« だってなんだかだってだってなんだもん | トップページ | 氷地獄 »

2010.02.11

信玄餅(の食べ方?)

57156_listimage 梨のお土産と言えば信玄餅…と思われがちですが…まあその通りと言えばその通りです。
 しかし、山梨と言っても、我らが住む富士山周辺と、山一つ隔てた甲府盆地とではかなり事情が違います。だいたいが、こちら(郡内地方)はあちら(国中地方)ほど、武田信玄に思い入れはありません。いや、ほとんど全くないと言ってもいいかもしれません。
 これは歴史的に見れば当然です。このあたりは、甲斐の国の南の最前線、武田氏と北条氏が戦ったところであり、当時の地元民もどちらの味方だったのか、非常に微妙な部分があるのです。もともと戦国時代以前の落人が多い土地柄(すなわち生活環境の厳しい隠遁地)だったために、その政治的立場はとても複雑です。ある意味では、全く中立だったのにも関わらず、ここが戦地になったためにとんだとばっちりを受けたとも言えます。
 そんなこともあって、なんでも「信玄○○」のようにしてしまう国中の方々の感性に、違和感を抱く人が郡内には多いのでした(たぶん…私も落人なので)。
 だから、なんとなく「信玄餅」も我らを代表するお菓子という感じはしません。私なんか、母方が望月氏の傍流であり、父方が小笠原流(あるいは相模三浦氏)なので、血筋的には武田なんでしょうが、それでも違和感ありますからね。やっぱり土地の持つ霊脈みたいなものに影響を受けているのでしょうか。ま、今でもあちらはこちらを小馬鹿にしていますからね(笑)。
 さて、それはいいとして、その「信玄餅」ですが、山梨県民はそんなに食べません。なにせ、お土産、名物ですから。東京の人が東京タワーに上らない、あるいは我々が富士山に登らないのと一緒です。
 それでも、生徒がアウトレットで詰め放題をしてきて(ちなみに地元河口湖のアウトレットは閉店してしまいました)、それをおすそ分けしてくれたり、あるいは私自身がどこかにお土産として持っていって、そこで一緒に食べたり、そういう機会には食べることもあります。年に1回か2回かなあ。
 さて、そんな時、常に問題になるのが、その食べ方であります。と、そんなことを書こうかなと思っていた矢先に、ある方にこんな記事があるのを教えていただきました。
 フジファブリックの志村正彦くんが亡くなる直前に取材を受けた朝日新聞のインタビューです。結局お蔵入りになっていたこのインタビューの全文が、記者さんの手によって追悼記事として紹介されました。「オトコの別腹」という夕刊コラムに登場する予定だったのですね。そこで語られたのが、まさに信玄餅の食べ方でした。

 志村正彦追悼「THE SONG REMAINS THE SAME」(第1回)
 志村正彦追悼「THE SONG REMAINS THE SAME」(第2回)

 なんというか…大月駅というリアリズムもあって、35歳のエピソード(夢)には泣けますね。
 気を取り直して、よく読んでみますと、彼の信玄餅の食べ方は、ある意味王道とも言えそうです。あのように食べる方多いんじゃないでしょうか。そして、きなこをこぼさないで食べるという「儀式」も、まさに大人になる通過儀礼として皆さん経験されているのではないでしょうか。
 たしかに、あの極度にコンプレックス度の高いパッケージングにおいて、あの繊細な粉をこぼさずに食べるというのは至難の業です。将棋崩し並みに難しい。
 一方で、こぼすのが当然だから、あの風呂敷のようなビニール包みがあるとも言えます。しかし、なぜか人間にはいらぬ挑戦心というのがあるようでして、皆一度は、というか毎回最初は、「今回はこぼさず、まきちらさず食べきってやる」と思うのです。不思議ですね。
 志村くんは20歳でそれをクリアーしたと述べていますが、私は45歳にもなって、いまだに大人になりきれていません(笑)。いろいろな方法を試しましたが、どうしてもダメです。もう最近は面倒くさいとばかりにあきらめて、風呂敷にバキャッ!と全部あけて、風呂敷の広さ全体を利用するほどにヤケになってかきまぜて食べたりします。
 この風呂敷にあけて食べるというのも、一部県民の間では、これこそが王道であるとまことしやかに主張されている食べ方ですね。
61011137 で、最近、ちょっと面白かったこと。
 ある日、職員室の机の上に珍しく信玄餅が置いてあるのを見つけたので、ある純朴な生徒をつかまえて、「おい、信玄餅の正式な食べ方知ってるか?まさか山梨県民のくせに知らないんじゃないだろうな?」と問い詰めたところ、「え、えぇと、普通に上から蜜かけて食べるんじゃないですか?いや、あの風呂敷にあけて食べるとか…」と、まあ生徒として精一杯の回答をしてくれました。これで正解と言えば正解なのですが、そこは意地悪な私のこと、テキトーな思いつきでさらに彼を責め立てます。
 「なに?甘い甘い。まじで知らないのかよ〜。山梨県民とは思えないな。ばっかだなあ、餅ときなこと蜜を全部風呂敷にあけてな、それを包むように風呂敷の四隅を持って、頭の上で振り回すんだよ。それで最後に机かなんかにドンドンって2回叩きつけるのよ。そうするとちょうどいい具合に混ざってうまいんだ。当時の武将たちは、そうやって食べてたんだよ。豪快にな。ほれ、やってみ」
 純粋な彼は、「ホントですか?」とか言いながら、本当にそれをやってしまいました(笑)。
 きなこがこぼれるとかいう次元ではなく、そこら中がきなこと蜜だらけになったのは言うまでもありません。ごめん!
 私は、3個のお餅のうち一つを蜜をかけずにきなこだけで食し、その空いたところに蜜を流し込んで、あとの二つを平らげるというのがホントのところでありました。
 実は、信玄餅の食べ方には正道も邪道も王道も外道も極道もなく、人それぞれがその時々の工夫と精神力で、それぞれのやり方を創造すればいいのです。ぜひ、皆さんも挑戦してみてください。あるいは、独自の作法をお持ちの方は是非ご指南くださいませ。

