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2010.03.17

『よみがえる“経営の神様” ドラッカー』 (NHKクローズアップ現代)

Drucker1 ラッカー学会代表の上田惇生さんと糸井重里さんを招いて、ドラッカーの魅力と現代における意味を紹介する番組でした。
 昨日の船井幸雄さんが、日本の誇るカリスマ経営者だとしますと、こちらは世界の「経営の神様」です。
 結論的には、お二人ともが「利益を求めることが経営ではない」という点で一致しています。あくまで、どれだけ社会に貢献し、社会を幸福にするか、そしてそういう仕事をすることによって、個人もいかに幸福になるかを追求していると言えます。ドラッカーは言います。「企業にとって利益を目的ではない。手段である。目的はいかに社会に貢献できるかだ」。
 「変化を待っているのではなく、自らが変革者にならなくてはならない」という内容のドラッカーの言葉は、そのまま私が昨日書いた「大志」や「夢」と重なってきます。今の子どもたち、いや大人たちも、ただ「変化」に流されて、そして愚痴を言っているにすぎません。たしかにそれが一番楽な生き方かもしれませんが、とてもとても幸せだとは言えないでしょう。
 たいがい人は愚痴を言ったり、悪口を言ったりしている時、その歩みを停滞させ、変革の努力を怠っています。愚痴や悪口や悲観は、そういうサインなのです。私はそう思うようにしていますし、人を見る時にもそのように見ます。生徒がそういう時には、再び歩み出せるようにいろいろな方法で後押しします。
 「経営」とはマネジメント、まさに「うまくやっていく」ことです。全体を調整し、個々の力を伸ばし、そして、ドラッカー流に言えば「欠点を中和する」ことでしょう。「経済」も元々は「経世済民」ですから、同じような意味でしょう。やはり私たちは「カネ」に毒されていて、それらの本来の意味すら忘れてしまっているのです。
 糸井さんが面白い表現していましたね。「ドラッカーは横を見ずに前を見ている」。誰かと競争したり、世の中の愚痴や悪口に惑わされたりせず、とにかく幸福な未来へ向けて行動するということでしょうね。これは船井さんのポジティブな思考と行動とも重なるところです。
 でも、今日同僚と話したんですけど、単なる「前向き」や「ポジティブ」だけではダメなんですよね。特に最近多い「無知ポジ」。自らの力や社会の現状を知らず、ただただ「なんとかなるだろう」と思っている人です。これは正直タチが悪い。こういう大人や子どもも増えてるんですよ。これについては背中を押さないで引っ張らなきゃなりません(笑)。
 ドラッカーの名言の全てが、いわゆる人生訓ではありませんし、やや現在のドラッカー・ブームは行き過ぎのような感じもしなくもありません。しかし、現代が本来の「経済」や「経営」の意味を見失っているのはたしかですから、こうしてドラッカーをきっかけに、人々が本当の意味で「前向き」「ポジティブ」になってくれればいいですね。
 中学生にはそれを伝えていきましょう。もちろん親御さんにもです。中学生の親御さんは、私と同じ世代。まさに世の中を動かす中心的存在なのですから。

ドラッカー学会

Amazon もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

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コメント

正に、私が今悩んでた、社会や仕事に対する話で、シンクロシニティしました。
実は、今の社会や仕事で私は、息の詰まる思いをしていまして、それは、やはり今の社会や情勢に対するストレスなのですが、事実私も、埋もれていたのですよね…(汗)というのは、やはり、今の仕事は「数字」で価値を見出すことが重点化されていて、その「数字」を作ることで、自分の地位や名誉が位置付けられる。そういう、卑しいというか、根拠のない価値観に埋もれて、感じて、仕事しています。目標を達成する事が義務感になり、表向きは、「お客様の為に」としている仕事も、実際には「自分の利益の為」になってるのです。だから、いつも、数字にとらわれて、楽しく仕事が出来ない自分がいました。

