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2010.02.02

『THIS IS FOR YOU〜THE YELLOW MONKEY TRIBUTE ALBUM』

51beq52ggll_sl500_aa240_ 成20周年のアニバーサリーを終えたばかりのイエモン。アルバムの完全版が発売されなど、再評価の流れは止まりそうもありません。これを機に、彼らを知らない世代にも、ぜひ、ぜひ聴いていただきたいところです。
 何を隠そう、この私も彼らにはとんでもない影響を受けました。おおげさでなく、私の音楽観、日本語観を変えたと言っていいと思います。今、こうして、たとえばフジファブリックやレミオロメンやバンプなどのJ-ROCKを聴いているのも、彼らのおかげです。
 それまでの私は、洋楽ロック、バロック、ジャズばかりを聴き、そして演奏していました。そこに雷を落としたのがイエモンだったのです。
 その一発目の雷は、具体的に言いますと、あの超名盤「SICKS」です。それについてはこちらの記事に詳しく書いてあるとおりですね。
 それから全てのアルバムを狂ったように聴き尽くしました。ライヴにも行きました。そうこうしているうちに、どういうわけか、吉井和哉さんがご近所さんになり、妙なご縁にまで恵まれて、ますますイエモンの音楽、吉井和哉の歌が、私の心を開いてくれたのでした。ありがたいことです。
 今の若い世代のロック・ミュージシャンにとっても、彼らカリスマ的な存在です。ですから、私と彼ら若い人たちは同じ体験をしているわけですね。そういう部分で、私は自分よりもずいぶんと年下の人たちの音楽や言葉に共感しているのかもしれません。
 それにしても、不思議なことはあるものです。吉井さんがいた河口湖北岸をはさんで、御坂峠を越えたところにレミオロメンが生まれ育ち、こらち側、すなわち富士山側にフジファブリックの志村くんが生まれ育ち、そして、両者とも吉井さんと共演するまでになっていくとは…。
 ちょっと変な話ですが、土地が持つ不思議な霊力のようなものがあり、それが彼らを結んでいるような気さえするんですよね。そして、そこにたまたま私が住み、その磁場のようなものに引っかかって、それぞれ別々にご縁ができて、いつのまにか、それがまた一つになっている…本当に偶然に偶然が重なっているんです。
 吉井和哉さんと志村正彦くんに関しては、実は別の視点でもいろいろと不思議なことがあります。御本人たちは全く意識していなかったと思いますが。
 私はこちらの記事で「吉井和哉は太宰治だ」と書きました。これもまた、単に人間として、天才としてという意味だけでなく、御坂峠という土地が絡んだ共通性です。
 そして、志村くんについては、こちらにも書いたように、中原中也との不思議な共通点があります。あそこに書いた高円寺のみならず、よく考えてみると、フジファブリックが担当したラジオ番組「フジファブリックのGUCHI GUCHI言わせて」はFM山口制作でした。山口と言えば中原中也の故郷ですね。山口から高円寺に行ったのです。なんで、フジが山口だったのか…今になってみると、そこには深い意味があったような気もします。
 こんな感じですから、近年の吉井さんと志村くんの接近は、私には「太宰と中也」の遭遇のように見えていたのです。
 実際の太宰と中也は少なくとも3回は遭遇しています。この二人はなんとも微妙な関係にありました。太宰は中也よりも年下。太宰は中也を尊敬していたようですが、実際会ってみたら、実はとんでもない酒乱で、何度も喧嘩腰に絡まれて、ほとほと閉口してしまいます。最終的には苦手な人間として遠ざけていたふしさえありますね。しかし、ある意味では、同じような魂を持っていた、あるいは同等の才を持っていた二人とも言えます。
 もちろん、吉井さんと志村くんとは、いろいろな面で二人の関係は違ったものですけれども、しかし、もしかすると、「魂」や「才」の部分では何か共通点があるかもしれません。少なくとも私自身にはそれがあるように感じられます。表現の方法は違うけれども、やはり同じ何かがある…。
 そういう意味で、志村くんの実質的なこの世での最終完成音源となったのが、このアルバムに収録されている「FOUR SEASONS」だったというのは、なんとも運命的です。
 私にとっても、好きなイエモンソング、ベスト3に入るこの曲を、志村くんがカバーすると聞いた時には、本当に興奮しました。ある意味夢にも見ない夢の実現でしたから。
 しかし、志村くんが去ってしまった今となっては、かなり辛い歌となってしまいましたね。あまりに歌詞が辛い。叫びが辛い。今まで、自分でもカラオケなどで歌ってきた曲ですが、こんな違った意味を持つようになるとは…。
 きっと吉井さんも辛いでしょう。年末28日の武道館ライヴも苦しかったことでしょう。正月にはこちらにいらしてましたが、いったいどんな気持ちで富士吉田の街を、そして富士山を眺めたことでしょう。
 「勇気が足りない 力が足りない 時間が足りない お金が足りない 空気が足りない 命が足りない」…これを歌った時、志村くんは自らの運命を知るよしもなかったはずです。
 

