『IGFプロレスリング GENOME11』&『アントニオ猪木誕生日パーティー』
↓お土産の品々
仕事が終わってから東京へすっ飛び、行ってきました。5時に富士吉田を出て、6時半には水道橋に着いて、ちゃんと第1試合から観ているという奇跡の荒技(笑)。
なかなか面白い興行でした。課題もいろいろ見えましたが…。
そして、なぜか猪木さんのお誕生日会に出席…。
というわけで、少し時間ができましたので、軽く感想など。試合の詳細などは
スポナビでどうぞ。
まず、全体として。
今回でGENOME生観戦は2度目。一緒に観戦したカミさんは3度目ですね。今回はカミさんはアリーナ席で、私は3階バルコニーでの観戦でした。カミさんが言うにはアリーナはそこそこ盛り上がっていたようですが、距離のあるバルコニー席は一部の(巧みな)野次を飛ばす人以外は、みんな静かすぎ。私も闘いの世界に入り込めず、なんとなく一体感が足りない感じがしました。
いや、これはIGFに限らず、どこの団体でもそんな感じです。あの昭和の興奮を知っている者としては残念ですね。そういう意味では、前半戦の中に会場を温める試合が盛り込まれてもいいと思います。初っ切り風なものでもいいし、それがIGFのイズムに反するなら、やっぱり派手なジュニアのタッグマッチなんかを入れて、シロウトさん、一見さんにも分かりやすい構成をすべきなような気がします。
私はそういう意味で、宮戸優光GMに飯伏幸太選手を推薦してるんですけどね。ドラゲーやDDTが持っている爆発力というのも、現代のプロレス会場には必要だと思うのですが。
さて各試合の短評を。
第1試合 定アキラvs澤宗紀
アキラくんのプロ2戦目。今や百戦錬磨となった澤選手相手によく健闘したと思います。どちらかというと、澤選手のバチバチした世界に定選手が乗り込んでいったという感じでした。いろいろなタイプのプロレスラーとの闘いを体験して、どんどん勉強していってほしいですね。でも、とにかくデビュー戦よりもかなり進歩したアキラくんの成長ぶりを観ることができて、ちょっと安心。
第2試合 タカクノウvs佐藤光留
地味だけれども、なかなか高度なテクニック合戦。気持ちの闘いも悪くなかった。こういう玄人好みの試合も悪くはないですね。ただ、やっぱりあまりプロレスや格闘技を知らない人には地味すぎるのかも。どうせなら、いつものように(?)佐藤選手メイド服で入場してほしかった。そうすれば、キャラ的にもコントラストが出来て良かったかも(笑)。ある意味佐藤選手は幅の広いいい選手ですが、タカ選手はあまりに一本気すぎるのかもしれません。プロレスは深く広い。
第3試合 ウルティモ・ドラゴンvsTJ
ルチャ・マッチということでしたが、派手さに欠けましたね。もう少し手が合う相手とだったら、ウルティモの良さが出たかも。TJ選手も悪い選手ではないのですが…。私はやや退屈しました。
第4試合 エリック・ハマーvsダニエル・ピューダー
これが私としては一番寒い試合でした。たぶん、両者ともテクニックもパワーもあるいい選手だと思うんですけどね。どうしてもこういうふうに中途半端な総合風になるとお客さんに分からない試合になってしまう。せっかくのヘビー級の魅力が半減です。やるなら完全に総合ルールでやるとか。昔の名レスラーは、もちろん総合的なテクニックを持ちつつ、お客さんを主役にまで仕立てる試合を作ることができました。こういう試合になると、スタミナ切れが目立ちます。ツワモノたちのスタミナ切れほど醜いものはないと思うのですが。
第5試合 ミノワマンvsネクロ・ブッチャー
そして、これが今日のベスト・バウト!ネクロ最高!私の期待通りの試合内容でした。会場の盛り上がりが全てを象徴していますね。試合はいちおうミノワマンの勝ちでしたが、プロレスの勝負では完全にネクロの勝ち。会場の人気も圧倒的でした。まさに国際プロレスの怪奇レスラーという雰囲気もいいのですが、やっぱり相手も自分も活かしきるホンモノのプロレス観の素晴らしさですね。さすが映画「レスラー」の影の主役です。彼とは一度話したことがあるんですけど、本当にスマートでジェントルな方でしたよ。久々に美しい「流血」を見ました。かっこよすぎ。そして、ネクロに活かされ、生かされ、そして一つ殻を破ったミノワマンも素晴らしかったと思いますよ。今日が本当の意味での「リアル・プロレスラー」誕生の日でしょう。プロレスが何たるか分かったのでは。実際、試合後、謙虚にネクロに感謝していましたよ。今後のミノワマンに期待です。
猪木さんのパフォーマス
久々にガウンで登場!感動しましたね…ウルウル。いつもの言葉も重く感じられました。50年、半世紀ですからね。「運は勇気のない者にはやってこない」「馬鹿になれ。とことん馬鹿になれ。恥をかけ。とことん恥をかけ。かいてかいて恥かけば、ホントの自分が見えてくる。ホントの自分も笑ってる」…心にしみましたね。
後半戦です。
第6試合 初代タイガーマスク・藤原喜明vs藤波辰巳・木戸修
