稲盛和夫と出口王仁三郎
稲盛和夫さんが日本航空の新しい最高経営責任者(CEO)になりましたね。はたして「日本の翼」は復活するのか。
「経営の神」と言われる稲盛さんですが、彼の経営観には多分に本物の宗教色があります。
私は、稲盛さんの考え方ややり方が好きですね。なぜなら、ワタクシ的には彼は「出口王仁三郎」の霊的世界を現界において体現していると思うからです。
御本人はあまり意識されていないかもしれませんが、彼にはそうした霊脈が感じられます。私は最初、彼の「臨済宗妙心寺派円福寺にて得度」という経歴に注目しました。私も今、臨済宗系の学校で禅の勉強をさせてもらっているからです。しかし、のちある方からいろいろと示唆に富む情報をいただきまして、調べてみましたらたしかに王仁三郎の息吹を受け継いでいるように感じられるようになりました。
稲盛さんは、昭和19年の末、12歳の時に結核の初期症状である肺湿潤に冒され、死の恐怖と闘っていました。その時、隣の奥さんが「読んでごらん」と言って渡してくれたのが、かの『生命の実相』でした。稲盛少年はこの本を読んで、自分の中で革命が起こるのを感じました。稲盛さんの現在の経営観、世界観は、ある意味この瞬間に出来上がったとも言えます。
『生命の実相』は言うまでもなく、「生長の家」創立者谷口雅春の著書です。そして、谷口雅春(正春)は王仁三郎の霊界物語の筆記者の一人ですね。谷口にも、また現在の「生長の家」にも、王仁三郎の影響は実に色濃く表れています。
昭和19年と言えば、王仁三郎が京都で、のちに「ようわん」と呼ばれる焼き物(楽焼)を祈りを込めて(ある意味狂ったように)焼いていた時期にあたりますね。
そして昭和30年、不思議なことに、鹿児島で生まれ育った稲盛さんは、吸い寄せられるように京都に向かいます。碍子製造会社に就職するのです。そして、ニューセラミック(焼き物)の研究に携わり、のちに「京都セラミツク(京セラ)」を創業し、世界的な企業に成長させました。
つまり、稲盛さんには、思想的(宗教的)にも、実業的にも、王仁三郎の魂が流れ込んでいるのです。
「大本」の関係者の話によると、どうもこれは単なるこじつけではないようです。彼の著書などを読んでみると、宗派を超えた独特の宗教観、世界観を感じます。まさに出口王仁三郎(大本)の「万教同根」、谷口(生長の家)の「万教帰一」ですね。
さて、そんな稲盛さんですが、今回CEOという仕事を通じて、きっと世界をつなぐ「日本の翼」の傷を癒してくれることでしょう。単なるお金の問題ではないのです。社員の幸福、利用者の幸福、日本の幸福、世界の幸福を見据えてのお仕事をしてくれることでしょう。
昨日のプロレス界の話もそうなんですよね。「カミ」と「カネ」の関係。これはなかなか難しいのです。「神」が「金」をコントロールできているうちはいいのです。
稲盛さんはもちろん、松下幸之助さんや船井幸雄さんなんかもそうですね。みんな宗教的な勉強をちゃんとしている。「カネ」という悪神の働きもよく分かっているのでしょう。
そう考えると、王仁三郎の「金神」観というのも面白く感じられますね。もともと最強の祟り神である「艮の金神」を善神に転換する発想は、そのまま、貨幣経済、市場経済における「金」という「神」の両面性とその可能性を示唆しています。
私の「モノ・コト論」で言いますと、現在は「モノ」より「コト」、つまり、目に見えない不随意な「モノ」よりも、目に見える随意な「コト」に偏りすぎているんですよね。いつも書いているように、見えない価値を見える数値に換える「カネ」は、「コト」の権化みたいなものです。それが威張りすぎているのが現代というわけですね。人間の脳内のフィクションが調子に乗っているというか。
そんなわけで、私はこれからの教育には、ある程度宗教的なものが必要だと考えています。もちろん、私は特定の宗派に属しているわけでもなく、まさに「万教同根」を信じて、「万教帰一」を目指し、いや、王仁三郎の理想、「宗教のない世界」の実現を夢見ている者ですから、変に偏った宗教教育をしようだなんて考えていませんよ。ただ、やっぱり若いうちに、そういう「目に見えない」「教科書に載っていない」世界があるということをしっかり「体感」させてあげたいとは思います。
これからは「コト」より「モノ」の時代です。もちろん、ここで言う「モノ」は「物質」とか「商品」とかいう意味ではありませんよ。世間では、これからは「物質文明」ではなく「精神文明」の時代だという意味で、「モノ」より「コト」と言われていますが、私はあえてワタクシ的観点から「コト」より「モノ」と宣言させてもらいます。平たく言うと、「カネ」より「カミ」、「自己」より「他者」ということでしょうかね。
結局は双方のバランスの問題、主従の問題なのでしょう。王仁三郎の言う「霊主体従」ですね。
とにかく、その辺りをよく理解しておられる稲盛和夫さんの手腕に期待いたしましょう。
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コメント
前略 薀恥庵御亭主 様
「日航機事故」は・・・
今でも愚僧の心の中で
大きな部分を占めています。
「稲盛和夫」様の御力で
・・・「安心・安全」の
「旅の架け橋」となる会社
になってもらいたいと・・・
心底 願っております。
合唱おじさん 合掌
投稿: 合唱おじさん | 2010.01.14 17:27
合唱おじさん様、こんばんは。
まったくその通りですね。
私はあの日のあの時間、富士山の五合目にいまして、御巣鷹山に閃光が走るのを見てしまいました。
決して忘れられない光景です。
安全は坂本九さんはじめ皆さんの願いでしょう。
カネのやりくりで、そうした「命」が軽視されないことを祈ります。
稲盛さんなら大丈夫だと思いますが。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.01.14 18:07
こんばんわ。稲盛さんのお話を見させて頂いて、私は勉強させられました。そして、私の周りの尊敬する大人は皆さん、これからは「物質世界」ではなく、「精神世界」になるよ。と諭して、導いて下さいました。本質に気付いていらっしゃっる方々とのご縁が最近多々あり、庵主さんとのblogの出会いも、不思議なお導きだと感じてます。
私は、霊的世界を信じてますし、実際に行ったことあります。…というと変な話になりますが…。
本質に気付いて生きています。
投稿: 里沙 | 2010.01.14 22:24
あっ…、私の言うモノ、コトの原点は庵主さんと同じ意味です。
きっとこれからは意識を変えなきゃ生きていけないような気がします。
宗教的というか、目に見えないモノに触れて行かなきゃ、本物にはなれないし、見抜く力も養われないような気がします。
ただ、私はまだまだ未熟な魂なので、魂の修業をされてる偉人様達によって、勉強させて頂いてます。
荒々しいコメントも多々ありですが、これからも庵主さんのblogを通じて、沢山お勉強させて頂きます。私にとって、庵主様のblogは教科書です。
この歳になり、再度勉強させて頂く事の喜びの方が大きいです。
投稿: 里沙 | 2010.01.14 23:23
里沙さん、コメントありがとうございます。
教科書だなんて…とんでもありませんよ(笑)。
単なる思いつきを書きなぐっているだけですから。
それでも何かを感じてくださる方がいるかぎりは、精進いたします。
よろしくお願いします。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2010.01.15 16:58