすがにこれは職員室に引き上げてきました…ってか、職員室にあってもいいのか?w)。いかんいかん、なるべく書棚の上の方に並べよっと。
と、高校生を使ってそんな作業をしていたら、数学の先生が「これ読みましたか?」って差し出してくれました。そう、「理系の人々(無印)」で、「99%当てはまっている!」と言っていた先生です。
その先生曰く、「2はSEネタに限定されすぎていて、無印ほどの共感がなかった」と。で、さっそくちゃっちゃと読んでみましたが、たしかにその通りだという印象を持ちました。それでも、私自身の共感度は無印と同様15%くらいでしたから、なるほど、私の潜在的な仕事はSEなのかもしれない…などとも思ってしまったのでありました。なんとなくあり得る話です。
エコを糾弾したり、占い師をやりこめたり、あるいはGPSナビの性能を実感するために旅したりするあたりなんか、まんま私ではないかと思ったりして(笑)。やはり自分って、基本理系的な思考をする文系オタクなんだな。なんだか一番世の中で使えない人間であるような…。
ま、全体として思ったことは、結局第1巻(無印)について書いたこちらの記事の通りです。あそこにほとんど全部言いたいことは書いてありますね。
ただ一つ加えるとすれば、そういう理系オタク(男性)特有の「思い入れ」が奇跡を生む可能性があるということです。いや、歴史上のほとんどの奇跡的な発見や開発、発明、プロジェクトの成功というものは、そういう「思い入れ」に立脚しているのではないでしょうか。
プロジェクトXで語られた「物語」も、ある種神がかった「思い入れ」「こだわり」のお話でしたし、このたびの「はやぶさ」の奇跡なんかもまさにそれです。文系じゃあ、さっさと諦めて「悲劇」に浸っているでしょう。そして、女性も違った意味であきらめ(それはおそらく「上書き」だと思いますが)が早いし、オタクじゃない人は、ああいう逆転の発想はできなかったでしょう。
だからやっぱり「理系の人々」あるいは「理系クン」が世の中の変革役を担っているのです。こういう閉塞感のある世の中だからこそ、理系の「思い入れ」が重要になってくるんじゃないでしょうかね。その点、政治家は「文系クン」ばっかりで…いやいや、菅首相は東工大の出でしたね。応用物理でしたっけ。それにしちゃあ、なんだかなあ…。
とにかくそういう理系パワーをですね、こうして茶化して終わらせるんじゃなくて、もっと有効利用したいものです。高校生なんか見てても、やっぱり理系の方がパワフルな感じがします。
理系の研究費を削るなんていうアホくさい事業仕分けなんかやってるようじゃあ、この日本の未来も暗いですよ。ただし、理系のパワーの使いどころをコントロールするのは、文系の仕事なんです。理系は「思い入れ」のあまり、「思いやり」を失い、暴走するきらいがありますので。
やっぱり世の中バランスですね。そして適材適所。互いを認めて活かし合わなきゃ。まずは自分の中でそれを実現してみるか。そんなことを考えながら15分ほどでこのコミックを読み終えました。
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