『“3月9日” 卒業ソングに託す思い』 (NHKクローズアップ現代)
今日は3月9日。毎年のように書いているような気がしますが、この日は私にとっても特別な日です。
大切な友人の誕生日でもありますし、また、あの土方巽の誕生日でもあります。なにしろ彼、本名は米山九日生(くにお)ですから。まんまですよね。
そう、それで今日は本来なら、東京は阿佐ケ谷で行われた土方巽関連のイベントに参加する予定だったのですが、予定外の仕事がいろいろと入ってしまい、またとんでもない大雪になってしまい、私はやむなく欠席することとなりました。
それで、一人東京へ行ったカミさんはですね、この大雪のおかげでウチから5キロほどの場所で車が立ち往生し途方に暮れていたところ、結局たまたますれ違った知り合いの、富士吉田のお宅に泊まることになったと、先ほど電話が来ました。まあ、たしかにこの雪ではいくら四駆でも富士山に登ってくるのはきついですね。それにしても、この夜中によく人が通ったものだ。それも知り合いが。私もさすがに救助に行かねばと準備をしていたのですが、まあ私の車では「ミイラ取りがミイラになる」のは確実だと思っていたので助かりました。危ない危ない。二人で富士山で凍死するところだった。
さてさて、今日はもちろん、このレミオロメンの名曲「3月9日」、まさにその日でありますね。少し前にレニーニの記事に書きましたとおり、山梨県人が生んだ世界に誇る3大バラードの一つです。
私も毎年、いろいろなところでいろいろな機会で演奏することのあるこの曲。成人式、卒業生を送る会、卒業式、そして他校での出張講義の中でも弾いたことがありましたっけ。
ちなみに今年は、卒業生を送る会(予餞会)で、レミオロメンの「sakura」を、ヴァイオリンとチェロとピアノで演奏する予定だったのですが、どうしても私が中学の仕事を抜けられず、残念ながら断念せざるをえなくなりました。4月の入学シーズンにリベンジしたいと思っています。
「3月9日」は、4年前のこちらの記事に書いたとおり、まさに「縁と恩」という仏様の教え(すなわち世の真理)を的確に表現した作品だと思います。
高校生の旅立ちを支える大人たちというか、大人たちに支えられた高校生の旅立ちを追った今日の「クローズアップ現代」。たしかに、不景気の中奮闘し苦悩する高校生を、毎日目の当たりにしている私としては、よ〜く解る内容でした。ウチの学校は、それこそ皆さまのお陰様をもちまして、希望者全員の就職が決まりました。ありがたいことです。
この富士北麓地方はもともと経済状況が芳しくない地域です。それがこの不景気ですからね、正直それぞれの事業所もきついと思います。それでも地域の若者のために様々な形で協力をしてくださるわけですから、本当に頭が上がりません。お世話になる生徒諸君は、本当にその恩に報いてもらいたいと思います。
ゲストのあさのあつこさんがおっしゃっていたとおり、そういう厳しい状況だからこそ「縁と恩」を感じることができ、その結果、「あなたにとって私もそうでありたい」と思えるのでしょう。いつも書いていますが、「報恩」とは、その恩をいただいた人自身に何かを返すことではありません。ですから、ここでの「あなた」も特定の人、目の前の人だけをさすのではないのです。「誰かにとって」でいいのです。
それにしてもこの山梨発の名曲「3月9日」が、今や卒業シーズンを彩る代表曲になっているというのは、実にうれしいことです。オリコンの「卒業ソングランキング」で3年連続1位を獲得したとか。2位がユーミンの「卒業写真」、3位が海援隊の「贈る言葉」ですからね。そういうレベルでのスタンダード・ナンバーになったということでしょう。すごいですねえ。
それにしても、今年はなかなかレミオロメンをじっくり聴く気分になりません。ニューアルバムも素晴らしい出来であることは分かるのですが…。あまりに「生きている」ことの素晴らしさ、不思議さを歌う曲が多いからでしょう。もちろん、それ自体は素晴らしいことです。しかし、こちら側がそれを受け入れる気持ちになっていないのも事実なのでした。
そして、なにしろ、寒すぎて寒すぎて。今日もこの辺の最高気温は氷点下3度でした(笑)。最高気温ですよ!暖かくなってくれ〜!早く桃の花のもとで彼らをじっくり聴きたいものです。
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コメント
はじめまして。
レミオロメンと古楽が好きなことからこちらのHPを偶然みつけ、数年前からよく拝見させてもらっています。
藤巻さんがVERYという雑誌のインタビューで(普段読んでいない雑誌なので立ち読みしました)お奨めするアルバムの中にフジファブリックのアルバムをあげていました。私はフジファブリックは聞いたことが無いので(ごめんなさい)アルバム名を覚えられなかったのですが、この記事を読んだとき、あまりこれまで志村さんのことに触れてこなかった藤巻さんらしい気持ちのおき方だなあと勝手に思いました。こんな記事が載っていたことをお知らせしたくて突然コメントをさせていただきました。
私も夫も多分庵主さんと同い年の1964年生まれです。いやでも健康面には気を遣います。お忙しそうですけれどお体気をつけてくださいね。
私は古楽と、バッハを中心にバロックも好きですが(リコーダーを吹いていました)、S&Gと(でも特にポール)ビートルズと民族音楽、矢野顕子を聴いてきましたが、40歳を過ぎてなぜ突然レミオロメンがつながってきたのかが不思議で(それまで20年間ぐらいさっぱり流行歌をほとんど知りません)、自分の中で理由を探っていきたいなあと思っています。
長々と失礼いたしました。
投稿: 田中 | 2010.03.10 10:15
田中さん、コメントありがとうございました。
古楽とレミオロメンなんて…たぶん世界に二人しかいないんじゃないでしょうかね(笑)。
びっくりしました。
けっこう私、バロック・ヴァイオリンとチェンバロで彼らの曲を演奏したりしてますよ。
意外にしっくり来るんです。
そして、VERYの記事、めっちゃ気になります!
