石川さゆり 『だいこんの花』〜『夕焼けだんだん』
午前中、NHKBS2で「昭和歌謡黄金時代 作詞家・吉岡治」が再放送されていました。
昨年の本放送を見逃していたので、最後「そろそろラストラン。これからの作品は遺書。恥ずかしくないものを作る」とおっしゃる吉岡先生の、ある種気迫のこもった表情に、思わず涙してしまいました。予感されていたのでしょうか。
吉岡先生の実質的な遺作が、この「だいこんの花」です。石川さゆりさんも、さぞショックだったことでしょう。現在の「歌手石川さゆり」を作ったのが吉岡先生であるというのは、疑いようもない事実です。
その「だいこんの花」をYouTubeで探して、聴いて、観てみまして、驚きました。
私、吉岡先生の亡くなる前日、何も意識せずに、「ゆかりの地」を巡っていたのです。
まず、このカラオケの撮影場所です。なんと杉並の大宮八幡じゃないですか。15日にはそこで薪能を鑑賞し、16日にも何気なく立ち寄っていました。
そして、その両日を結ぶ時間帯には、谷中にいました。今日初めて知ったのですが、「だいこんの花」のカップリングは「続 夕焼けだんだん」、谷中の有名な階段と商店街を舞台とした物語です。歌詞の最後に「夕焼けだんだん 猫たちも 富士の尻っぽを見ています」とありますね。
あの日、私は記事に書きましたように、谷中の猫にお別れを告げて、新宿を経由し大宮八幡へ、そして思い立って富士山をぐるっと回って帰ってきました。今考えるとなんとも不思議な旅でした。何も計画していなかったので、本当に思いつきに従っただけだったのですが。
それから、さらに驚いたことがあります。今日、番組の中でも吉岡先生の親友として「フォークの神様」岡林信康さんがコメントしていましたね。実は、「続」の前に、アルバム収録曲として「夕焼けだんだん」という曲があったのです。そのレコーディング風景も紹介されていました。
なんと、私、あの日、車の中で移動中に岡林信康さんを聴いていたんですよ。彼、今年の春に「美空ひばり」のカバーを出したじゃないですか。それがけっこう良くて、何気なくiPhoneに入れてあったのです。
「夕焼けだんだん」の作曲は、まさにその岡林信康さんでした。その時はそんなこと全然知りもしなかったのですがね。というか「夕焼けだんだん」という谷中を舞台にした曲があることも、実は今日の番組で知りました。
なんで岡林さんをあの日聴いたのか、よくわかりません。私は、いわゆるフォークにもエンヤトットにも全然興味がなくて、「神様」の曲もほとんど聴いたことがありませんでした。
ところが、少し前に、彼が出口王仁三郎と深い関係があり、今も王仁三郎ゆかりの地、亀岡に住んでいることを知って、改めて興味を持ったのです。そうそう、先日も、出口汪さんが「岡林信康はよくオヤジのところに来ていた」と言っていました。
たまたまこういうタイミングでそのことを知り、普段聴かない音楽をなぜかチョイスして聴いていた…考えてみると、あの日の私は、自分の意志で行動していたというより、何かに動かされていたようにも感じます。いろいろな判断が、自分のものとは思えないもので。
不思議ですね。最後にその「夕焼けだんだん」の歌詞を紹介します。曲も実に軽快で洒落ています。ぜひどこかでお聴き下さい。もう一度、吉岡治先生のご冥福をお祈りいたします。
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