『ヤフー・トピックスの作り方』 奥村倫弘 (光文社新書)
最近、歌人の笹公人さんに誘われて短歌を始めました。今夜も歌会があり、私の作品も俎上に上がっているはずです。
全く人生とは何が起きるか分かりません。憧れの方からこうして直接誘われることが最近多いんですよねえ(…てか、そういうこと多すぎでしょ!)。
短歌を始めて、つくづく日本の短詩文化というのはすごいなあとあらためて感じるのであります。短いからこそ、制限があるからこそ、人間の智恵が発揮されるということですね。何ごともそうですけど、制限なしの自由というのは、実に不自由なものです。全然自分に由来しない。
このブログの記事なんかも実に冗長であり、よく「長すぎる!」というお叱りを受けます。たしかに自分が逆の立場に立てば、こんなダラダラしていて、かつあんまり中身のない文章は読みたくありません。
それでも毎日けっこうアクセスがあるのは、これはGoogle様のおかげです。彼は人間ではありませんから、こうしたダチョウ文(駄長文)を読むのを面倒くさがりません。それどころか、テキスト量にだまされて、「ここには価値ある情報がある」と勘違いしてくれます。結果として、検索の上の方にこのダチョウ文を載せてくれます。ありがとう。そしてごめんなさい。
ですから、このアクセス数というのは、単にクリック数ということであって、もちろん「完読数」ではありません。完読数はおそらく50分の1にも満たないでしょう。
ま、私自身、このダチョウ文を多くの人に読んでもらおうと意気込んでいるわけでもないし、ましてや世直しのためにアジっているわけでもないし、またほとんどお金にもならないわけですから、そういう欲気があるわけでもありません。
どちらかというと、それこそ笹さんと私がつながったような「縁」を作る非常に有用なメディアとして考えているのです。だから、これからもダチョウの大量飼育をしていきます。頑張れダチョウ、世界にはばたけ!…ダチョウは飛ばないか(笑)。
同じネットの「言葉」でも、そんな私のダチョウと正反対の価値と機能と外見を持つのが、「ヤフトピ」ことヤフー・トピックスです。13文字の魔術とも言われる、驚異的な集客力を持つ「短文」です。
現場の作者が、その13文字を作る「智恵」について語っているのがこの本です。なかなか興味深い内容でした。日本語の特徴がよく解ります。もちろん、短歌や俳句の創作にも役立ちます。
あっそうだ。これは教材として使えそうですぞ。つまり生徒にその「13文字」を作らせるのです。面白そうだな。さっそくやってみよう。
ところで、私も1日に何回ヤフトピを見ますでしょうか。そしてクリックするでしょうか。すごい数だと思いますよ。ある意味ヤフトピのおかげで新聞購読をやめたとも言えます。いわゆる「ニュース」はほとんどここで済ませているわけです。
本書の中でも解説されていますが、そのいわゆる「ニュース」には、国際、国内の政治経済はもちろん、スポーツも芸能も、そして巷の小ネタも含まれているわけでして、そこがこの「言霊」の価値の一つとなっています。「硬軟聖俗」がブレンドされた、ある意味日本古来の神道的な魅力です。
そして、そこに付加されている「公平性」「品格」といった「善意」の力も大きいですよね。俗に走りすぎないとでも言うのでしょうか。「!」を使わないなんていうのは、ちょっとしたことですが、一つの品格の保ち方だと思いますよ。
そうだ、生徒に13文字を作らせるにあたり、こういうヤフトピ風なものだけでなく、週刊誌的あるいはテレビ欄的なものなど、いろいろ作らせると面白いかもしれませんね。さっそくやってみよう。
こんなふうに、仕事柄けっこうためになる本だったわけですが、私にとっての最大の謎というか、興味に関する記述がなかったのは、ちょっと残念でした。
それはですね、皆さんもお気づきかと思うのですが…ヤフトピのリンクって、ある特定の新聞社のものが排除されていますよね。それについての「公平性」はどうなっているのかということです。これは「善意」の結果なのか、それとも何らかの「悪意」が働いているのか。
ま、排除されている新聞が、私の大嫌いな(しかし、プライベートでは大変お世話になっている)新聞なので、どちらかというと私にとっては好都合なのですが。
大人の世界は難しいのですね。さすがにそのあたりの事情については中学1年生には語らない方がいいですよね。やめときます。
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コメント
庵主様、おはようございます。
いよいよレミオロメンのツアー始まりますね。どんな演奏を聞かせてくれるのか、各パートの動きややライブ用のアレンジ、楽器の音色、本当に楽しみです。
さて、私は短歌ではなくて、ちょっとつぶやいているんですけど、あれは一つぶやきが140字っていう制限があるから、結構自分の文章を推敲するいい機会になっています。私はどちらかというと文章が長くなりがちで、多くのことを伝えたがるたちなので、いい練習になるなあと思っています。以下に簡潔でしかも味のある文章で相手に伝えるか。
最初は忘れっぽくなった自分のために、メモ代わりにつぶやき始めたのが、なぜか友達ができ、気持ちを伝えたくなるんですよね。私はまじめな性分なので、真剣に楽しんでいます。「制限がある」というのはマイナスじゃなくてプラスに作用することも多くあるって言うことですよね。
江戸時代なんかの公衆浴場みたいなところで、いっぱいの人がそれぞれおしゃべりに花を咲かせていて、おもしろいなっと思ったら気軽に首を突っ込めるような、ある程度秩序もあるし、私は今のところ楽しいなあと思っています。
また、長々と失礼しました。
藤巻さんのギターについての河口さんの話、もし本当に聞けたらぜひ教えてくださいね。
投稿: 田中 | 2010.05.13 09:32
田中さん、こんばんは。
今ごろライヴが始まっていますね!
私は明日行くことになりました。
楽しみです!
私も仕事でつぶやいていますが、あれも面白いですね。
こういう無制限なブログとは違った言葉づかいになります。
つくづくうまいサービスを考えたものだと思いますね。
河口さんにも早くお話聞きたいと思っています…なんて、半分妄想ですが。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.05.13 18:51
庵主様、おはようございます。
今日、楽しんできてくださいね。
また、どのように感じられたか報告してください。
『花鳥風月』を聴く気持ちになられたこと、コンサートに参加される気持ちになられたこと、よかったなあって思います。
本当に私たちは生かされているなあって5年ほど前からでしょうか、強く思うようになりました。
投稿: 田中 | 2010.05.14 08:23
田中さん、どうもです。
さっそく河口さんガン見で楽しんできました。
記事をアップしましたので、どうぞご覧下さい。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.05.15 10:47