Disc 1
WELCOME TO MY DOGHOUSE / Scoobie Do
LOVE LOVE SHOW / 奥田民生
SUCK OF LIFE / 毛皮のマリーズ
SPARK / 秦基博
JAM / TRICERATOPS
空の青と本当の気持ち / 星羅
SEA / 山田孝之
BURN / 椿屋四重奏
カナリヤ / tacica
4000粒の恋の唄 / あがた森魚
PUFF PUFF (instrumental) / MORGAN FISHER

Disc 2
FOUR SEASONS / フジファブリック
パール / 黒猫チェルシー
TVのシンガー / 9mm Parabellum Bullet
楽園 / KREVA
SHOCK HEARTS / metalmouse
球根 / THE BACK HORN
追憶のマーメイド / ムック
離れるな / 金子ノブアキ
SO YOUNG / シュリスペイロフ
メロメ (instrumental) / MORGAN FISHER
バラ色の日々 / Nothing's Carved In Stone
プライマル。 / フラワーカンパニーズ

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コメント

おはようございます。
土地が持つ霊力・・・。なるほどなぁ。と感じます。
そこには、何故に、志村さんが故郷凱旋ライブのときに、「大地賛称」をライブ前の音源で使ったのかも、理解できます。
全てに、忠実に生きてこられたからだからこそ、
普通の人が感じない、「なにか」を感じたり、普通の人が普段目にする事ない、「なにか」を見たり、普通の人が聴く事が出来ない「なにか」を耳に聴こえたりしていらっしゃったんじゃないかと思います。
この世での行く末は、「全て必然。偶然に起こる事はなにもない。」土地の持つ霊力。そこに「在る」人間の肉体と魂、天と地。全ては・・・三位一体で、その三位一体に忠実に生きるか、自分に「嘘」をついて生きるかの2択の枠で私達は生きているような気がします。

投稿: 里沙 | 2010.02.03 10:21

こんばんは。

この『Four Seasons』は、志村くんのためにかかれたのではないか、とさえ思ってしまいました。フジファブリックはなぜこの曲を選んだのか、なにか運命的なものすら感じます。本当に庵主さんのおっしゃる通りに思います。志村くんの声が切なすぎます。

今回、この記事を読んで、いろんなことが私自身の周りでつながってしまいました・・・驚愕です。もう過ぎたことで、自分の思い込みかはわかりませんが。土地の霊力、人とのつながり、最近たくさん思い出しては考えています。

投稿: タラ | 2010.02.03 21:48

フジのカバーの「FOUR SEASONS」は、とても、良かったです。
だけど、私も歌詞に引っかかってしまいました。
あまりにも・・・ほんとに辛過ぎます。

吉井和哉さんも、「破滅的」な部分を持っていて、
誰かの愛情を渇望されているように思います。
音楽の感じから、のイメージですけれど・・
だけど、吉井さんは、ちゃんと家庭も持って、子供さんもいらして・・
志村くんは「自分には家庭は持てそうにない」というようなことを
おっしゃってましたが・・・
ほんの、少しの、違いのように思うんです。
何かが、ほんの少し違うだけ。

なのに、志村くんは逝ってしまって・・
そこが、私は悲しくてなりません。

投稿: ikuko | 2010.02.03 23:59

みなさん、コメントありがとうございます。
本当に辛い叫びですね。
たしかに吉井さんと志村くんには似たところがあります。
でも、やっぱり表現方法が違うんですね。
吉井さんにはある意味逃げ場があります。
そしてそれも悪いことではありません。
ジョン・レノンが「愛とは愛されたいと望むこと」と歌っていますね。
二人とも、そういう意味で「愛」が強すぎるのかもしれません。

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.02.05 14:02

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