これはすごすぎ。スネークピット・キャラバンで我々も勉強させていただいた4人です。もちろん、それを抜きにしても夢再びですよね。新日本プロレス黄金時代です。蝶野さんが「ザ・道場」と言うのも納得です。古き良きプロレスの伝承。いや、冗談でなく、今のプロレス界はもう伝統芸能として保存していくしかないのかなという気もしているのです。ちょうど歌舞伎や能がそうであるように。NHK教育で放送すべきなのかもしれません。国立のリングや道場を作るべきかもしれません。歌舞伎も能もそうですが、ある時代の庶民の歴史を牽引したものは、いずれ時代の流れとともに一線からは姿を消さねばなりません。しかし、その歴史の重さを、それこそ「ゲノム」として伝承していく責任は後世の人々にあるのです。まあとにかくレジェンドたちに敬意を表するとともに、その方々がこうして興行を引っ張っている事実を憂慮すべきなのかもしれませんね。
第7試合 高山善廣vsザ・プレデター
これは文句なくいい試合。こういうデカイ物の怪どうしが、とにかくガンガンぶつかり合う試合というのはプロレスの醍醐味です。相撲の持つ本来的な神事、「地鎮」のエネルギーを感じますね。私はこういう「文化」としてのプロレスに非常に興味があります。これはテレビでは伝わらないものかもしれません。この前、NHKで福祉大相撲をやってましたね。あれが本来の相撲の形です。スポーツじゃないんです。プロレスにも「花相撲」は必要です。しっかし、あの高山がこれほどぶん投げられる、しかし最後は怪物退治…もうそれだけで充分に「神事」ですよ。
第8試合 ジョシュ・バーネットvsボブ・サップ
前の試合が良かっただけに…痛すぎました。ジョシュが可哀想ですね。サップはちょっと勘違いしてるんじゃないでしょうか。素材はいいのですから、自分を生かす勉強をした方がいいですよ。プロレスで生きていくなら、プロレスのファンが何を求めているか、まずそれを知らなきゃ。ジョシュがサップを生かそうとしていましたが、そのへんは実はジョシュもそんなに巧くないんですよね。というわけで、イマイチの試合。ちょっとガッカリ。先ほども書きましたが、スタミナですよ、両者とも。
第9試合 佐々木健介・中嶋勝彦vs小川直也・澤田敦士
これは「プロレスの格」の違いをまざまざと見せつけた試合。プロレスは「経験」です。実戦経験です。たとえば本番のスタミナ配分、これは経験しないと分かりません。いくら毎日道場で実戦さながらの練習をしていても、本番は全く違うんですよ。これは音楽でさえそうですから。本番のエネルギーの配分は非常に難しい。健介と勝彦はまさに百戦錬磨。そのへんが見事でした。そして、健介オフィスの特長、お客さんを乗せるうまさ…これは抜群です。昔は「しょっぱいレスラー」の代表だと思っていましたが(失礼)、鬼嫁をもらってからというもの、素晴らしいですね。そして、勝彦は、まさに澤田との経験を差を見せました。あれだけの名レスラーたちと何十分も闘い続けてきていますからね。ある意味健介以上に観客の心をつかむことができます。素晴らしい!全ては、最後、解説の蝶野選手が小川に叫んだ言葉が全てを表しているでしょう。「おい、ちゃんとプロレス練習しとけ!」。さすが蝶野選手。GJです。IGFの弱いところはそこかなあ…。試合数が少ないということ。
ま、とにかく、今回の興行の成功はこのメインのおかげでしょう。つまり、健介&勝彦のおかげです。ここ数年彼らを観てきて、彼らの素晴らしさをよく知っているつもりですので、私たち夫婦としては「してやったり」の気持ちです。
さてさて、試合後ですが、こっちは何がなんだか分からないうちに終わっちゃった。カミさんは、放送席で解説をしていた流さんたちと一緒にどっか行っちゃいまして、私は一人で、お隣り東京ドームホテルで行われた「アントニオ猪木67歳誕生日パーティー」に参加いたしました。宮戸GMの取り計らいです。ありがたいですね。
試合を終えた選手たちはもちろん、坂口征二さんや、石井館長、薬師寺さんや、はてはなぜか毒蝮三太夫さんや秋川雅史さんまで、なんかすごい人たちがたくさんいる…。というわけで、いろいろと書きたいところですが、ずいぶん長くなったので、この写真だけ貼っておきます。
あれだけ(たぶん2リットルくらい)出血していたのに、余裕でビール瓶一気のみしてました(笑)。これぞプロレスラーですよ。こういう常人に不可能なことを余裕でやるようなモノノケこそ、この世に必要なのです。
いやあ、そういう意味では、なんだかんだ言って、アントニオ猪木が人間国宝級のモノノケですな。いや、人間じゃないからモノノケ国宝ってことですか(笑)。時代はモノノケを招来している!!
私は「バカ」と言われようと、一生プロレスとつきあっていきますよ。いいじゃないですか。プロレス馬鹿で(笑)。頑張ります!
平日の興行&イベントということで、正直最初は躊躇していたんですけど、行って良かった。こういう非日常の「マレビト」を、我々は必要としているのでした。
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