« 石川台中学校同窓会 | トップページ | 北川大介 『北の終着駅』 »

2010.03.07

満員御礼!「古典派の変容」

↓合唱のリハの様子
08_7_57_15_2 来場くださった皆様、ありがとうございました。
 あいにくのお天気にもかかわらず、2階席までほぼ満席。本当にたくさんの方々に聴いていただけました。
 浜離宮朝日ホールで行なわれました、東京クラシカルシンガーズ&オーケストラ・ピリオド・トウキョウの第9回演奏会『古典派の変容』にヴィオラで出演しました。
 ハイドンの「天地創造ミサ」を中心としたプログラム。全ての曲が、私にとっては初体験(聴いたことがない作品も半分)ということで、いろいろと勉強になりました。
 いつも書いているように、私の音楽体験はかなり偏っている(いわゆる両極端で真ん中が抜けている)ので、こうして古典派以降のいわゆる「近代芸術音楽」を勉強できるのはありがたいことです。実際当時の様式で演奏しながらの初体験なわけですから。
 ええと、実は昨日の「同窓会」の宴の余韻がしっかり残っておりまして、午前中のリハではかなり集中を欠いていました。これはいかんなという感じだったのですが、さすがに本番は気合いが入りまして、まあそこそこの演奏ができたと自負しております。
 まあ、さすがにあれだけお客様が入り、そして、メンバーの皆さんの本番ならではの集中力から創出される「音魂」を浴びてしまいますと、そりゃあ二日酔いも眠気もぶっ飛びます。音楽にはそういう力があるんですよね。これこそ演奏の喜びです。やっぱり音楽は聴いているだけではもったいない。
 三島由紀夫は「音楽」を悪魔扱いしていました。他の芸術と比べて、あまりに一方的に自分に入ってくるからだと、そんなことを言っていたように記憶しています。それはすなわち、彼が「歌」も含めて、音楽を創出…とは行かなくとも「送出」することができなかったからでしょうね。だって、私たち文章の受け手からすると、彼の文学はまさに「悪魔」ですからねえ。ま、三島由紀夫がハイドンとか演奏したら、いったいどうなっちゃうのか、ちょっと恐いような気もしますが。
 それにしても、ハイドンも悪魔ですねえ。というのは、今日もヴァイオリンの人たちと話したんですけど、とにかくあまりにヴァイオリンのパートが難しすぎる。私はこう言い放ちました。「これじゃあ、8楽章まであるヴァイオリン・コンチェルトのソロをみんなでユニゾンで弾くようなものだ」と。
 いやはや、まじでヴィオラで良かった。ヴィオラのパートになりますと、突然音の数が百分の一以下になります。音数が少ないし、チェロのパートとかぶることも多いとは言え、やはり和声や音楽の流れの要を押さえた「選ばれし音」を弾いている快感があります。
 それに比べて、あのヴァイオリンのパートの無意味な(失礼)難しさはなんでしょう。異常ですね。いくら上手なヴァイオリニストを抱えていたからと言って、さすがにあれはやりすぎでしょう。いけません。何か意図(意味)があったとしても、それは聴衆には伝わりませんよ。単なるヴァイオリンいじめにしか思えません(笑)。
 しかし、ヴァイオリンの皆さんは本当によく頑張っていらして、練習ごとにその響きが美しくなってきていましたが、さすが本番はお見事でした。私にはとても真似できません。
 ヴァイオリンのみならず、他の弦楽器、管楽器、そして合唱の皆さんも、本当に真摯に音楽に向かい合っている感じがしまして、なんか演奏しながら私は申し訳ない気持ちになってしまいました。
 ま、それも実は一瞬でして、あとはヴィオラの役得ということで、実に気持ちよく演奏させていただきました。
 これだけの大人数で一つの音楽を作っていくのは楽しいですし、難しい面もありますが、より「自己」が滅却されて、「他律的」になっていくのが快感であったりします。「自己」の集合は「他者」になる、すなわち、いつも言っている「コト」を極めて「モノ」に至るというやつでしょうか。
 声楽の皆さん、さすがプロ中のプロ。本番中も感動しきりでした。そのような方々と一緒にできるのも、また考えてみればありがたいことです。
 そして、いつもいつも音楽の、それこそ音の楽しみ方を教えてくださる指揮者の坂本徹さんには感謝です。また、ぜひ誘ってください、いろいろと(笑)。
 ちなみにこの楽団の次回演奏会は10月10日です。同じ浜離宮。「テレジア・ミサ」…これまた知らない曲だ…。

不二草紙に戻る

|

« 石川台中学校同窓会 | トップページ | 北川大介 『北の終着駅』 »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 満員御礼!「古典派の変容」:

« 石川台中学校同窓会 | トップページ | 北川大介 『北の終着駅』 »