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2010.05.17

追悼 吉岡治先生

Msc1005172021005n1 た昭和歌謡の巨星が…。昨年の5月、三木たかし先生の追悼記事を書いてから、ちょうど1年。まるで、三木先生を追うように作詞家の吉岡治先生がこの世を去りました。
 今日も吉岡先生の残した偉大な遺産の一部をあらためて聴きながら、ご冥福をお祈りしたいと思います。
 先ほど三木先生を追うようにと書きましたけれど、意外や意外、三木先生と吉岡先生が組んだ曲というのは、ほとんどありません。比較的知られているのはこの八代亜紀さんの「竜二」くらいでしょうか。「好きだもん」「棄てないで」の連呼が、吉岡先生らしいところです。

 ちょっと意外な言葉の使い方をされる方でしたね。イメージ的にも少ししつこく畳みかけてくることが多かった。吉岡先生の代表作中の代表作、石川さゆりさんの「天城越え」でも、たとえば「あなたと越えたい 天城越え」というように、普通の作詞家なら避けるような「越え」の連続などを、あえて使ってくるところがありました。

 そういうところは、この「天城越え」を含めて多くの作品でタッグを組んだ弦哲也さんら、作曲家の皆さんが苦労させられた点ではないかと思います。「天城越え」と並ぶ名作、大川栄策さんの「さざんかの宿」は市川昭介先生の作曲です。「あ」や「さ」の連続が、やはり吉岡先生らしいと思います。しっかし、大川栄策うまいなあ…。

 「天城越え」で石川さゆりさんに「殺す」という言葉を歌わせた吉岡さんは、さらにもう一度「飢餓海峡」で同じ言葉を繰り返します。「殺す」という言葉に女の情念を乗せたのは、今となってはお見事としか言いようがありませんが、歌謡曲の歴史、あるいは純情少女だった石川さゆりさんの歴史においては、とんでもないことだったと思います。私はこの「飢餓海峡」の歌詞が一番すごいと思います。

 吉岡先生も、若い頃は、このような「情念系」とは対照的にさわやかなポップスの詞を書いています。千賀ちほるさんの「真夜中のギター」も吉岡さんの代表作の一つです。と、あらためて詞を読んでみますと、けっこう「演歌」してますね。

 最後に意外な曲を一つ。山下達郎さんの隠れた名曲「Let's dance baby」です。かっこいいですね。近いうちにウチのバンドでも吉岡治先生追悼ライヴをやろうと思っていますが、この曲はぜひやりたいですね。

 ご冥福をお祈り申し上げます。

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