« ファミエイト(FAMIEIGHT) | トップページ | 『マタイ受難曲(バッハ作・メンデルスゾーン編曲)』 シュペリング指揮 »

2010.03.19

『踏出力。』 アントニオ猪木 (創英社/三省堂書店)

人間「アントニオ猪木」から何を学ぶのか
88142190 「康で豊かな踏み出す力が世の中を良くすると思う。個々の発想と力は小さいが、それが積み重なって世界が変わっていく」。まさに先日のドラッカーや船井幸雄さんと同じ考え、生き方です。
 やはり、私たちは、変化に愚痴をこぼしているだけでなく、自らが変革者になっていかなければならないのです。そして、個人の力の小ささを理由にあきらめてはいけない。小さな力でも、たくさん集まれば世界を動かします。まさに「百匹目の猿現象」ですね。私たちは、そのためにみんなで生き、組織を作り、支え合っているのであって、決して互いに蹴落とし合うために存在しているのではありません。
 そういう意味で、アントニオ猪木さんの「闘魂」の意味は深い。「闘いを通じて自分に打ち克ち魂を磨く」…それが力道山から受け継いだ「闘魂」の意味だそうです。決して、相手を負かし、自分が勝ち組になるための闘いではありません。
 プロレスというのは非常に奥の深い文化です。ある種宗教的な意味を持つものです。そういう点に関しては、今までもたくさんこのブログで語ってきました。
 私は、そこのところを、馬場さん率いる全日本プロレスから学んできました。ちょっと前までは、いわゆる「全日派」でした。もちろん、今でも全日が大好きで、今日も「ジャンボ鶴田」の名勝負集を家族で観て、興奮し涙を流していました。
 しかし、本当にご縁というのは不思議なもので、ちょうど昨年の今頃からでしょうか、それまでどちらかというと否定的にとらえていたUWFで中心的な役割を演じ、そして現在は猪木さんの側近中の側近として、IGFの運営に尽力している宮戸優光さんと知り合い、期せずして新日本プロレスの歴史を復習することになりました。
 もちろんアントニオ猪木さんについても、今までとは違った視点で見ることになりました。そして、そこに見えてきたのは、それまでのイメージとは違う一面も持った「神」の姿でした。つまり、「怒り」の神としてだけではなく、相手を包み込むある種「仏」的でもある神の姿です。それはまさにプロレスの、そして世の中の真実を語る姿でした。
 この本の中で、猪木さんは、旧ソ連の選手の参戦を促すために、彼らに対して「プロレスの四本柱」を語ったと書いています。それは次のような内容でした。

 1 受け身…けがをしてはいけない。そして相手を技を美しく見せる。
 2 攻撃…力強い攻撃は観客に勇気を与える。
 3 感性と表現力…怒りや痛みをいかにして観客に伝えるか。
 4 信頼関係…究極の闘いを実現させる。

 これは、漠然と私が考えていたプロレス観と全く一緒でした。単なるスポーツでもなく、単なる芸術でもなく、もちろん単なる勝ち負けの世界でもない。その奥深さは実は他のいろいろな分野にもあてはまります。
 たとえば私の仕事や趣味で考えてみましょう。教師という仕事、これはまさにこの四本柱が揃ってなんぼの世界です。生徒の考えや意見はドンと受けましょう。しかし、大人として正しいこと、信念を持って語れることは、力強く教えましょう。そして、感情のみならず知識を伝えるにしてもプレゼンテーション力は非常に重要です。さらに、最後は生徒や親御さん、そして同僚との信頼関係。
 音楽にあてはめても、全く同じことが言えます。演奏をなさる方で、アンサンブル経験の豊富な方なら、この四本柱をよく理解できるでしょう。まさにこの通りです。
 そして、この四本柱を常に高い次元で実現するのに必要なのが「闘魂」であり「踏み出す力」だと思うのです。考えてみれば、この四本柱、一人で出来ることは一つもありませんね。全て人間関係に集約できます。ですから、常に魂を磨いていなければならないのです。
 もう一つ印象に残った「四本柱」があります。猪木さんがカストロ議長と会った時に思い出したというリーダーの「四本柱」です。

 1 ボス猿であること…強いリーダーシップ。仲間を守る。
 2 予言者であること…先見性。
 3 演技者であること…時に人を欺かねばならない。
 4 道化になれること…馬鹿になれ!

 なるほど、猪木さんもこの条件を満たしていますね。多少のハッタリがなければ人は動かせませんね。出口王仁三郎なんかもまさにこの四本柱のカリスマでした。
 この本では、猪木さんの生い立ちと闘いが比較的淡々と語られているんですが、結局読後は「とんでもない人生」を見せられた気分になります。冷静にこういうぶっ飛んだ、世界を股にかけた人生を語られると、なんだか自分がとっても小さく感じられますね。どんなに失敗をしてもどんなに借金をしても(笑)、ぜったいにくじけないし夢を失わない。これは究極の「ポジティブ」「前向き」ですね。その「踏出力」で実際なんとかなってしまうのだから、おそるべきエネルギーの持ち主です。
 先日、猪木さんのお誕生日パーティーに出席させていただきましたが、そんな神様を取り巻く多くの人々もまた強力なオーラを発していて気圧されてしまいました。私なんかまだまだダメダメですね。もっともっと元気に生きなきゃと思いました。「なんとかなる」ではなくて「なんとかする!」という「闘魂」を身につけたいですね。

Amazon 踏出力。

楽天ブックス 踏出力。

不二草紙に戻る

|

« ファミエイト(FAMIEIGHT) | トップページ | 『マタイ受難曲(バッハ作・メンデルスゾーン編曲)』 シュペリング指揮 »

スポーツ」カテゴリの記事

教育」カテゴリの記事

文化・芸術」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/55913/47856072

この記事へのトラックバック一覧です: 『踏出力。』 アントニオ猪木 (創英社/三省堂書店):

« ファミエイト(FAMIEIGHT) | トップページ | 『マタイ受難曲(バッハ作・メンデルスゾーン編曲)』 シュペリング指揮 »