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2010.03.26

AKB48 『RIVER』

 日は進学合宿の最終日。恒例の「借り物卓球」で盛り上がりました。昨年優勝してしまった私は、今年は実況担当のみ。それでも絶叫しすぎて疲れました(笑)。
 さて、そのメイン・イベントの前に、1年生の「総合」の発表がありました。今年はどういうわけか、テーマが「AKB48」。いろいろと学問的に迫ったレポートのあと、全員によるダンスが披露されました。ある意味本当に「総合的な学習の時間」ですな。面白い。
 そこで、かかった曲がこの「RIVER」です。私は曲の編集を担当しました。今回に限らず、私はダンス部の音源などをいつも作っています。曲の切り貼りですね。プチDJのような仕事です。
 私、そういう切り貼りは得意なんですよ。CDの音源なんかを切り貼りするのって、案外一般の人はできないじゃないですか。それ専用の機材やソフトが必要なような気がするからです。
20100327_94733 私はMacの純正ソフトでやるんですよ。それもGarageBandじゃなくて、なんと旧タイプのiMovie HDです。単純に切り貼りするんだったら、これが一番簡単で便利です。案外盲点ですよね。
 ただ、サウンドファイルとしては書き出しができないので、再生しながらWire Tap Proで録音するという方法をとっています。ある意味アナログ時代の作業そのままですな。
 実はこういう切り貼りというのは、様々な音楽的知識を要します。生徒たちは「こことここを切ってつないで」みたいなことを簡単に言いますが、もちろん拍数の問題もありますし、転調やその他の問題もあります。そのへんを知識と技術とセンスでなんとかするのがDJの仕事です(なんちゃって)。
 あと、テンポを踊りやすく変えてほしいと言われることもあります。その時は、ちょっと面倒ですが、TASCAM のGT-R1を使います。
 というわけで、今回も期せずしてこの曲を何度も聴くハメ(失礼)になったので、せっかくですからちょっと感想など書きましょう。
 いや、悪い曲じゃないですよ。どちらかというとよくできた曲だと思います。AKBについても、かなり初期の頃からいろいろとネタに使わせていただいていたりしましたから、全然抵抗なんかはありません。今となってはどれが誰か全然分かりませんが。
 初期の、まんまオタク用アイドルだった頃からしますと、ずいぶんと成長しましたし、商品価値も上がりましたね。さすが時代の流れを読む、いや作る秋元康さんです。いい仕事してます。
 私なんかモロおニャン子世代です。大学時代、朝(夕方)起きるとちょうど「夕やけニャンニャン」やってたりしましたからね。別にそういう趣味はなかったけれども、なんとなく観ていました。そうそう、いつかも書いた記憶がありますけど、渡辺満里奈さんが番組中のオーディションで合格した時のビデオがなぜかウチにあるんですよねえ。けっこうレアだと思います。
 さあ、そんなおニャン子とは明らかに違う路線を歩み始めたAKB48です。この曲なんかまさに象徴的ですよね。「RIVER」=「川(河)」は人生の障壁、障害としての比喩です。それを「努力」や「根性」で乗りきる、渡りきるというのがテーマになっています。
 音楽的にも、アイドルにありがちな長調単純ポップではなく、ラップから入って、そしてサビは短調の王道コード進行&王道メロディーでして、ある意味J-POPに底流する「演歌ロック」の路線になっています。
 一見フェミニンな、萌えな女性性を持っていながら、歌は非常に男性的です。これは本当に日本独特な文化です。女性演歌歌手の「男歌」に近いものがありますね。セックスやジェンダーを超えたフィクションに現出する、ある種の「リアル」が、私たち男性にも、あるいは女性にも強いメッセージとなって届いてきます。
 こういう路線を歩み始めた時点で、単なる可愛いアイドルとか、萌えの対象ではなくなり、「頑張っている」若者たちという「商品」へ移行しているわけです。ここのところが、時代の潜在的要請に応える秋元康さんのすごいセンスなわけですね。
 高度成長時代やバブルの時代が必要としたノホホンなアイドル像ではなく、不景気や将来への不安を払拭してくれる存在、「あきらめ」でなく「希望」を与えてくれる存在。それが、日本古来の「女性神」的な容貌の中に現れてくる。それも、非常に男性的にですね。
 これもまた、一つの宗教的文化現象としてとらえるのなら、出口なおや出口王仁三郎の「変性男子」「変性女子」にまで、つながって見えるのであります(私だけかな…笑)。
 というわけで、まあ、なんとでも言えるわな。しかし、そういう大きな広い視点で彼女らを見るとまた面白いものです。
 上に貼ったPVは、いろいろある中で一番気に入ったものです。アイドルのPVを超えてアーティスティックに仕上がっていますね。アボリジニ的なメイクやダンスが、これまた原初的な「宗教性」を感じさせます。
 ちなみにこの曲、今年の7月フジファブリックのフジフジ富士Qが行われる、富士急ハイランドサウンドコニファーにおいて昨年9月に初披露されました。富士山をバックに女神たちが歌うこの曲の言霊は、世の中にしっかり届いたようですね。

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