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2010.03.31

『iPhoneとツイッターで会社は儲かる』 山本敏行 (マイコミ新書)

20100401_61606 れまた後輩の先生が貸してくれました。この本の内容は、昨日の話にも関わってきますね。ここでいう「儲かる」とは、単に「カネが増える」ということだけではありませんでした。
 結論から言えば、「会社の中の人間関係がよくなる→社員が生き生きする→生産性が上がる」ということです。昨日の言い方で言うなら、「個人が幸せになるだけでなく、組織のみんなが幸せになることによって、その組織、そしてその構成員である個人も、より幸せになる」ということですね。
 これは「経営」のステージとしては最高レベルとは言いませんが、最低でもありません。以前モスバーガーの社長さんとお会いした時も「まずは社員に満足を。それが笑顔を生み、お客様に還元される」というような話がありました。おそらく、そういった理念で頑張っている会社というのも、けっこうあるとは思います。
 もちろん、もっと先を見据えた「経営」というのが理想なわけですが、そこはなかなか難しいですよね。教育の現場でも同じようなことが言えます。まあ、簡単に言ってしまえば、どこまでの「他者」を想定できるか、想像力がどこまで豊かかということでしょう。
 で、昨日の大前さんはですね、いわゆるアメリカ流ですから、言うべきことははっきり言う、まずは相手の意見を否定する、みたいな発想なんですよね。それはそれで、そういうことに耐性のある「強い」人間たちにとっては、一番ストレスのたまらない人間関係の構築法だと思いますよ。
 でも、我々純粋な日本人は、そんな「強い」人間ではありません。ズバッと言われると「ガ〜ン」となってしまう「弱い」人々です。だから、昔から「赤ちょうちんで上司の悪口」みたいな装置があるわけじゃないですか。
 そこに登場した新しい装置が、この「iPhoneとTwitter」だと思うんです。新しいコミュニケーション・ツール。これが、「弱い」日本人にはちょうどいい道具となったわけですね。なかなか、口ごもってしまって、あるいは呑み込んでしまって言えないことを、リアルタイムに、そして適度に無責任に発することができるようになったと。
 1対1では言えなかったことが、いきなり世界の不特定多数相手では発することができる、というのは面白いですね。これには、その相手を「その他大勢」に放り込むことによって、たとえば上下関係から生じる理不尽などを解消し、常識人に仕立て上げてしまうという効果があると思います。また、自分をも「その他大勢」に放り込んで、そして、そのうちの何パーセントかを自分の味方につけてしまうという効果もありますね。とにかく、そうして、「愚痴」や「陰口」の生じる可能性を低くしているわけです。
 そういう意味では、このツイッターというのは、日本人のためのツールとも言えなくもないですね。面白い。
 そんなツイッターについては、以前『Twitter社会論 新たなリアルタイム・ウェブの潮流』という本に関する記事で、私の意見を書きました。ただ、あの時はアカウントも持っていなかったし、実際のところどういうものかよく分からず書いていたんですね。
 その後、いちおうアカウントを二つ取りました。一つは個人のもの。ただしまだ一言もつぶやいていません。やっぱり上の記事に書いたとおり、その価値がよく分からんからです。つぶやいているヒマがあったら、ブログの記事を書いていた方がいいと。
 もう一つは中学校の中の人としてのアカウントです。これは上に書いたような本来の機能ではなく、もっと単純なコミュニケーション・ツールとして使ってみようというものです。
 つまり、授業の様子などを随時iPhoneから写真つきでツイッターに投稿し、それを保護者が適当な時に見るという使い方です。もちろん、この場合、プライバシーの問題等ありますから、基本クローズドということになります。生徒の親以外は見ることができないというわけです。
 また、「中の人」は私だけではありませんから、つぶやいているのが私だとは限りません。一つのアカウントで何人かがつぶやくということですね。もちろん、それが誰なのかは分かるようにしようと思いますが。保護者の方も感想などをつぶやくことができますから、まあある意味、リアルタイムでゆるいコミュニケーションが可能になりますね。
 どうも、学校は閉鎖的で、また先生と保護者の会話は緊張感を伴う(すなわち、さっきの上司と部下みたいな理不尽さがある)ものでした。それを少しでも解消するために、iPhoneとTwitterが活躍してくれるのではないかと、ひそかに期待しています。
 学校は会社と違いますから、この本に書かれていることがそのまま通用するはずもありません。しかし、アイデア次第では、学校にとっても面白い「装置」になりうるんじゃないでしょうか。もしかして、この「授業の実況」という試みは日本初なのかな?

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コメント

おはようございます。私も、iPhoneからツイッターしています。
日常のこと呟いたり、仕事のこと呟いたりしています☆
iPhoneとツイッターが仕事のアピールツールになるから。と、上司からの指示でアカウントを取ったのです。
ツイッターを通して、iPhoneの良さを周りに伝えるツールとして、積極的に利用してます。
楽しみながら、仕事をしている感覚です。
それに、遠方の友達のリアリティな「今」を知ることも出来て、元気な様子を知ることも出来、普通に目の前で会話している感覚です。
親御さんにとって、ツイッターを通して、子供さんの授業をリアリティに感じながら知ることが出来るって、素晴らしいことだと思います。
特に、今のこの世知辛い世の中だからこそ、安心材料の一つなのではないか。と感じました。

投稿: 里沙 | 2010.04.01 11:45

里沙さん、おはようございます。
そうですか、やっぱり会社としても推奨しているんですね。
最初は何が面白いのか分からなかったのですが、
なるほど流行るモノには何か新しい可能性がありますね。
それにしても、やっぱりiPhoneってすごいですよ。
最近身にしみて感じます。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.04.03 06:48

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