北川大介 『北の終着駅』
寒い。また雪が積もりました。そして、妙な底冷え。
こんな日にぴったりの曲を紹介しましょう。「北の終着駅」。これを聴けばますます心が寒くなります(笑)。
なんで、よりによって北川大介さんのこの曲かと言いますと…。
皆さん、「いきなりカラオケ」という遊びを御存知ですか?いや、遊びではなくトレーニングかな。
いわゆる通信カラオケでですね、テキトーな数字を入れて、再生された曲を最後まで歌いきらなければいけないという、なかなかシビアなゲームです。
普通のカラオケに飽きてしまった人、それから、たとえばウチみたいに、音楽を志す(?)人には、かなり面白くためになる遊び(トレーニング)となります。
実はこれにはかなり高度な能力を必要とするんですよね。まずは、様々な音楽的な知識というか経験。すなわち、全く知らない曲に当たってしまった時、経験によって、次なるコード進行やメロディー展開を予想しなければなりません。
そして、その予想の上に、アドリブによってメロディーを作り、またそこに歌詞をうまく配置して歌っていかねばならないわけです。
たぶん皆さんも、こういう遊びをやったことがおありだと思いますが、実際やってみますと、「運」というのもかなり大きな要素になってくることが分かります。
つまり、当たった曲のジャンルによって、歌いやすさ、作りやすさが違うということです。皆さんの予想通り、たとえば演歌とかブルースとかはコード・パターンが固定化していますから、まあ歌いやすいですよね。
一方、案外難しいのが、いわゆる歌謡曲です。昭和の歌謡曲は常に実験的でしたから、繰り返し聴く曲としてはキャッチーでも、いきなりだとかなり難しい。
そういう点では、昭和的であり、プログレ的であり、変態的であるフジファブリックの曲なんか、かなり難しいでしょうね。というか、ファンとして曲を知っていても、彼らの曲はカラオケで歌うとけっこう難しかったりします。
また、案外簡単なのが、90年代のポップスや現代のhip-hop系の楽曲です。小室の曲なんかも。とにかく、コードにしてもメロディーにしてもパターン化が酷く、私からすると全部同じ曲なので、そういうのが当たるとラッキーです。
もちろん知っている曲が当たれば大ラッキーなわけですが、ちょっと知ってる曲、あるいは人はよく知ってるが自分はあんまりよく知らないという曲に当たると、心が「無」の状態にならないので、案外難しくなります。ゼロからの作曲モードにならないんですよね。
ま、とにかくある程度そういう能力のある人たちと、こういう「いきなりカラオケ」をやりますと、盛り上がること必定です。そのかわり、とんでもなく疲れます…。頭フル回転です。インプット→想像→創造→アウトプットをその瞬間瞬間でやってくわけですから。もちろん、1番で学習して、2番以降に活かすとか、そういう頭の使い方もしますよね。
で、今年の1月に、教え子とこれをやったんです。で、いろんな曲を作りまくったわけですが、この「北の終着駅」が一番ウケました。演歌なので、比較的歌いやすかったというのもありますが、なんと言っても荒木とよひささんの歌詞が良かった。もうコテコテに演歌すぎますよ。切なすぎます(笑)。
そして、この映像ですね。歌詞に合わせたこの映像の味わいが泣けます(笑えます)。「倖せうすい」「微笑みうすい」…う〜む、素晴らしい日本語であります。
なんか、それ以来、この「北の終着駅」という言葉がローカルで流行ってしまいました。切ないこと、落ち込むことがあると、この言葉が飛び交います(何やってんだか)。
というわけで、ぜひこの遊びをお友だちとやってみてください。ウチは子どもたちの音楽的な才能を鍛えるために定期的にやらせてますが(笑)。
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