『日本人の知らない日本語2』 蛇蔵&海野凪子 (メディアファクトリー)
文句なし!面白い。
またまた向かいの理科の先生が貸してくれました。「1」が面白すぎたので、「2」は出るだろうけれど、はたしてネタ的にも前作を超えられるだろうかと勝手に心配していましたが、杞憂でした。
はっきり言って、私にはこちらの方が面白かったし、日本語の知識的にもちょうどいいレベルでした。いちおう日本語学を専門にしている私がそう感じたのですから、一般の方にはちょっとイメージしにくいところもあったかもしれません。
この本の面白さの本質的なところ(つまり今日も書こうと思ったこと)については、前作についてのこちらの記事に全部書いてありました。
というわけで、今日書くことがない!すなわち、私はネタを出しきってしまって、前作を超えることができなかったわけです…orz。
今回ネタとされている「ら抜き言葉」についても、私はこちらの記事で書いてしまっています。説明のしかたはちょっと違いますけどね。
今回書くとすれば、私も外国人に日本語を教えたいなということでしょうか。日本人に日本語を教えてウン十年になりますが、どうもそのおかげで自分の「日本語観」というか、「日本語の風景」が硬直化してしまっているような気がするんですよね。
今回のネタの中にもいくつも出てきましたが、「なるほど、そうやって教えてるのか!」ということがたくさんあります。外国人に教える「外国語としての日本語」の方が、ずっと日本人にも分かりやすいのです。たとえば敬語。この本にあるとおり、外国人の方が正しい敬語を使ってますよね。これって、やっぱり教育側の問題なんですよ。実用的に教えるか、学問的に教えるか。実用の方には「例外」という言葉を使えますが、学問には「例外」は許されません。
私、最近、古典文法を教える際に、こうした「外国語としての日本語を実用面から教える」という手法を取り入れているんですよ。そうすると、生徒も楽しく勉強できますし、私も教えていて楽しい。根性と時間があれば参考書でも書きたいところです。
で、案外、そういう捉え方をするとですね、言葉の本質も見えてくるんですよ。言葉とは「実用」から生まれた産物ですから。学問なんてのは、後付けに過ぎません。それで例外を認めないようにするから、たとえばこちらに書いた「下一段活用(蹴る)」なんていう珍項目を作らねばならなくなるわけです。
それを丸暗記しろ!なんて言われている高校生は可哀想ですよね。私はそんな教え方しませんよ。いつも言っているとおり、ウチの学校では「活用表」を覚えたら怒られますから(笑)。
4月からは高校を離れて、中学の教壇に立つことになります。中学では現代文法をやるのですが、あんなもん大学入試にも出ません(つまり人生で必要ない)ので、私は「外国語としての日本語」を教えようかな。うん、これいいアイデアだ。そして、まずこのマンガを教材とする。おお、これで決まり(笑)。
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コメント
こんにちは。
啓蟄も過ぎ、虫ももぞもぞはい出てきてますかね。
ついでに私ももぞもぞしてきました(笑)
とてもお忙しそう!来年度からは中学生を教えられるとのこと。高校3年生をみていらっしゃたら中学1年生は可愛いでしょうね。
でもとてもナイーブなお年頃。
私は中高の体育の教員免許を持っていますが、当時採用試験どちらにするか迷いました。
ちなみに落っこちました^^;
これほんと読まなきゃ。
実は「1」をお書きになった時、お邪魔させていただこうかと思いました。
何故なら初めて私が先に読んだから!(笑)
お話からそれるかもしれませんが、日本に来られた海外の方が日本語を覚え話される早さが、尋常じゃないぐらい早いと思います。
あるTVで年に2~3回来てるだけで日本語を覚えたという韓国人少女がインタビューされていました!普通に詰まらずすらすら答えていました。
「一語一音」といえばいいのかしら?だから聞き取りやすい?母音の数の違いでしょうか?
私が今うまくお伝えできませんね(笑)。やっぱり日本語難しい!
とにかく「2」が楽しみです(^^)
投稿: あんりまー | 2010.03.08 10:18
あんりまーさん、おはようございます。
「1」より「2」の方が面白かったかもしれませんね。
もう「3」を期待しちゃいますよ。
これってドラマ化しても面白いかも。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.03.09 10:11