実際に、私も、表向きは、お客様の為に。実際には、自分の利益の為に。だったのです。そんな自分に嫌気がさしていたのが、つい先週のこと(笑)

数字にとらわると、楽しいはずの仕事が楽しさ半減。数字を取れない自分を責めたくなる。だから、うつ病が多くなる。
なんだなぁ…って感じたり。

仕事が決して嫌いで辞めたい訳じゃないんですが、義務感や目標を達成する事だけにとらわれてると、小さな幸せや、大切なことを見落としちゃってること多し。なんですよね。

だから、発想の転換しました(笑)

「目の前のお客様の為に、携帯の楽しさ、実用性を伝える店員になる。」

「お客様がまた利用して下さるような、楽しい店作りを出来るようになる。」


「笑顔が溢れる職場作りを自ら進んで出来るようになる」


そういう、日常の中に自分が出来ることを積み重ねていけばいいんだって☆

みんな、大きく目標を持つから、苦しくてやりきれない虚無感が生まれるのだと思います。

私も、カネに埋もれていた人間だったからこそ、見出すことが出来たのだと感じます。

投稿: 里沙 | 2010.03.18 23:18

初めまして、信州の諏訪地方でサラリーマンをやっているtapyと申します。

この記事にヒジョーに賛同して、キーボードをとらさせていただきます。

とある製造業にエンジニアとして勤めていますが、お客さんの顔の見えないような組織の中にいると、何のための仕事か見失うことがあります。

そうすると出てくるんですね。
仕事の愚痴とか、不満とか。。。

お給料はどこから出てきているのかすら、意識も感謝もせずに。

『無知ポジ』についても、思うことがあり、例えば課題に直面しているにもかかわらず、何の対策も講じず、ただただプラス思考ならば、どうにかなるだろうと。。
自分にも心当たりがあります(汗)、反省をしなければ・・。

庵主さんの『ひとづくり』
とてもすばらしいと思います。
今後のご活躍期待しています。

あっ、申し遅れました。
私、09/3/25の記事に出てくる同僚の先生の従兄です。いつも従妹がお世話になっております。

今後とも、ブログ拝見させていただきますので、よろしくお願いします。

投稿: tapy | 2010.03.19 22:05

里沙さん、コメントありがとうございました。
ケータイは人と人をつなぐ大切なツールですから、じゅうぶんに世のためになっていますよね。
なんの仕事にせよ、考え方一つでどちらにでも転びます。
どうせなら、やりがいを感じて行きたいですね。
教師なんていう仕事も、マイナスに考えるととんでもなくストレスフルな仕事です。


tapyさん、どうもどうも。
こちらこそお世話になってます。
この前も酔っぱらって調子に乗って怒られましたよ、同僚(教え子)に(笑)。
モノづくりは結局人づくりだと思いますよ。
モノは人を変えますからね。
また作った人の魂もこもります。
ぜひ、いい仕事してください!

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.03.20 15:32

なんだか、あまり関係のない感じもしますが、ドラッカーつながりということで、書かせていただきます。(日本語的にあってるのかなぁ?)
つい先日、「もしドラ」が学校にあったので読んでみたのですが、あれだけの人気が出ていた割にはそれ程面白くない内容でした。
まぁ、ドラッカーのありがたい(?)教えの要約という感じでした。
ドラッカーの教えは経営だけで無く、複数の
人が集まった組織(部活動、クラスetc)では何にでも使えるというのはわかりましたが、内容を物語にしすぎたので、内容がブレているとおもいました。
っていうか、中学生にこんな事書かれている時点で、「もしドラ」を書いた意味が無いと思います。
っと、まぁ生意気な事を言ってしまったのですが、それぞれの解釈があるとおもうので、先生の感想も聞かせてください。
お願いします。

長文失礼しました。

投稿: 中二病少年 | 2011.05.15 16:52

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