どのアルバムだろう…。
今日さっそく本屋に行ってみます。
素晴らしい情報をありがとうございました。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.03.11 08:26
お返事ありがとうございます。
世界に二人でしょうか(笑)。私のリコーダーはルネサンスとバロックの間のキンゼガーの、ホールがまっすぐに並んでいて人間工学を無視していて指ががすごく疲れる子なんですけど、ちょっと尺八みたいな音がします。それで「夏の日」を吹くとぴったり。まったく違和感なしです。私はアルペジオ好きでバッハのオルガン小組曲のBMW639を聞くといつでも泣きそうになりますがこの辺とレミオロメンがつながっているのかなとぼんやり思っています。レミオロメンのアルペジオ大好きです。むかしはT.saxを吹いていましたが、定番のバッハのチェロの無伴奏を自分勝手に吹いていました。
投稿: 田中静 | 2010.03.11 09:45
訂正です。オルガン小曲集です。
投稿: 田中静 | 2010.03.11 09:48
田中さん、こんばんは。
藤巻くんおススメのフジファブリックは最後のアルバム「CHRONICLE」の中の「タイムマシン」という曲でした。
たしかにこの曲は素晴らしすぎます。
でも、今聴くと間違いなく泣いてしまいます…。
http://www.youtube.com/watch?v=BZssbZPXgPI
バッハのBWV639、私も大好きです。
3年前、ある教会で弾いた録音がありましたので、どうぞ。
モダン・ヴァイオリンと足踏み式のポジティフオルガンです。
音程悪くてスミマセン(汗)。
http://dl.dropbox.com/u/1196701/BWV639.mp3
今、別冊カドカワを読んでいたんですが、サポート・ギタリストの河口修二さんが言ってますね、レミオのコードは難しいって。
たしかに独特ですね。
ある意味バロック的なのかもしれません。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.03.11 20:47
庵主さん、おはようございます。長々と引っ張ってすみません。
「タイムマシン」聴いてみました。とても美しい曲でした。美しすぎました。
BMW639も拝聴しました。とても気持ちよさそうに演奏していらっしゃいますね。私はソプラノリコーダー、アルトリコーダー、琴という変な編成でこの曲を演奏したことがあります。私はアルトでアルペジオのパートでしたが、バッハのアルペジオは特に歌えて気持ちがいいです。
レミオロメンを聴いていると、ふと気付くとギターのアルペジオの音だけを聴いているときがあります。(もちろんそんな時ばかりではないです)ベースラインも好きですけど。そしてなぜか自分自身が楽器をしたくなってしまうんですよ。私は子どもが生まれてから十数年、どこにも所属していなくて家で勝手に一人で吹いていましたが、レミオロメンの音楽を聴き出してから、アンサンブルがしたいと強く思うようになってきました。個人的によっぽど波長が合うというか相性がいいんだろうなと思います。
もうひとついいですか。別冊カドカワの河口さんのインタビューを読んで「えっ」と思いました。謙遜されているのか、私がギターに詳しくないからわからないだけなのか、「これらのギターはどうやって弾いているのだろう」という箇所がありますよね。ギタリストの方がそう思うほど難しいギターなのかな、ポップスやロックでは普通あまり使わないような弾き方が要求されるのかなと。ギターに詳しい方に聞いてみたいです。ギターって奥が深いですよね。私にしてみたらポール・サイモンと鈴木大介とエスペリオンでギターを弾いていた人と最近アコギに目覚めている藤巻さんとを生で聴き比べてみたいです。
長々とすみませんでした。
私は「花鳥風月」に収録されている「花になる」を聴いて魂が救われました。(重過ぎますね)単刀直入な曲でした。
投稿: 田中 | 2010.03.12 10:47
田中さん、どうもです。
たしかに、河口さんの一連の発言には意外な感じがしました。
彼はそうとうに上手なギタリストです。
それでも、そう思うのですから、やはり藤巻くんの感性は特別なのでしょう。
実際、「粉雪」についての記事などに書きましたが、彼の楽曲の特徴は、メロディーが非和声音になっていることが多いところです。
いわば不協和音が美しいのですね。
それと同じような感覚で、きっとギターにも微妙なテンションを加えているのでしょう。
それが、ある意味レミオロメンらしさを出しているのでしょうね。
河口修二さんは、知り合いの知り合いですので、近いうちに直接聞いてみたいと思います。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.03.12 18:03
庵主様、こんばんは。
そんなことが可能なんですか。
ぜひぜひ聞いてください。
楽しみにしています。
そういえば以前の吉井和哉さんのインタビューでも「アイランドをカバーしようとしたけれど、難しいので断念した」というのがありました。聴いている分にはシンプルなギターに聞こえるんですけどねえ。
このコメントを書き始めて、つくづく、レミオロメンのギターのアルペジオと藤巻節とでもいえるようなギターの旋律(歌わせ方が本当につぼです)が好きだなあと再認識しました。
投稿: 田中 | 2010.03.14 01:43
田中さん、おはようございます。
吉井さんもそんなこと言ってましたか。
たしかに藤巻君のギターは派手さはありませんが、
歌いながら弾くのは、とっても難しいらしいとも聞きました。
どういうところでそういう感性や技術を身につけたのでしょうね。
それもいつか身近な方に聞いてみたいと思います。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.03.14 09:17