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2010.04.22

パクリ以前の問題

上海万博PRソング 「2010 等你来」

 然性か?必然性か?
 世の中を騒がせている上海万博PRソング盗作問題。
 結果として、上海万博への注目が集まり、そして、岡本真夜の「そのままの君でいて」がリバイバル・ヒットするということになりました。岡本さんは「使用許可」を出すし、もともと両者に密約があったのではないかと疑いたくなります(笑)。
 両者を比較して聴きますと、たしかによく似ているわけで、これはもう盗作と言われてもしかたないのですが、実は問題はそれ以前にあるような気がするのは私だけでしょうか。
 その「以前」の話をする前に、次の編集動画(絵はないけど)を聴いてみてください。この編集をした人、とってもGJです。両者は調も違うし、中国の方は「よくある」転調もしているし、当然テンポも違います。挿入句も違ったりします。それを最新のデジタル技術で全部上手に重ねちゃったのが、この音源です。けっこう面倒くさかったのでは。
 まあ、それを聴いてみてください。

 もうこれは、何をか言わんやであります。ここまで潔いと逆に拍手したくなります。中国はもともとパクリ…いや、模倣の得意な国でありますから、このくらいは朝飯前でありましょう。しかし、それを国家的行事でやってしまうところがすごい。そして、結果としてこうして注目を集めてしまうのですから。
 岡本さんも岡本さんです。「どうぞ使って下さい。光栄です」なんて言っちゃだめですよ。国家的パクリを許しちゃいけません!…ではなくて…。
 ここからが、その「それ以前」の問題です。
 実は私、この岡本真夜さんの曲、心から大嫌いだったのです。今聴くとまあ許せるのですが、当時はとにかくこの曲が街でかかったりすると、もう全身鳥肌ものだったのですよ。
 そう、80年代後半から90年代にかけて、あまりに量産されすぎた、そして量産されすぎてさらにチープになってしまった、「王道進行」とも言いたくないほど使い古されたコード進行の連続なんですよねえ。
 あまりに露骨で、おそらくアメリカの方が聴いたら、とってもネオテニーな音楽に感じられることでしょう。
 いや、別にこういう音楽の存在を否定しているわけではありません。ヴィヴァルディやバッハやテレマンなんかにも、こういうレベルの量産がありますからね。
 しかし、あの当時のJ-POPはひどすぎました。バブルで頭がスカスカになっちゃったんでしょうかね。猫も杓子もという感じ。ベスト10の曲のほとんどは、三つくらいの類型に収まっていました。
 そう、その前の、いわゆる「歌謡曲」の時代が、あまりに多様で豊かであったから、特にそう感じられてしまったのですね。プロ中のプロによる作詞、作曲が当たり前でしたから。
 そういう意味で、岡本真夜さんは究極のシロウトでありました。よくぞ恥ずかしげもなく、と当時は思ったものです。
 しかし!今、こうして両者を聴いてみますと、明らかにそういう意味においては中国に負けています!まだ甘かったか、真夜!
 やっぱり、あのコテコテ転調と、あとサビのメロディーでしょうかね。ああいう下降音階バスには、メロディーも平行3度下降で応じてほしかった。その点、上海は見事に「王道」しています(Jackson 5の I'll Be Thereみたいに…あれはちゃんとバスに工夫がありますが)。
 というわけで、パクリ以前に、コテコテの恥知らずにおいて、日本は中国に負けました。残念。

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コメント

前略  薀恥庵御亭主  様

私も完全同意です。

歌謡曲・・・
演歌・・・
フォーク・・・

70年代で完成していたような
気がいたしております。

要は・・・
「口ずさむ歌」が消えただけ。

あっ・・・
「クレージーケンバンド」
だけは・・・別格です。笑

合唱おじさん     合唱  

投稿: 合唱おじさん | 2010.04.23 07:47

心から大嫌い

とここで言ってしまう、庵主さんに拍手!!
私もダメですねぇ。

なんでそういうが流行ってしまうのかわかりません。
もっといい曲がたくさんあるのに。

投稿: タラ | 2010.04.24 11:18

合唱おじさん様、こんにちは。
クレージーケンバンドはもちろん別格ですよ。
彼らは時代を超えてますね。

タラさん、賛同ありがとうございます(笑)。
あの頃はどうかしてましたよ、日本人。
ま、今でも?という曲がヒットしてますけどね。
で、どうせやるなら、もっとコテコテにやってもらいたいっすね。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.04.25 14:16

こんばんは!
今でも???ばかりです。
万人受けする流行嫌いのへそまがりなもので。
でもほんとに志村くんのおかげで音楽を楽しむことを思い出して、今の邦楽のすごさを思い知らされてます。
自分の中で、第2次バンド(邦楽)ブーム到来です(笑)

コンサートおつかれさまでした!そっと覗いて見たかったです。

投稿: タラ | 2010.04.26 01:29

タラさん、いつもありがとうございます。
たしかに今の曲も三つの類型に収まりますね(笑)。
ただ、そういう消費される音楽、一発勝負、その時勝負の音楽というのが、実は本質的なものだったりするから厄介です。
「聴き込む」というのは、近代の産物ですからね。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.04.27 15:01

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