桔梗屋

不二草紙に戻る

|

« だってなんだかだってだってなんだもん | トップページ | 氷地獄 »

グルメ・クッキング」カテゴリの記事

旅行・地域」カテゴリの記事

歴史・宗教」カテゴリの記事

コメント

おはようございます。
悪い先生ですね(笑)
生徒さん振り回しちゃいましたかー。
想像しただけで恐ろしい・・・

そういえば信玄餅、最近あんまり食べてないですね。
子供頃の方が良く食べていた気がします。
私も志村くんと同じく真ん中のお餅を取り出して、そこに蜜を入れて混ぜてました。
この食べ方が一番多いんじゃないでしょうか。
勢い良く食べるときな粉でムセるんですよねー。
そしてやっぱりきな粉をこぼします。包んであるビニールの上で混ぜるのは基本ですね!後でこぼれたきな粉も入れて混ぜちゃいます♪

ちなみに中田ヒデも『信玄餅が好き』だって言ってたのを、昔何かで読みましたよ。

久々に信玄餅食べてみたくなりました。(っていうかこぼさず混ぜてみたくなりました)
帰りに買ってみようかな。

投稿: yuki | 2010.02.12 09:28

こんにちわ。
信玄餅、大好きです。
面白いですね。いろんな食べ方がある。それがその人たちの創造性なんだってことも。

私は、どうしてもきな粉がぱらぱら散らばってしまいます(汗)

いつか上手に食べれるようになるぞ!
なんて・・・思いながら。

投稿: 里沙 | 2010.02.12 13:34

 プログを拝見しておりましたら、突如職員室で、きなこと蜜を頭の上で飛び散らせている、純粋な男子生徒の画が目の前に現れまして、PCの前で大爆笑してしまいました。

最近私は、県外へのお土産には信玄餅吟醸を選んでおりますが、これは結構好評です。

よく乾燥して細かい粒子の黄粉故むせるのでしょうから、会社の持つノウハウと、職人さんの技術には大変高いものがあると察しております。

 私もご存じ平成の落人なのですが、そういえば、こちらで信玄餅を頂いた記憶がありませんね。


 

投稿: むい | 2010.02.12 14:20

こんにちは~。

朝日新聞に掲載される予定だったんですね。
見たかったなぁ。(うちは朝日をとってます)

一昨年の5/31富士吉田ライブの帰りに
「やっぱりこれは定番だね」と言いながら
パーキングで買ってきました。
そー、そー!
『筑紫餅』と似てるんですよ~!(^.^)

志村くんの記事に出合えて
とても嬉しかったです。
何度も読んでしまいました。
ありがとうございました。

投稿: kirari | 2010.02.12 20:55

初めてコメントさせていただきます。
いつも読ませていただいてます、フジファンです。
かとをの地元に住んでいます。
富士山が好きで、何度か富士吉田いってます!登山はしてません・・。
おみやげはやはり、信玄餅でしたね(笑)初めて食べたとき、めっちゃこぼしました・・・。何度か食べるうちに、うまくなりました!!

コニファー決まりましたね!行きます!
富士吉田観光できたらいいな〜。

投稿: YY | 2010.02.13 01:44

初めてコメントさせていただきます。
いつもブログ読ませていただいてます。
最近フジファブリックのファンになった者です。

お蔵いりになってしまった記事を読むことが出来て、とても嬉しかったです。
ここで知らなければ読むことは無かったと思います。
ありがとうございます。

信玄餅、とても食べてみたいと思いました。
読んでいるときは気づかなかったのですが
写真の赤と紺の巾着袋(?)を見て思い出しました。
ちょうど一年ほど前に富士急ハイランドへ行って
祖母にお土産で買って帰ったんです。
今年の7月のライブに行ったときは
自分用にも買って帰ろうと思います。

長々と失礼いたしました。

投稿: あろい | 2010.02.14 03:47

皆さん、コメントありがとうございます。
ぜひ富士吉田にいらして信玄餅をお土産にお買い求めくださいませ。
とりあえず7月、コニファーでお会いしましょう!

投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.02.14 20:44

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/55913/47544484

この記事へのトラックバック一覧です: 信玄餅(の食べ方?):

« だってなんだかだってだってなんだもん | トップページ | 氷地獄 »