« Star Walk for iPhone | トップページ | 『朝紫(紫黒米芋大福)』 みやきん »

2009.11.10

追悼 森繁久彌さん

 

 根の上のバイオリン弾き逝く。ちょうど、家で葬送カンタータ集を聴いている時に、速報が入りました。
 役者としてはもちろん、音楽家としても尊敬すべき方でした。そして、なんといっても、それ以上に、日本人として、男として、父親として、おじいちゃんとして、いつも私たちにある種の理想像を見せてくれた方でした。ご冥福をお祈りします。
 森繁さんの代表作である「しれとこ旅情」。この曲を聴くだけでも、彼の音楽的才能を強く感じないわけにはいきません。
 アウフタクトで始まる三拍子のワルツ。ソドミソドと思いっきり伸び伸びと主和音を提示する冒頭。完全に西洋音楽モードです。しかし、そこに実に味わい深い日本語が乗る。お見事です。知床という日本であって日本でない土地を舞台に、異国情緒と望郷の念という一見相矛盾する心情を歌い上げたこの曲が、当時の日本人に「知床ブーム」を起こしたのも納得できます。そういう繊細かつ大らかな感性と才能こそが森繁さんの魅力でした。
 私にはそんな感性も才能もありませんので、今日は、本当にたまたま訃報に触れた瞬間に聴いていた葬送(鎮魂)のための音楽を、屋根の上のバイオリン弾きに贈ります。
 バッハのカンタータ第106番「神の時こそいと良き時」より、あまりに静謐で美しいソナティナ(序奏)と、テレマンのカンタータ「汝ダニエルよ、行け」より、ある意味テレマンらしからぬ深みを帯びたソプラノアリアです。両曲とも、リコーダーとヴィオラ・ダ・ガンバが効果的に使われています。非の打ち所がないですね、両方とも。やはり、人の命、魂に捧げる曲は特別なのでしょう。では、森繁さんのご冥福をお祈りしながらお聴きください。

 バッハ ソナティナ

 テレマン アリア

不二草紙に戻る

|

« Star Walk for iPhone | トップページ | 『朝紫(紫黒米芋大福)』 みやきん »

ニュース」カテゴリの記事

文化・芸術」カテゴリの記事

芸能・アイドル」カテゴリの記事

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/55913/46733833

この記事へのトラックバック一覧です: 追悼 森繁久彌さん:

« Star Walk for iPhone | トップページ | 『朝紫(紫黒米芋大福)』 みやきん »